2007-12-16

最新の中心体研究事情「γチューブリンの発見」

こんばんわ! 8) 中心体に関してさまざまな投稿が続いています。
中心体とは9対の三連微小管が環状に配置されて構成される中心小体が2対1組となったものの総称の事です。中心体は微小管形成中心(MTOC)とも呼ばれ、細胞を形成したり、細胞分裂を行う際の紡錘体を作り出す役割を担っています。
動物の細胞形成において非常に重要な機能が中心小体であるわけですが、最近その中心小体より注目されているのがγチューブリンと言う中心小体に付随するたんぱく質なのです。
今日はそのγチューブリンに注目して謎の多い中心体に迫ってみようと思います。
まずは中心体のウィキペディアの記事に書かれてあったγチューブリンの記述を紹介します。

中心小体の周辺には明瞭ではないが、光学的には明るくみえる中心体マトリックスと呼ばれる球状の構造がみとめられる。中心体マトリックスには、γチューブリン環を含む中心体に特異的なタンパク質が含まれており、中心体の微小管形成中心としての機能を司る構造としては、中心小体より重要な部分と考えられている。中心体:ウィキペディア

聞きなれない「γチューブリン」って何?
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実はこの物質は1989年に発見されています。以下、「21世紀初頭の藻学の現況」という論文からの紹介です。

1990年頃から中心体に付随するたんぱく質が明らかになり、セントリン、ペリセントリン、γチューブリンなど現在では50の数がわかっている。機能解析が行われた結果、γチューブリンは細胞質中で他のたんぱく質とともに25sγ―ゾームというコンプレックスとして存在し、中心菅からの微小菅伸長の担い手であることが明らかになった。さらに中心体たんぱく質が明らかになる中でγチューブリンをはじめとする数種類のたんぱく質が中心小体を持たない陸上植物特有の微小菅構造にも観察された。
それによって中心体の機能の見直しも現在進んでおり、従来は中心小体を含む中心体によって紡錘体形成を行っていると考えられた生物群においても、中心体は必ずしも紡錘体形成に必要ではない事があきらかになりつつある。

gamma.jpg←γ-チュ-ブリン分子の局在を赤色で示す。
因みにチューブリンという言葉がよくわからないと思いますのでγの前に発見されているαチューブリンとβチューブリンを説明しておきます。ここでもウィキペディアさんを参照させていただきます。

チューブリンTubulin は真核生物の細胞内にある蛋白質があり、微小管や中心体を形成している。微小管Microtubuleにあることから毛利秀雄により命名された。微小管のチューブリンには分子量約5万のα-チューブリンとβ-チューブリンがあり、これらが1個ずつ結合した”チューブリンダイマー”がさらにらせん状に重合して微小管を形成する。チューブリンはGTP結合蛋白質であり、GTPの結合・加水分解により微小管が調節される。また中心体にはγ-チューブリンがあって微小管形成において重要な役割を演じている。

では、このγチューブリンの最も特徴的な部分を解説した研究があります。紹介してみます。基礎生物学研究所の長谷部氏の論文です。
植物細胞は中心体なしでどのようにして微小管をつくるのか
よく知られているように、高等植物(ここでは、花の咲く植物と考えてください)の細胞は中心体を持ちません。では、中心体の機能はどのようにして代替されているのでしょうか。中心体の最も大きな機能は微小管をつくることです。動物の細胞では、中心体から微小管が伸びて、放射状の配列をつくります。微小管は、細胞内の輸送や細胞分裂に働きます。高等植物の細胞は中心体なしに微小管をつくります。微小管は細胞表面に配列し、細胞を細長く伸ばす事に働きます
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中心体の主要な機能が微小管をつくることだとすると、植物の細胞はどのようにして微小管をつくるのでしょうか。この疑問は植物細胞の研究における古くからの謎でした。私達は、微小管から枝分かれによって微小管が伸びることにより、表層に存在する微小管がつくられていることを証明しました。微小管が枝分かれするということは、動物細胞の常識から見ると、とても意外なことでした。では、枝分かれはどのように起こるのでしょうか。タバコ培養細胞を使った再構成実験により、細胞質中のガンマチューブリンが微小管上に結合して、枝分かれをつくることがわかりました。ガンマチューブリンは、動物細胞で中心体に局在し、微小管の重合核になるタンパク質です。高等植物では、ガンマチューブリンの挙動が変わったことにより、微小管の枝分かれが起こるようになったと考えられます(図)。
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γチューブリンは動物の微小菅を伸長させるだけでなく、植物においては微小菅を伸ばしていく重要な物質なのです。いわば生命体の躯体を作り出す原動力となるたんぱく質がγチューブリンなのです。動物界での中心体の解明はまだ途上のようで、このような物質がどんどん機能解明されながらまだ追求されているようです。(by tano)

List    投稿者 tano | 2007-12-16 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

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