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ウイルスって何?(3)~カプシドについて

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ウイルスは、タンパク質殻(=カプシド)で、RNA又はDNAを包んだ構造をしています。前2回に引き続き、本日はカプシドに迫ってみます。
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●カプシドスパイクによるウィルス感染
ウィルスは寄生細胞内で増殖 [4]しますが、細胞膜に阻まれ、簡単には侵入出来ません。そこで細胞膜受容体を利用しています。細胞膜には、敵味方を区別し、有用物を取り入れ、不要物を阻む、識別受容体が存在します。下図のように、その受容体に適合するカプシドスパイクをウィルスが持つことで、細胞に有用と騙し、内に侵入するのです。※種により受容体形状が異なるため、種外感染しにくいようです。
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●カプシド変異
種外感染しにくいとしたら、なぜ鳥インフルエンザを警戒するのでしょうか?実は豚が経由しているのです。豚は、ヒトインフルエンザ・トリインフルエンザ両方感染します。つまり豚の細胞膜受容体は、ヒト・トリ両方のカプシドスパイクを受け入れてしまうということです。豚細胞内で、ヒトとトリインフルエンザが混ざり、ヒトカプシドを持つトリインフルエンザが誕生。こうして毎年、新型インフルエンザが流行しています。
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●カプシド生成(仮説)
細胞内に侵入したウィルスは、カプシドを脱ぎ捨て、寄生細胞の機能を利用し、自身の核酸とカプシドを別々に複製、再び合体して増殖 [4]します。このように複雑な核酸とカプシドとの協働は、どのように実現しているのでしょうか?
トランスファーRNA [5]のように、特定の核酸と結合するタンパク質が存在 [6]することが分かっています。また、核酸情報のコドン [7]さえ合えば、なんであれタンパク質を生成することは可能です。さらに、タンパク質が結晶化 [8]することも確認されています。
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前回記事 [9]で、ウイルス核酸は、遺伝子の切れ端である可能性が高い [10]と推測されていますが、その核酸を核(中心)にタンパク質が結合、結晶化したものがウイルスの正体ではないでしょうか。
参考
ウイルス感染症がわかる本/田口文章監修
ウイルス=大進化が生み出した断片 [10]
ウイルス 変異のしくみ [11]
ウイルス タンパク質の結晶 [12]
ウイルス DNAの切れ端 [13]

[14] [15] [16]