2006-12-06

原猿から真猿へ:脳の進化

生物の進化は塗り重ね構造です。
その進化の特徴を最も顕著 に示しているのが、脳の進化です。
 
脳は、脳幹→小脳→大脳→大脳新皮質と塗り重なって進化してきました。
は虫類の脳と呼ばれる脳幹・小脳
ほ乳類の脳と呼ばれる大脳
霊長類の脳と呼ばれる大脳新皮質
 
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図1(http://www.brain.riken.go.jp/japanese/g_braaw/g2.html#topより)
大脳は赤、小脳は黄、間脳は緑、中脳は青、延髄は茶色、嗅脳(嗅球など)はオレンジで示した。中脳と間脳、延髄を合わせて脳幹と呼ぶ。ニホンザル、チンパンジー、ヒトでは、大きく発達した大脳が間脳と中脳を覆っている。
 
図1より、サルの段階で、ほぼ人に近い脳に進化していますね 😮
 
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霊長類であるサルは、特に大脳新皮質を進化させていきます。また、体重に対する脳の重さも、他の哺乳類と比較すると重くなっています
 
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図2 哺乳類の脳(<参考文献>Kandel, Schwartz, Jessel: Essentials of Neural Science and Behavior)
 
この図より、サルの脳の形はほとんど人類と変わらないことが分かります。シワの数(表面積)には、大きな違いがありますが、サルの段階で人類の基礎となる機能を塗り重ねてきているのではないでしょうか
 
 
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P:霊長類 C:食肉目
D:クジラ目 S:アザラシ
U:有蹄類 E:貧歯目
L:ウサギ目 M:有袋類
R:げっ歯目 I:食虫目
B:翼手目
 
図3哺乳類のさまざまな分類群における、体重と脳重の関係
http://nh.kanagawa-museum.jp/tobira/6-2/hasegawa.htmlより)
体重に比較して脳の重さは、霊長類全体が他の哺乳類より、重いことが分かります。
 
 
よく、書物等で「サルは、社会を形成したので脳が進化した。」と言われます。この社会を形成するとは、具体的には 🙁 ?どういうこと ?と疑問が残りますよね。
確かに集団(社会)を作ることが脳の進化と大きく関係していますが、もう少し 詳細に押さえてみようと思います。
 
サルは視覚機能 を、まず樹上 (3次元空間)で生きていくために進化させました。視覚機能の進化により十分な エサを確保できるようになります。この視覚機能の獲得を中心として、原猿段階のサルの脳は、 進化します(11月20日のニシタニさんの報告「霊長類の視覚進化」参照)。
そして、5500~5000万年前の地球上の気温上昇 による森林拡大 と共に、原猿達は繁殖し始めます
 
その後、5000~3000万年前の急激な 寒冷化・乾燥化の環境の変化により、原猿達が生息する森林はどんどん縮小していきます 😥 。
 
本来生物にとって、敵とは、他の種=外敵でした。サルはこの森林拡大後の乾燥化により、生息域が縮小し、同類(同じサル)を敵としなければ生きていけない状況に追い込まれます。また、木の上では、相手はやっつけたと思っても他の木に飛び移り死にません 🙁 。
4500~4000万年前の真猿類の登場のへ向けて、サルの同類闘争が激化 👿 します。激化と共に今までの本能にない弱サル同士の共感機能 😛 から、真猿の共認機能を進化させました。( 実現論・序ニ.サル時代の同類闘争と共認機能参照)
 
この今までにない同類闘争の圧力(=本能では対応できない逆境 😥 )が、脳を大きく進化させました
同類闘争の中では、サルの仲間同士がお互いの表情を視覚機能で見るだけでなく、相手の気持ちや期待が分かる心(共感・共認機能)を作り出しています
 
この共認機能を獲得したことにより、真猿段階で、課題や役割や評価の共認が可能となり、更に脳が進化し、集団(社会) 😛 😮 😀 を作ることも可能となりました。
 
yooten)

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