2007-02-05

脳進化をして生き延びた猿人

樹上で生活しながら共感→共認機能を発達させ地上最強の動物となったサル。ところが足の指が先祖返りで木をつかめなくなったカタワのサルは一気に地上最弱な動物になってしまうのです。
恒常的な餓え(食べるものがない)と怯え(いつ襲われるかわからない)の中で生き延びていた彼らはどのように進化していったのでしょう?
今日は約700万年前に登場した猿人がどのように生き延びてきたのか考えてみます。
a.jpg出典:NHK出版「NHKスペシャル 地球大進化6」、別冊日経サイエンス151「人間性の進化」
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●約700万年前にアフリカで初期人類である猿人が登場
猿人の種類は現在以下の6種類が確認されています。
 サヘラントロプス属
 オロリン属
 アルディピテクス属
 アウストラロピテクス属
 パラントロプス属
 ケニアントロプス属
(※猿人類の化石は全てアフリカ内から発掘されていますが、まだまだ発掘が進んでいない地域が多く、さらに多くの種類がいたと考えられます。)
このうち、アウストラロピテクス属は後の原人へと繋がっていきます(サヘラントロプス→オロリン→アルディビテクス→アウストラロピテクス→原人)が、パラントロプス属、ケニアントロプス属は絶滅してしまいます。(同じアウストラロピテクス属の中でも、原人へと繋がるアファレンシスを除き、ガルヒ、バーレルガザーリは絶滅している。)
● これら絶滅した猿人類と、原人へと繋がっていく猿人類の違いって何?
着目点として出土した骨から肉体機能の差が考えられます。
絶滅したパラントロプス属は、「頑丈型猿人」と呼ばれ、非常に大型。あごが強く発達しています。ケニアントロプスもホモ・ルドルフェンシスに近い形質を有している為、やはり頑丈型に近かった可能性が高いと考えられます。これら「頑丈型」猿人は、肉体改造を行っていった結果、肉体が大型化・頑丈化していきました。
逆に原人類へと繋がるアウストラロピテクスは、肉体を大型化させず、代わりに脳容量を拡大させていきます。
最後の「頑丈型」猿人、パラントロプス・ボイセイの脳容量は約400~500cc。
パラントロプス・ボイセイと同時期を生きた原人ホモ・ハビリスは600~800ccの脳容量がありました。
●「頑丈型」猿人はどうなった?
パラントロプス属など「頑丈型」猿人は、どれだけ本能機能に可能性収束しても、肉体を一定以上大型化することはできず、また、牙や素早い逃げ足も獲得することはできませんでした。更に、あごを頑強にしたことにより、脳容量を増大させることも不可能になり、
結果、頑丈な肉体は「中途半端な武器」にしかならず、過酷な外圧状況を生き残ることはできなかった。
●脳容量を拡大させた猿人はどうなった?
現生人類に繋がるアウストラロピテクス属は、サル時代に発達させた共認機能に可能性収束→観念機能の獲得=脳容量の増大に可能性収束していきます。
この脳の進化はアウストラロピテクス・アファレンシス(400万~300万年前)→アフリカヌス(300万~250万年前)→パラントロプス・ボイセイ(250万年前~150万年前)と時代が進むにつれて、平均脳容量が約380ccから500cc前後まで発達していきます。
この知能発達=脳進化の原因は大きく3つ考えられます。
①歩行訓練における共認機能の発達
足の指で樹を掴めるという本能上の武器を失った人類は、棍棒などの道具を使い、外敵に対応しようとします。そして道具を握って動くには、二足歩行で素早く動き回る必要がある。その二足歩行訓練(右左右左の単調なリズム)が、踊りの原型です。この踊りは、人類にとっては闘争課題であると同時に仲間との親和充足を高める充足課題でもあった。この直立歩行訓練の中で親和充足・解脱充足を得ることで、(猿時代に獲得した)共認機能を発達させて行った。(完全な2足歩行の形跡は、500万年前のラミダス猿人段階で確認されるが、当時の人類は言ってみれば「ヨチヨチ歩き」の段階で、日常的に歩行訓練を行っていたと考えられる。)
②食生の肉食化(死肉食)
 脳は大量のエネルギーを消費する為、栄養価の高い食生が必要不可欠。肉食は(肉体負荷が高い一方で)エネルギー量が高く、脳の発達の促進が可能になった。
③遺伝子の変化
 DNA解析の結果、約300万年前の猿人段階で全ての生物にセットされている「脳の発達を抑制する遺伝子」が欠損したことが解っています。(脳を発達させることは、出産負荷の増大、エネルギー負荷の増大など生命的負担が大きくなる為、発達を抑制する遺伝子が生物にはセットされている)この遺伝子が欠損したことで、本能的限界を超えて脳を発達させることが可能になった。
こうしてアウストラロピテクス属は生き延びていきました。
■猿人から原人へ
木から落ち、本能レベルでは全く外圧に対応できなかった猿人。この逆境状況において可能性収束したのが、(本能ではなく)猿段階で獲得した共認機能の進化=知能の発達だった。この共認機能に元づく充足だけが生きる糧であり命綱だった。この脳進化・共認機能進化が原人段階での観念機能獲得を可能にしていきます。
つづく・・・

List    投稿者 saihiro | 2007-02-05 | Posted in 4)サルから人類へ…No Comments » 

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