2008-07-01

6/22なんでや劇場レポート②生命の基幹システムを探る~タンパク質の多様なはたらき~

こんにちは、arincoさんに引き続きなんでや劇場のレポートを続けたいと思います。
異種細胞にくっつく役割に特化した線毛という膜タンパク。なんでや劇場では素人でも解るように毛タンパクと命名されました。
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グラム陰性菌の線毛=毛タンパク
毛タンパクというネーミング、解りやすい!となんでや劇場で密かに思っていたのですが、
上記写真のタワシの毛みたいにモジャモジャしているのが毛タンパクです。
今回はこの毛タンパクが何時ごろ登場したのか、その起源を探ってみたいと思います。

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異種細胞にくっつく為の毛タンパク
何の為にくっつくいているのかというと、それは平易に言えば食う為です。
異種生物同士の食い合いは生物の基本であり、くっつくという機能を獲得したのもこの為です。
ではその起源はというと、約20億年前の真正細菌と古細菌との食い合い→共生段階が考えられます。
前回のレポートで紹介されたグラム陽性菌・陰性菌も真正細菌ですが、好気性で代謝活動の高い真正細菌が、栄養不足の逆境下で初めて異種細胞同士の食い合いが起こったのではないかと思われます。そこで異種細胞に取り付くために生まれたのが毛タンパク。
なんで取り付く必要があったのか?食い合いが起こったのか?の詳細はレポート③で述べさしていただきますね。
 
                         
同類細胞同士のくっつき
さてこの毛タンパクは異種細胞同士の食い合いが起源だとして、同類細胞同士のくっつきは何時ごろだったのか?同類細胞同士のくっつきは、真正細菌と古細菌の共生段階以前の、生命誕生の頃まで遡ることができます。
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BIGLOBE百科事典からいただきました。
上記の写真はメタン生成古細菌同士が群体を形成している写真です。細胞壁外側に軟骨成分に似た結合タンパク(メタノコンドロイチン)によって結合し群体を形成しています。
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この写真は鎖状の群体を形成しているシアノバクテリアの写真です。細胞が分泌した粘性多糖類(バイオフィルム)内で群生し、伝達物質を分泌し相互に細胞同士が連絡しています。配管の滑り(ヌメリ)も同じですね。バイオフィルムを形成することで、外界から身を守り、その中で細胞同士が必要な情報を連絡しながら生きています。

同類は結合し易い、という法則により鉱物やアミノ酸などが生成されていった。それらのうち、安定的なものが非生物となり、不安定的ながら増殖連鎖し易いものが生物となった。http://www.biological-j.net/blog/2007/06/000230.html
そもそも同類同士の膜タンパクは全く同じものなので連結しやすく、生命誕生の頃から同類同士の結合様式は根本様式として備わっているのです。
同類が寄り集まることで、生命活動を維持することができる。これって現代人でも実感できる根本原理ですよね。同類認識がベースにあるといわれる、最大の根拠になっているのかもしれません。

List    投稿者 nannoki | 2008-07-01 | Posted in ⑦なんでや劇場レポートNo Comments » 

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