2007-02-04

世界最古の人類化石(トゥーマイ)が意味するもの

世界最古の人類化石が2001年アフリカ中部のチャド共和国ジュラブ砂漠で発見された。700万年前と見られるその化石は愛称をトゥーマイと名づけらた。希望を意味し、現地で乾季の直前に生まれた子供に付けられる名前という。この化石は人類の歴史を200万年さかのぼらせ、人類発祥の地を東アフリカから中央アフリカに変更し、さらに、二足歩行の起源の仮説にも大きな影響を与えた。
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(愛地球博プレスリリースより)
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発掘風景(NHKスペシャル人類誕生 最古の化石 トゥーマイの物語より)

地元の大学生が砂漠の中の砂岩層で頭骨を発見。その後、あご2個、歯3本が見つかった。最低でも5体のものとみられる。
サハラ砂漠の南の地域を指す「サヘル」と、国名にちなみ、「サヘラントロプス・チャデンシス」と名付けられた。愛称は「トゥーマイ」。現地では乾期の直前に生まれた子どもにつけられる名前という。
出土したゾウやカバなど動物化石の分析や、年代が特定されている東アフリカの地層との比較などから、600万年以上前の化石で、700万年前に近いと判断された。火山灰の地層が少なく、放射年代測定法は利用できなかったという。
張り出した額の特徴などから、頭骨は大人の男とみられる。頭蓋(ずがい)の容積はチンパンジーと同程度の350CC。形は類人猿に近いが、犬歯は短く、類人猿ほどとがっていないなどヒトに近い特徴を併せ持っていた。頭部以外の化石がないため、二足歩行の確認はできないが、頭骨の形状は二足歩行する他の猿人に近いとしている。(以上引用:最古の人類化石発見?より)

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(発掘地に近いチャド湖の位置世界の湖35チャド湖より)
この発見は、人類の歴史が500万年から200万年さかのぼり、従来人類発祥の地は東アフリカと思われていたのが中央アフリカに変わるかもしれないという大きな発見であったが、もう一つ大きな発見があります。それは、人類の二足歩行がどの様にして始まったかと言う仮説が大きく見直しを迫られたのです。
かつての仮説は、サバンナ仮説が主流でした。これは、気候の乾燥で森林がサバンナ化し、それに適応するため人類は二足歩行を始めたという説です。ところが、トゥーマイの化石と一緒に発掘された動物化石を見るとトゥーマイが暮らしていたのは水の豊な森と草原という環境だったのです。
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背景が生息環境の復元図(最古の人類に迫る 700万年前の化石の謎:日経サイエンスより)
>「トゥーマイ」復元像の周りには、水、サバンナ、草原、森など、当時、「トゥーマイ」が暮らしていたであろう環境に区別された、30あまりもの魚、亀、カバ、キリン、サルなどの哺乳類の化石も展示されている。この生態系は、今回のネイチャー誌の表紙を飾った、「トゥーマイ」復元像の背景となっている、現存する環境では似ていると思われている、ボツアナのオカバンゴ・デルタと同じ様な環境を意味している。「トゥーマイ」は、700万年前にこのようなモザイクな地勢環境の中で生活し、2足歩行をしていたと思われている。
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(以上引用愛地球博プレスリリース
バイオロジカルジャーナルでも人類が二足歩行を始めたのは、先祖がえりで足の指が退化し木に登れなくなったからという説を提起していますが、環境の変化が否定されたことで、適応進化による二足歩行の可能性は少なくなり、先祖がえりの可能性が高まったのです。
また、このような環境であれば、木から落ちた後も生き残れる可能性が、サバンナに比べ高くなります。人類の進化とトゥーマイの化石に関しては、るいネットの次の投稿も参考になりますので、是非読んで見て下さい。
最古のヒト化石 トゥーマイ
人類を襲った最初の逆境とは何であったか

List    投稿者 nodayuji | 2007-02-04 | Posted in 4)サルから人類へ…No Comments » 

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