2006-11-04

哺乳類の性闘争本能と内雌外雄2

前回の性闘争=縄張り闘争の本能を強化に続いて、哺乳類の内雌外雄についてみていきたいと思います。
前回のおさらい

哺乳類は外敵闘争の必然から性闘争(=縄張り本能)を激化させたと云えますが、メスはそれに同時に「安全な出産・育児と十分な食料確保」という期待 強者選択本能を強化していき、更に、オスの成体後の性闘争=縄張り闘争の本能を強化していったのです。

では、この性闘争本能の強化と内雌外雄にはどのような関係があるのでしょうか
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内雌外雄とはその字が示すように内側の雌(メス)と外側の雄(オス)という構造にあることが分かると思います。
また、性闘争本能を強化する過程でも分かるように、メスの「安全な出産・育児と十分な食料確保」が目的である以上、種の保存からすれば、闘争性を強めたオスたちがメスの外側で適応した方が有利に機能します。
つまり、オスが大きな縄張りを確保して、その縄張りの中でメスの出産・子育てが行われる。この構造を内雌外雄というのです。
モグラの場合、メスも性闘争=縄張り闘争をしますが、オスの闘争はより過激で、その行動圏はメスの3倍に及びます。従って、概ね3匹のメスの縄張りを包摂する形で1匹のオスの縄張りが形成されます。(参考:『原モグラが置かれた状況と性闘争』
これが、哺乳類に特徴的な首雄集中婚の原型です。

highlighto02_15_img02.jpg


この画像は、↓こちら「世界の巨大恐竜展2006」から借りました。

http://www.nikkei.co.jp/events/kyoryu/highlight/highlight02_15.html

太古の哺乳類:アデロバシレウス(Adelobasileus cromptoni)

発掘地層年代:2億5000万年前、産出地 :アメリカ テキサス州

しかし、誤解しないでほしいのは、首雄集中婚とはオスの淘汰圧力(性闘争圧力)が極めて高かった結果であり、決してハーレムではないということです。
また、性闘争に敗れたオス達にも役目があります。それは首雄の周りに縄張りを形成することで外敵と闘い捕食されるということです。
現在、優しくしてくれる、構ってくれるということが男のやさしさのように受けたら取られていることが多々あります。しかし、これは適応態(種の保存)としては不適切なことなのです。
首雄がメスたちを守っていることは一目瞭然ですが、性闘争に敗れたオスたちも、メスたちに対して具体的に何かをするものではありませんが、メスたちの縄張りの外で闘うことでメスを守っているのです。
つまり、
つまり、哺乳類のオス・メス関係を特徴づけるオスの性闘争の激しさと内雌外雄の摂理(本能)、および群れの全ての雌が首雄(勝者)に集中する首雄集中婚の婚姻様式(本能)は、多くの哺乳類に見られる一般的特徴であり、もちろんサル・人類もそれを踏襲しているのです。
但し、哺乳類が拡散していくなかにあってはこのような内雌外雄にならない種もあります。
これは、常に外圧に対して刻々と変化し、それに対応できる=適応できるものが生き残っているのです。例えば、オスメス分化(それによるオスメスの役割)など関係していると思われます。これらについても追求していくことが必要になると思われます。

by 村田頼哉

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