変異転写を促すHMGタンパク質
外圧変化がどのようにしてDNA変異を引きこすのか?を調べているうちに、面白い記事を見つけました。
DNAに結合しているHMGというタンパク質が、DNAの変異を促すスイッチの役割を果たしていることが発見されたのだそうです。
<リンクより引用>
今日は、その記事を手がかりに、変異転写の謎を考えてみたいと思います。
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精巣形成を促すSRYタンパクはHMGボックスをもつ
>SRYはY染色体上にある精巣形成に必要な遺伝子。
SRYタンパクは、HMGボックスというDNA結合領域を持つ転写因子である。多くの精巣形成に必要な遺伝子にはSRY結合部位を持ち、この部位にSRYタンパクが結合することで、精巣形成への発達を始める。
<リンクより>
HMGタンパク質は遺伝子組換えを促進する
>HMGタンパク質に見いだされたDNA結合の構造モチーフが、男女の性を決定する因子であるSRYを始めとして、遺伝子情報の発現を調節する様々な因子に広く存在することが明らかになり、一般にHMGボックスと呼称されている。
>すでに、HMGの遺伝子の発現を調節する因子の同定、細胞質で合成されたHMGタンパク質が核へ移行するシグナルの発見、細胞増殖とHMGタンパク質遺伝子発現との係りの検索など基礎解析を終えた。
>HMG1タンパク質がクロマチン構造を弛緩し、遺伝子情報発現を促進する
>HMGタンパク質はDNAの組換え、修復、さらには外来DNAの染色体DNAへの組込み(インテグレーション)を促進するなど多機能をもつ
<吉田研ホームページより>
HMGタンパク質は突然変異の原因
>タンパク質は通常はメッセンジャーRNAがDNAの情報を転写し、それをタンパク質の上に翻訳することで作られる。アルツハイマーのメッセンジャーRNAは突然変異していることを突き止めた。
>突然変異の原因はHMG-1であり、これは通常は体中どこにでも存在する。HMG-1の役割はDNAにくっついてその機能を調整することであるが、時として原因不明のまま異常な行動の引き金がひかれることがある。
<大阪大学の研究チームより>
考察
・Y染色体上のSRY遺伝子からつくられるSRYタンパクが転写因子となり、SRYタンパクが精巣形成に必要な遺伝子群に結合することによって精巣が形成される。
・SRYタンパクにはHMGボックスという構造があり、HMGタンパク質が変異(DNAの組換え、修復、組込み)を促すスイッチの役目をしている。
・HMGタンパク質は体中どこにでも存在し、アルツハイマーなどの突然変異の原因となる。
・HMGタンパク質は細胞質で合成され、核へ移動する。
まだまだ断片的なデータではあるが、上記の調査データから変異転写の仕組みの仮説を考えてみる。
「外圧変化→細胞質で何らかの変異(タンパク質が壊れる等)が起こる→変異情報がシグナルとなってHMGタンパク質が合成される→HMGタンパク質が核へ移動しSRY遺伝子を組換える(他のDNAにもくっつき、アルツハイマー等のいろんな突然変異を引き起こすスイッチとなる)→SRY遺伝子からつくられるSRYタンパクが転写因子となって(精子→受精卵→)精巣に変異情報が伝えられる」
という仕組みになっているのではないか?
※体細胞で起こった変異と同じような変異が精子形成過程にも起こりうる?
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コメント2件
のだおじさん | 2008.10.11 20:47
>これ、なるほど~~~!!でした。
キクさん、こんにちは。元気が出るコメントをありがとうございます。また、「なるほど~~~」がいただけるように精進します。
キク | 2008.10.07 7:51
>細胞周期があるのは、デノボ経路といえどリボヌクレオチドの生産量に限りがあり、DNA複製とRNA合成の時期を分ける必要があることを示しているのかもしれません。
これ、なるほど~~~!!でした。
量が限られてるから、必然的に時期が区切られていくって感じなんですかね。
厳しい条件下でも、効率よく機能して生き延びてきた「生命の力」を感じますね!!!