2007-06-11

“うつ”のメカニズム②「ノルアドレナリン」

前回の①ではセロトニンについて見てきましたが、②ではノルアドレナリンについて見ていきます。

というのも、うつ病患者では、セロトニンだけでなくこのノルアドレナリン系の活性低下も見られるらしく、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害する薬剤で症状の回復が見られるからです。

melancholia2.jpg
     ※画像は、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)の作用機序
      出典はhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~yakugaku/melancholia8.html

気になった方は続きを読む前に応援お願いします。
ブログランキング・人気ブログランキングへ にほんブログ村 科学ブログへ

 にほんブログ村 科学ブログへ


●ノルアドレナリン

・神経を興奮させる神経伝達物質。不安や恐怖を引き起こしたり、目覚め、集中力、記憶、積極性、痛みを感じなくするなどの働きがる。ストレスとの関係も深く、敵(ストレッサー)に出会った緊急反応の際に自律神経の末端で分泌され、交感神経を刺激。血圧や心拍数を高める作用がある。(http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=19672
・ノルアドレナリン活動が低下すると、覚醒レベルが低下し、無気力、無関心となる。
・ノルアドレナリン系とは脳内のアラームシステム。覚醒水準を上げて注意を喚起したり、情動行動やストレス反応などを誘発する。
・受動的ストレス反応(ストレスが強すぎたり、長く続く 、対処できない場合)、パニック状態になったり、闘わずにじっと動かなくなったりする(フリージング)。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=91663

どうやら、このような機構になっており、その一環としてノルアドレナリンが機能しているようです。

脳の視床下部がストレスを感知すると、CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)を放出して脳下垂体へストレス刺激を伝達する。下垂体はACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を分泌し、これを受け取った副腎皮質がコルチゾールなどの副腎皮質ホルモンを血液中に放出。この結果、血中の糖が増えたり、免疫力が低下する。
視床下部が受けた刺激は自律神経系を通じて副腎髄質に伝えられ、ここからノルアドレナリンなどを分泌する。こちらは、心拍数や血圧があがったり、胃腸の働きが抑えられるなどの反応を引き起こす。(http://www.sankei.co.jp/eco/special/big/112.html

ノルアドレナリンは、敵に出逢った時に、全身の“戦闘態勢”を万全にするためのホルモンの一つといったところでしょうか。敵が目前に迫っているのに弛緩していては、適応できない。恐怖や不安を生起させるホルモンなど厄介に思いますが、それはそれで生き抜いていく・適応していくには不可欠なホルモンです。

<③につづく>

List    投稿者 nanbanandeya | 2007-06-11 | Posted in ④脳と適応No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.seibutsushi.net/blog/2007/06/33.html/trackback


Comment



Comment