2008-07-02

6/22なんでや劇場レポート③~真核生物の誕生~異種認識の起源

異種がくっ付く機能は、いつ獲得された? 何で?]
・古細菌には毛タンパク(線毛)がみあたらないし、そもそも他の生物が生息できないような高温で生息していたわけで、彼らが他の生物に攻撃をしかけるということは発生時点では考えられない。
・真正細菌でも嫌気性細菌にも毛タンパクがみあたらない(グラム陽性菌が多い)
従って、真正細菌でも好気性細菌登場以降に毛タンパクが登場した可能性が高い
・他方で、真核生物の登場が好気性細菌と古細菌の共生によって生み出されたのだとしたら、共生を行った、好気性細菌と古細菌のいずれかが毛タンパクをつくりだし、相手方に飛び掛り、それが異種接合=共生の始まりである、と考えられる。
・約28億年前:シアノバクテリアが増え、酸素増
     → それを取り込む好気性の真正細菌が登場
《好空性細菌と古細菌の共生による真核生物誕生を巡る当時の生物層イメージ》
 海上面 ⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒
       好気性細菌(シアノバクテリアが吐き出したO2を利用)    
                   ↑
      ―――――――――↑―――――――――  
                   ↑
 海中   シアノバクテリア光合成(CO2を吸収しO2を吐き出す)
                         
                   ↓
      ―――――――――↓―――――――――
                   ↓
    古細菌 (嫌気性だが酸素領域が拡大し生存域は狭まる)    
 海底面 ==================

《リン・マーギュリスの連続細胞内共生説》
『共生生命体の30億年』 リン・マーギュリス (草思社)
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▲連続細胞内共生説(SET)に基づく系統発生図(P.053)より

いつもの、よろしくお願いします。
                 
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・果たして、真正細菌が古細菌に飛び掛ったのか?古細菌が真正細菌に飛び掛ったのか?
・真正細菌は、酸素という燃焼素材を手に入れて運動能力=捕食能力を強めたが、その分、栄養が足りないという事態に陥った。
・他方、酸素が増えることで嫌気性古細菌は、生存域が狭められていったが運動活性は低いため後退戦を余儀なくされていたと考えられる。(結果、現存する古細菌は他の生物が棲めないようなところにしか棲息していない)
・従って、運動活性は高いが、栄養素に欠ける好気性の真正細菌が、古細菌に飛び掛っていったと考えられる。つまり、毛タンパクの発生は好気性の真正細菌が起源ではないか?
・しかし、結果的に、真核生物のDNAは古細菌由来が過半で、好気性真正細菌由来と思わしき部分はマイナー。そうすると、飛び掛ったのは、好気性真正細菌だが、古細菌の方が、統合の主導権を握ったと考えられる。かくも熾烈な戦いの末、共生体たる真核生物が誕生したのだ!

●共生とは:中村桂子
「共生生命体の30億年(リン・マギュリス著)の訳者あとがき」より
お断りしておきたいのは、共生とは、この文字から受ける印象とは違って、それぞれの生物が懸命に生きようとし、時には闘いながら、結局そこに落ち着いた姿であるということだ。共生とは相手を思いやってのことではなく、そうでなければ生きていけない生き方と見たほうがよい。

★次回なんで屋劇場は、さらなる膜たんぱくの不思議に迫ります★
以下は前回なんでや劇場で配布された資料から、膜タンパクの結合様式による生体機能の進化過程図解です。
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▲「なんでや劇場」の資料 より
★資料★
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真正細菌(Wikipedia)
真正細菌とはいわゆる細菌・バクテリアのことで、大腸菌、枯草菌、シアノバクテリアなどを含む生物群である。[中略]核を持たないという点で古細菌と類似するが、古細菌-真核生物にいたる系統とは異なる系統に属しており、両者はおおよそ35~41億年前に分岐したと考えられている。遺伝やタンパク質合成系の一部に異なる機構を採用し、ペプチドグリカンより成る細胞壁、エーテル型脂質より構成される細胞膜の存在で古細菌とは区別される。
[中略]
光合成や窒素固定、有機物の分解過程など物質循環において非常に重要な位置を占めている。
食品関係においてはチーズ、納豆、ヨーグルトといった発酵過程において微生物学発展以前から用いられてきた。また、腸内細菌群は食物の消化過程には欠かすことのできない一要素である。一部のものは病原細菌として、ヒトや動物の感染症の原因になる。対立遺伝子を持たず、遺伝子型がそのまま表現型をとり、世代時間が短く変異体が得られやすい

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古細菌(Wikipedia)
形態的には真正細菌と同じ原核生物に属し、細胞の大きさ、細胞核を持たないことなどの点で共通する。進化系統的にはむしろ真核生物に近縁で、遺伝やタンパク質合成系といった生命の基幹部分の機構も真核生物に類似している。細胞膜はエーテル型脂質より構成され、さらにグリセロール骨格の立体構造が逆になっているという特徴を持つ。
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List    投稿者 ayabin | 2008-07-02 | Posted in ⑦なんでや劇場レポートNo Comments » 

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