2007-05-13

チンパンジーの成長 2

さて、昨日に引き続きチンパンジーの成長と発達の過程を見て行きましょう 🙄
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人間で言うと社会人デビューに当たるのが、チンパンジーの16歳。
16歳以上のオトナオスになると、社会性を持つ事でオス同士の共認による協力関係 🙂 や、評価不全等による葛藤 :blush: (自我の芽生え?)が頻繁に見られるようになります。
序列上の優位に立つことで、メスとの交尾 の機会が得られやすくなりますが、これは抜け駆け が可能な時に限られます。
チンパンジーの集団は離合集散する事が知られており、季節ごとに集団規模を変化させながら20~100匹程度の社会を構成しています。小集団での行動が多い時期では、アルファオスの目の届かない範囲も生じる為、オトナオスの中でも上位のものには、メスの獲得機会が生じるのでしょう。しかし、アルファオスに見つかってしまえば、当然ながらメスはアルファオスの元に戻り、場合によっては抜け駆けオスは制裁 👿 を受ける事もあるそうです。この離合集散の機会は、自我の発現しやすい構造でもあると言えます。
また、オトナオス間では最も頻繁に示威行動(チャージングディスプレイ)や他のオスやメスとの毛づくろいをするのが観察できるそうです。日々、序列闘争を繰り返し、順位の確認をしつつ、時には連合を組んで上位オスを叩き落す事もあるそうです。
例えオトナオスになったとしても、メスを獲得する為には、目上のオスに勝たなければならない。性闘争は、力の序列によって完全に封鎖される、といった仕組みが見られます。
Yolo.gif
写真は、ボッソウのアルファオス、ヨロさん
迫力満点
ワカモノメス(9~13歳)は、未だ母親の傍を離れる事は少ないが、発情を迎えるようになります。しかし、実際に交尾をして妊娠するようになる前に、他集団へと移籍をします。
オトナメス(14歳~)となり、他集団への移籍後16歳くらいから、5~6年周期でコドモを産むようになるそうです。この周期は、コドモの成長過程として昨日の記事で説明した通り。コドモが親離れをする頃に、また発情が始まる、といった具合で、かつ同じ集団内においては、メスの発情周期は少しづつずらされているそうです。
最も強いアルファオスの子孫を確実に残そうとする仕組みが、見事に組み込まれています。
さて、最後に老年サル(33歳~)を見てみましょう。
既に年老いて序列闘争からも外れ、または生殖期を終えた個体も、40~50歳くらいまで、他の個体に守られて生きて行くそうです。
このように、チンパンジーの世界では集団を統合する仕組みはあくまでも序列優位。しかし、その序列を共認する事で集団内の役割を果たし、かつ縄張りを守りながら、最後まで仲間を大切にして生きている動物なのです。
厳しい外圧状況に打ち勝っていく為には、明確な序列の共認によって、時々発現する自我を封鎖し、常に集団第一である事。
自我の肥大した人類 🙁 がチンバンジーから教わる事は、沢山ありそうですね
かわい、でした。

List    投稿者 kawait | 2007-05-13 | Posted in 3)地上へ進出した哺乳類(原猿から真猿へ)3 Comments » 

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コメント3件

 yui | 2007.06.30 22:23

初めてコメントします。気になる点が2点あったので。
>上図1.の核小体(一般的には核と呼ばれる)はDNAを核膜で保護したことで、二重の膜空間が生まれDNAの安定性を獲得しました。
核小体は核とは別物です。
核小体は細胞核の中にある、タンパク質とRNAの複合体です。rRNAの合成を行うようです。
(参考:岩波生物学事典第4版 p.205-206)
>この二重の安定空間を獲得したことで、それまで生存を脅かす酸素や紫外線を栄養源とする原核生物(ミトコンドリアやシアノバクテリアが葉緑体となる)を取り込んでの共生が可能となったのです。
この書き方だとシアノバクテリアの光合成が紫外線を特異的に使うようにみえて、具合が悪いです。

 つじ1 | 2007.07.01 21:22

yui さんコメントありがとうございます。
核小体は私の勘違いでした。ご指摘の通りで、本文を修正しました。

 yasou | 2007.07.11 13:27

なんで真核細胞は、核膜をつくる必要があったのだろう??これって難問・・と思っていたら、答えがこの記事に載っていて、すっきりしました。

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