2007-10-31

中心体は、生命の統合器官のひとつ

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分裂中の細胞における染色体(青)と紡錘体(緑)
※画像引用元はコチラ

一昨日、昨日につづき、微小管中心体についてのエントリーです
中心体は、細胞分裂(有糸分裂)のときに、極めて重要な役割をはたす細胞小器官(オルガネラ)のひとつです。

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●有糸分裂のしくみ(おさらい)
→こちらもごらんください。  『無性生殖の高度化(有糸分裂の仕組みとは)』

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※図版引用元:『視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録』数研出版編集部, 鈴木孝仁監修、数研出版(2007/02)

両極の中心体にはそれぞれ一対の中心小体がみられます。微小管は両極の中心体から伸びて、赤道面に染色体を整列させます。中心体と動原体を結ぶ微小管と、両極の中心体から伸びて紡錘体の中央部で重なり合う微小管があります。

有糸分裂のプロセスを微小管、中心体に着目してまとめると・・・

1.前期:長く伸びていた微小管が多数の短い微小管となる。分裂前の間期に中心体は複製され、その二つがモータータンパク質であるキネシンの働きで両極に向けて離れていく。

2.前中期:核膜は崩壊。離れた二つの中心体は紡錘体極となり、そこから伸びた微小管が染色体の動原体に結合する。

3.中期:星状体、紡錘体が形成され、この時期に微小管の構造がはっきりしてくる。中期板ができ、赤道面に染色体が集まる。染色体が中期板を形成するまで細胞周期は進行せず、これを紡錘体形成チェックポイントという。

4.後期:動原体微小管が縮み、染色体が極へと移動する。そして、紡錘体極が離れていく。

5.終期:染色体が紡錘体極へと到達し、分解されていたゴルジ体や核膜が再形成される。

6.細胞質分裂:アクチンとミオシンの働きにより、分裂溝ができて、細胞が分かれる。

●分裂装置

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※図版引用元:『視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録』数研出版編集部, 鈴木孝仁監修、数研出版(2007/02)

このように、微小管と中心体のおかげで、染色体の均等分配をはじめ、すごく精密な細胞分裂が可能となっています。
(ちなみに、植物の細胞分裂では中心体なしでもきちんと細胞分裂を行っています。。。これはこれでたいへん不思議)

いうまでもなく、細胞分裂は、最も重要な生命現象の一つです。
中心体は、この細胞分裂を司る統合役を担っているのです

さらに興味深いことに・・・

●中心体の複製やはたらきはかなり厳密に制御されている。
中心体は、細胞周期の最初には1個、有糸分裂の際には2個存在するように、1回の細胞周期につき1回だけ複製(倍加)されます。中心体の複製異常は染色体の分配異常を引き起こし、腫瘍細胞の悪性化=ガン化につながるため、制御システムがはたらいているようです。
なお、この自己複製する中心体が独自の遺伝子を持つのか否かについては、まだよく分かっていないようです。
→こちらもごらんください。 『M期中心体の構造と機能を保障するKiz』

●中心体の複製とDNAの複製は同調している。
中心小体の複製を阻害するとDNA複製も阻害されるという研究があります。正常細胞では中心体複製とDNA複製の開始が同調的に行われ、しかも一度複製された中心体は同じ細胞周期中には再複製されません。逆に、癌細胞では中心体複製とDNA複製の開始が同調されておらず、中心体が再複製され3つ以上となっている場合もあります。(ガン細胞の増殖を防ぐ目的で、微小管や中心体の生成を阻害する抗ガン剤も開発されているようです)

●細胞分裂時のmRNAの分配にも関与?
発生過程において、細胞の種類によってそれぞれ異なるメッセンジャーRNAが中心体に結合し、その後細胞分裂において分配されます。この過程で、当初細胞質に分散していたmRNAは、微小管に沿って中心小体周辺に集まり、有糸分裂中に中心体から離れ、アクチン繊維に沿って分配される挙動を示しているようです。
→こちらもごらんください。 『発生:卵割期胚の中心体に局在するmRNAの非対称な分配』

