2008-12-30

「代謝」~ミトコンドリアの中で何が起きているか

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  「呼吸」の後、エネルギーを取り出す仕組みである「代謝」について、ごく簡単に書きます。とは言っても、化学が苦手なわたしのような人間にとっては呪文のような物質名は登場します。書いておかないと、後々詳しく理解しようとした時どの物質のことかわからなってしまうので、そこは我慢して読んでください。
(※なお、より詳しい解説については、この記事を書くに当たり参考にさせていただいた多くの優良なサイトがあるので、そちらをご覧ください。)
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 さて、「代謝」とは、一言で言えば、酸素を使って食物を分解し、エネルギーを生み出す過程です。われわれはそのために食べているのですね。もちろん、食べるだけではダメで、それをエネルギーに変換しなければならないのです。これができなければ死んでしまいます。この仕組みは、酸素を利用する動物すべてが共通して持っています。(例外は光合成を行う植物と、酵母などの嫌気性細菌といわれるグループ)
「代謝」には、大きく3つのステップがあります。

  1. 食物を、消化器系を使って高い結合エネルギー持つ糖(グルコース)に分解した後、細胞のミトコンドリア内で扱いやすい「ピルビン酸」という物質に変換するまで。この工程は細胞内で行われ、「解糖系」と言われています。(この過程で、「ATP」や「NADH」もわずかに生じます)
  2. 「ピルビン酸」から「クエン酸」、「フマル酸」、「リンゴ酸」などに変換しながら、「NADH2(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」や「FADH2(フラビンアデニンジヌクレオチド)」などの還元型化合物を作るまで。これは細胞のミトコンドリア内で行われ、「クエン酸回路」または「TCA回路」と言われています。(この過程で水が酸化され二酸化炭素が生じます)
  3. 「NADH2」や「FADH2」などから、様々なタンパク質複合体を使って、生体のエネルギー通貨単位と呼べそうな「ATP」を作るまで。これは、ミトコンドリアの内膜で行われ、「酸化的リン酸化」あるいは「電子伝達系」と言われています。

この段階では、上記のステップで作られた「NADH2」を材料にして、ここから水素イオン(プロトン)を分解する工場があり、内膜と外膜の間に水素イオンを送り出すと同時に、その過程で発生した電子を隣にある別の工場に受け渡します。
同様の過程を4回ほど繰り返すことで、水素イオンを膜の間にたまり続け、膜間に電気が溜まっていきます。いわばバッテリーだと思ってください。エネルギーの元を作り出す工場(ミトコンドリア)がたくさんあって、膜の間に溜まった水素イオンが、ATP製造工場を勢いよく流れることで、ADPとリン酸という材料から、ATPを作り出します。
この工場はなんと1秒間に100回も回転するそうです。で、このATPという物質がエネルギーをもっているのです。ATPとは、ガソリンみたいなもので、ADP+リン酸に分解される時に大きなエネルギーを生み出します。体温を保っていられるのも、呼吸をしているからですね。
この過程では前ステップで作られた物質が還元されていきます。最終的に、電子は水素と酸素から水を合成するのに使われます。
ちなみに、深呼吸や、瞑想による呼吸法は、ミトコンドリアを活性化させることで、十分なエネルギーを生み出そうとする試みだと思います。また、運動不足になると、ミトコンドリアが楽をして、活性も下がっていくようです。健康診断で、「適度な運動が必要です」などとと言われる根拠がそれなんですね。

(参考サイト)
http://hobab.fc2web.com/sub2-mitochondrion.htm#%E3%83%9F%E3%83%88%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%88%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2
http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/index2.htm
http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/oxidphos.htm
http://hobab.fc2web.com/sub2-respiratory-chain.htm
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%82%A8%E3%83%B3%E9%85%B8%E5%9B%9E%E8%B7%AF
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E4%BC%9D%E9%81%94%E7%B3%BB

List    投稿者 blogger0 | 2008-12-30 | Posted in ①進化・適応の原理2 Comments » 

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コメント2件

 中心体元気 | 2009.02.12 18:52

中心体や紡錘体形成を司令している中心体原基というのがありそうですね。
>中心体に依存しない紡錘体形成は、高等植物、動物の減数分裂やある種の動物の初期胚の体細胞分裂
動物の減数分裂は一般的には中心体が紡錘体を形成していると思いますが、中心体に依存しない具体例をご存知でしたら教えてください。
また、「ある種の動物の初期胚の体細胞分裂」についても同様です。

 匿名 | 2009.08.16 22:24

>動物の減数分裂は一般的には中心体が紡錘体を形成していると思いますが、中心体に依存しない具体例をご存知でしたら教えてください。
一部の昆虫です。例えば、ショウジョウバエの雌の減数分裂は、中心体がない動物の紡錘体形成のモデルによく研究されています。日本では、研究している人はあまり聞きませんが。
>「ある種の動物の初期胚の体細胞分裂」
これは初耳です。少なくとも代表的なモデル生物でいるのですかね。私も知りたいです。

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