2008-05-14

ウイルスって何?(3)~カプシドについて

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ウイルスは、タンパク質殻(=カプシド)で、RNA又はDNAを包んだ構造をしています。前2回に引き続き、本日はカプシドに迫ってみます。
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●カプシドスパイクによるウィルス感染
ウィルスは寄生細胞内で増殖しますが、細胞膜に阻まれ、簡単には侵入出来ません。そこで細胞膜受容体を利用しています。細胞膜には、敵味方を区別し、有用物を取り入れ、不要物を阻む、識別受容体が存在します。下図のように、その受容体に適合するカプシドスパイクをウィルスが持つことで、細胞に有用と騙し、内に侵入するのです。※種により受容体形状が異なるため、種外感染しにくいようです。
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●カプシド変異
種外感染しにくいとしたら、なぜ鳥インフルエンザを警戒するのでしょうか?実は豚が経由しているのです。豚は、ヒトインフルエンザ・トリインフルエンザ両方感染します。つまり豚の細胞膜受容体は、ヒト・トリ両方のカプシドスパイクを受け入れてしまうということです。豚細胞内で、ヒトとトリインフルエンザが混ざり、ヒトカプシドを持つトリインフルエンザが誕生。こうして毎年、新型インフルエンザが流行しています。
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●カプシド生成(仮説)
細胞内に侵入したウィルスは、カプシドを脱ぎ捨て、寄生細胞の機能を利用し、自身の核酸とカプシドを別々に複製、再び合体して増殖します。このように複雑な核酸とカプシドとの協働は、どのように実現しているのでしょうか?
トランスファーRNAのように、特定の核酸と結合するタンパク質が存在することが分かっています。また、核酸情報のコドンさえ合えば、なんであれタンパク質を生成することは可能です。さらに、タンパク質が結晶化することも確認されています。
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前回記事で、ウイルス核酸は、遺伝子の切れ端である可能性が高いと推測されていますが、その核酸を核(中心)にタンパク質が結合、結晶化したものがウイルスの正体ではないでしょうか。
参考
ウイルス感染症がわかる本/田口文章監修
ウイルス=大進化が生み出した断片
ウイルス 変異のしくみ
ウイルス タンパク質の結晶
ウイルス DNAの切れ端

List    投稿者 tanizaki | 2008-05-14 | Posted in ⑤免疫機能の不思議No Comments » 

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