2007-06-27

光合成生物の誕生

46億年と言われる地球史前半の20億年間、地球は低酸素で細菌だけの世界だったらしい。
最古の生命の痕跡はグリーンランドの岩石中に残された38億年前の有機炭素といわれています。

そして、約36億年前のオーストラリアの岩石中からは細菌化石が見つかっており、この細菌は酸素発生型の光合成を行う現生のシアノバクテリア(ラン藻ともいわれる)と似た形をしています。

参考書籍;『生物の科学 遺伝 別冊12号』より


光合成生物はどのように誕生したのでしょうか

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【光合成以前の生物状況】
一般に知られている微生物の多くは、常温、常圧で栄養の豊富な環境のもとに存在しているが、これは地球上に存在するごく一部でしかありません。

火山や温泉地帯の高温環境、極地にみられる低温環境、深部地下にみられる貧栄養、無酸素条件、深海水域の高圧環境などの「極限環境」においても、それぞれの環境に適応した微生物が多数生息しています。

生物の起源についてもいくつかの仮説があります。
そのうちの一つが熱水噴出口説で、海底に高温の熱水が噴出する「熱水噴出口(ハイドロサーマルベント)」があり、この高温、高圧、暗闇の極限環境に高密度の特異な生物群落が発見さています。
つまり、生命の誕生の舞台は深海の熱水噴出口であったと言うものです。

約36億年前に、それまでと異なる、ある特徴を持った生物が誕生します。それは、光を使用することによってエネルギーを作り出す生物です。

それまでの生命は硫化水素など環境中にある栄養分を分解するだけでしたが、自ら光合成によってエネルギーを作り出すことが可能になりました。

なぜ光合成を行う生物が出来たのかは不明ですが、おそらく繁殖に耐えうる栄養分が確保できなくなった可能性が高いように思われます。従って、よりエネルギー交換率の高い光合成を行うようになったのではないでしょうか。

【光合成を獲得した生物】
光合成には酸素を発生させる酸素発生型と酸素を発生しない酸素非発生型があります。約36億年前に出現したのは酸素非発生型光合成生物であると思われます。

光合成の起源について

光合成は二酸化炭素と水を取り入れ、酸素を発生するものだけだと思いがちだが、じつは、最初に光合成を行なったバクテリアでは、利用したのは水ではなかった。水より前に硫化水素と有機物を使うものが生じたと考えられている。二酸化炭素と光を使って糖を作るのは同じだが、利用する物質が違うと廃棄物は変わる。水を使うシアノバクテリアになって初めて酸素を発生したのだ。

約32億年前の地層から光合成をするシアノバクテリアの化石が発見されています。もっと古いものがあったとする説もありますが、今のところ研究者の合意を得ていません。

酸素発生型光合成生物(シアノバクテリア)の誕生

最初は水の代わりに海の中にある硫化水素、有機酸を使った光合成が始まった。しかし、これらは量 的にも限られており、地域も決まっていた。これでは行き詰まってしまう。そこへ水を利用する光合成が登場したのだ。

シアノバクテリアなどの地球上に存在している酸素発生型光合成生物は、酸素を発生しない光合成細菌から進化したことが、光化学反応中心タンパク質の構造や反応を担う分子の性質の連続性から明らかになっています。
一方、酸素を発生する機構やその安定化のためのタンパク質などは、酸素発生型光合成生物が出現した時に不連続的に獲得された形質で、その起源を既存の生物やその反応系に求めることが難しいのが現状のようです。




次回は、『27億年前のシアノバクテリアの大繁殖』について考えてみたいと思います。
長文にお付き合い頂きありがとうございました m(_ _)m

by 村田頼哉

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List    投稿者 yoriya | 2007-06-27 | Posted in ①進化・適応の原理1 Comment » 

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コメント1件

 zanzasu | 2009.10.09 21:23

たいへん分かりましたありがとうございます

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