2008-08-26

小さなRNAの多様なはたらき

今日は、RNAの不思議なはたらきについて探究してみたいと思います

こちらのエントリーもごらんくださいね。RNA入門としておすすめです
RNAの不思議① ~基礎知識編~ 
RNAの不思議② ~詳細追求編~ 

RNAと言えば、DNAから遺伝情報を読み取って・・・タンパク質を合成する、つまりセントラルドグマ「DNA→RNA→タンパク質」を思い出しますが、RNAのはたらきはそれだけではありません。
セントラルドグマに登場するRNAたち以外にも、細胞内で重要なはたらきを行うRNAがたくさん存在しています :D

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●ノンコーディングRNA
ノンコーディングRNAとは、タンパク質へ翻訳されずに機能するRNAの総称です。mRNA(メッセンジャー)と異なり、最終生産物がRNA分子そのものとなります。rRNA(リボソーム)、tRNA(トランスファー)もノンコーディングRNAの仲間ですが、それ以外にもたくさんのノンコーディングRNAが存在し、様々な生命現象のキーになっています。

ncRNAとは
www.ncRNA.orgより

ヒトゲノム配列の完全解読の結果、ヒトにおいて、タンパク質をコードする遺伝子数は約22,000であり、線虫(約19,000)やショウジョウバエ(約 20,000)と比較してもさほど変わらないことが判明しました。
一方、転写産物の網羅的解析から、ヒトゲノムの大部分が転写されており、しかもその内の98%以上がncRNAであることが明らかになっています。
生物種ごとに見ると、全ゲノムに対するタンパク質非コード領域の比率は大腸菌1%、線虫30%に対して、ヒト43%であり、ヒトが最も高い割合であると見積られています。
このことから、生命の複雑さとゲノムに占めるタンパク質非コード領域の長さには相関があると考えられ、発生や分化などの高次な生命現象はncRNAが担っている可能性があると指摘されています。

核小体低分子RNAもノンコーディングRNAのひとつですね)
機能がわかっているncRNAはごく一部であり、まだ発見されていないものも数多く存在すると考えられています。

※こちらも参考に
ゲノムのイメージを根幹から変えるncRNA 
RNAの多くは、タンパク質をつくらずにDNAの働き方をコントロールしている

●小さなRNA
ノンコーディングRNAの仲間には、smallRNAと呼ばれる小さなRNAが存在します。中でも注目されるのが、マイクロRNA。これは細胞内に存在する長さ20から25塩基ほどの1本鎖RNAです。マイクロRNAの機能はおもに他の遺伝子の発現を調節することにあると考えられています。

www.ncRNA.orgより

マイクロRNAは、特定のmRNAの3’-UTR領域に相補的に結合し、mRNAの翻訳抑制と分解を誘導し、発生のタイミングや分化の方向性を決定する分子であることが知られています。
最近の研究で、ヒトにはマイクロRNAが1,000個程度存在し、それぞれが複数の遺伝子の翻訳抑制に関わっていることが明らかになり、実にヒトのタンパク質遺伝子の30%にあたる5,300個の遺伝子が、これらのマイクロRNAによって制御されていると推定されています。

興味深い事象ですね

上記ではヒトのマイクロDNAは約1,000個ですが、一説では約30,000~40,000とも言われているようです。これはタンパク質をコードする遺伝子(約22,000)に対してもかなり多いし、また、タンパク質コード遺伝子の約1/3を制御しているというのは驚きです。
(ひとつのマイクロDNAが100以上のタンパク質を制御していることもあるらしい)
→タンパク質を作るための遺伝子は、遺伝情報の一部にすぎないかもしれない?
→マイクロRNAの多様化(変異)と生物進化にはかなり密接な関係がある?

また、チンパンジーとヒトは、進化的に近縁ですが、マイクロDNAの約8%がヒト特異的であるらしいです。
→人類の知能進化を解くヒントになるかもしれない?

さらに考えてみると、細胞のマイクロRNAが活性化してDNAを制御するのであれば・・・外部環境変化(外圧変化)によるRNA変異→DNA変異という仕組み(ランダムな変異ではなく、RNA変異によって一定の環境適応ベクトルにDNAを変異させる機構)が存在する可能性もあるかもしれません。

●生殖細胞とpiRNA
マイクロRNAとは異なる小さなRNAとして、マウス生殖細胞でpiRNAという新しいタイプのRNAが発見されています(マウスの睾丸で発現するPiwi proteinという、精液を作る際に重要な役割を果たすタンパク質と組みになって働いている事が明らかにされ、「Piwi-interacting RNA(piRNA)」と名付けられています)。
piRNAは大体24~32塩基で、20~22塩基のマイクロRNAより少し長く、その合成経路もマイクロRNAとは全く異なっているそうです。
またレトロトランスポゾンの発現抑制の機能を持っているとも言われます。

※参考
『生殖細胞形成から発生,分化を制御するsmall RNAの新機能―miRNA,siRNA,piRNA,rasiRNAの多彩な役割』実験医学2007年4月号

このRNAは、生殖や変異遺伝と関わっているかも???
このあたりは、まだよく理解できていないので、もう少し探究してみたいと思います

List    投稿者 iwaiy | 2008-08-26 | Posted in ①進化・適応の原理4 Comments » 

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コメント4件

 さんぽ☆ | 2008.10.09 3:33

>★体細胞の変異情報は生殖細胞(精子)にどのように伝えられるのか?
これは私も気になっていました。
どうやらセルトリ細胞がキーなのですね。
で、そのセルトリ細胞ってどこにあるのか調べてみたのですが、よく分りませんでした(><)
教えて下さい!

 yukie | 2008.10.09 10:54

コメントありがとうございます☆
お尋ね者のセルトリ細胞ですが…
オスの精巣の中は、精細管という管がたくさん詰まっていて、それを輪切りにしてみると、外側に基底膜があってセルトリ細胞がくっついていて、中に行くに連れて精子ができていく、という上のような図になるのです!
http://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/pdf4/Chapt2.doc 
の7ページ目に載っている図も分かりやすいですよ。

 nannoki | 2008.10.09 13:42

GATA-1というのははじめて聞きました。確かに精子に体細胞変異情報を反映させるカギになってそうな気がしますね。
GATA-1は、血球系の細胞では,赤芽球,巨核球,好酸球,肥満細胞などに発現していて、赤血球分化に重要な遺伝子を制御しているようですね。血球系の遺伝子制御と、精子の分化の両方に関わっているGATA-1因子の追求、今後も期待しています☆

 iwaiy | 2008.10.09 17:08

こんな記事みつけました。

性分化機構の解明
http://www.nibb.ac.jp/seibunka/publi/publi_kanai.html
哺乳類の精子発生における体細胞側でのY染色体の役割について、以下の2点を明らかにした。
1)精巣決定遺伝子Sryによる精巣への分化決定以後、思春期での半数体形成(円形精子細胞)までは、体細胞側 (精巣、下垂体、視床下部を含め体中の全ての体細胞)でY染色体は不要である。
2)円形精子細胞から精子までの精子形成に、Y染色体上のDdx3y, Uty, Ubely1, Eif2s3y, Jarid1d(全てあるいはこの一部)がセルトリ細胞で重要であり、幾つかの精子形成関連遺伝子のセルトリ細胞での発現を制御することにより精子への形態形成を支持していることが推測された。
・・・
上記だけでは判然としませんが、
セルトリ細胞におけるY染色体って、何か重要な働きをしているのかもしれませんね。

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