2007-05-05

共認機能の獲得(1) 本能不全

サル・人類だけが、共認機能を獲得している。共認機能があるから、豊なコミュニケーションができるし、仲間をつくったり、集団をつくったりすることができる。

共認機能は、どのようにして獲得されたのであろうか?
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<原猿の群れの構造>
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①「樹上」を独占→繁殖  最高の防衛力と生産力
・樹上というのは、陸・海・空とは別の第四の世界。樹上に棲める動物はサルだけ。
・樹上には外敵が殆どいない。チーターやヒョウなど、木に登れる動物もいるにはいるが、大きな幹までしか登れない。サルのように、細い枝や枝の先までは登れないし、枝から枝へ飛び移ることはできない。樹上に棲むことはできない。
・その上、樹上には栄養価の高い果実や木の実がたくさんある。
・原猿たちは、このような「樹上」=第四の世界を独占し、最高の防衛力と生産力を手に入れることになる。
※原始的な原猿(ネズミ大)は、主に虫やトカゲなどを食べていたが、木の実を食べることができるようになって、しだいに(ネコ~中型のイヌぐらいの大きさに)大型化してゆく。

②縄張り闘争激化
・そうなると、ジャングルを埋め尽くしながら、その食料限界まで原猿は繁殖してゆくことになる。
・食料限界まで繁殖すると、モグラ以来の強力な性闘争本能故に縄張り闘争が激化する。

③敗者は恒常的な緊張感、飢え、怯えの不全感
・通常、性闘争(=縄張り闘争)に敗れた敗者は、行き場を失って外敵に食われたり、餓死したりして、殆どが死ぬ。
・しかし、樹上には何本もの枝があり、縄張り内には何百本もの樹がある。ジャングルでは樹が密生しており、樹と樹は重なり合っている。(勿論、地上に降りることも可能。)だから、原猿は、枝から枝へ飛び移ることのできる能力を使えば、平面方向だけでなく、立体方向にも逃げること(樹上逃避)ができる。
・このような樹上空間の特性故に、樹上では、縄張り闘争の1匹の勝者が、多数の敗者を縄張りから完全に追い出すことは物理的に不可能である。
・その結果、縄張り闘争に負けて、縄張りから追い出された弱オスも、大多数が死なずに中途半端な状態(縄張りは持たないけれど、外敵に食われるわけでも、餓死するわけでもない)で生き続けることになる。
・縄張りを持つ覇者は、メスの掠奪は許さないが、縄張り周辺でのエサの掠め取りを防ぐところまでは手が回らない。縄張りを持てない弱オスたちは、各縄張りの境界線上にたむろするが、覇者が恐ろしいので、覇者の目を盗んで掠め取ることしかできず、十分な食料にありつくことはできない。
・こうして、弱オスたちは、覇者の縄張りを侵している(何時襲われるか分からない)という「緊張感」や「飢え」「怯え」など、恒常的な不全感(苦痛)に苦しめられることになる。

④本能不全(死ぬはずが死ねない)
・縄張り闘争に負けたら殆どが死ぬというのは、本能のままに生きる動物にとっては宿命である。しかし、原猿たちは、縄張り闘争に負けても死なない。というか、正確に言えば、本来死ぬはずのものが「死ねない」。このような極限状態で生き続けることに適応する機能は、本能にはない。
・この不全感は、本能そのものが混濁するという本能ではどうにもならない、従って本能を超え出るしかないという課題だったのである。

本能不全に陥った原猿たちはどうしたか?
続きは次回のお楽しみ!

List    投稿者 fkmild | 2007-05-05 | Posted in 3)地上へ進出した哺乳類(原猿から真猿へ)No Comments » 

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