★中心体は、生物の教科書でも「細胞小器官のひとつ」として説明されることが多いのですが、上記のような現象事実から、中心体は、生命現象を司る極めて重要な統合器官のひとつであると考えるべきでしょう

List    投稿者 iwaiy | 2007-10-31 | Posted in ①進化・適応の原理2 Comments » 

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コメント2件

 さんぽ☆ | 2007.12.01 4:13

この図すごいですね!!
分かりやすいです。
オスメス分化の秘密を知れば知るほど、オスとメスって違うんだなって実感。
でも、どちらも必要だし、そうやって分化することで適応してきたんだって思うと、尊いものだなって思います☆

 こん | 2007.12.04 14:33

非常に分かりやすい図ですね。何点か、お聞きしたいことがあります。調べたのですが分からないところがありました。
1】HY抗原たんぱく質とは
・体細胞表面(たぶん細胞膜)にあるようですが、分かりませんでした。性分化の段階で、Y遺伝子上にしかないSRY遺伝子の指令で作られるようですが・・・
男の臓器を女性の移植すると拒絶反応がおきます。それは、このHY抗原の仕業のようですが、どうも、どこにあってどのような作用をするものなのか?わかりませんでした。弱い拒絶反応はあるようですが、どうなんでしょうか?
2】抗原とはそもそも、外来の毒。性分化の時に、なぜ、抗原を放出する必要があるのだろうか?HY抗原が放出されるとオスのメス化を阻害するものらしいです。X遺伝子から、これは作られませんのでそのままメスとなるらしいです。なぜ、毒により、男性化を進めることになるのでしょうか?
3】精子の先体の表面には抗原が一杯ついている?この役目は?
4】精子が作られるまでの過程で、どこで、外来の情報が伝わるのか?
免疫機能との関係を調べていましたが、体内に細菌やウイルスなどの抗原が取り込まれたときに、発熱し、後天性免疫機能によって抗原抗体反応が促進され、抗体が作られ、病気が完治します。その反応の記憶が、精子生成時のどこかで、精母細胞や精原細胞、精細胞、精子に転写されるのでしょう。
精細管の中で精子が作られるとき、なんらかの形で、精子の中心体や先体を抗原にさらし、その転写(抗体情報)を精子の中心体や先体からY遺伝子上のSRY遺伝子へと伝達して、性分化のときにHY抗原を作らせるという機能をもつようです。しかし、ここの機能は詳しくは分からず、推測の域を脱しえません。ここがどうなっているのか?また、免疫機能の記憶がどのように精細胞に転写されるのか?追求課題でありますが・・・
5】細胞膜上にある膜タンパク質を通じてどのように細胞に取り込まれるのか?体細胞の情報が、精細胞に伝わるとは、考えにくいので、免疫機能の血液から伝わると考えたほうが妥当か?
6】解明の糸口
こんな研究からも情報が得られると思います。
・哺乳類の成体での、性転換は可能か?その場合のHY抗原とはどうなるのか?細胞そのものが違えばその転換は難しい?
・内分泌撹乱物質と精子半減のメカニズムより、抗原情報が、精子に転写されているのでは?そのメカニズムは?
・男性不妊症のメカニズム。抗精子抗体(anti-sperm antibody :ASA:精子に対する抗体で、精子を死滅させたり卵子との受精を妨げたりすることで免疫性不妊の原因となるもの。ASAは精子の表面に多数ある抗原を認識している抗体)の研究より、何を誤認してしまっているのだろうか?自己免疫疾患の一部のように思えますが、この抗原抗体反応は、何を意味するものなのだろうか?が解明されると、分かるきがします。
今後も、調査を継続しますが、外来の情報(圧力)をどのようにして、精子に転写してゆくのか?が解明されると、変異体としてのオスの存在があきらかになるのではないでしょうか?

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