2022-04-21

人類って何?① ~立って歩くことで大きな脳を支える定説は本当か?~

前回のブログでは「骨格から人類の起源を探る」をテーマに追求し、人類は「直立二足歩行になったのではなく、もともと二足歩行で四足歩行ができなかった」ことを仮説付けました。

となると、一般的な定説として教科書にも書かれている「立って歩くことで、重くて大きな脳を支えられるようになった」は本当に正しいのか?疑問が湧いていきます。今回は、この定説は成立するか否かを扱い「人類は元々2足歩行である」仮説を裏付ける根拠になり得るか、追求していきます。

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■教科書の定説

教科書(東京書籍:中学歴史)では、以下のような記述がなされています。

以下は『東京書籍:中学歴史』より引用

『現在知られている最も古い人類は、今から約700万年前から600万年前にアフリカに現れた猿人で、このときにはすでに後ろあい(足)で立って歩いていたと考えられます。立って歩くことで、重くて大きな脳を支えられるようになり、また、自由に使えるようになった前あし(手)で道具を使用することを通じて、次第に知能が発達していきました』

これは、おそらくみなさんも読んだことがあるであろう教科書の一文です。この文章にある

『立って歩くことで、重くて大きな脳を支えられるようになり・・・』

は正しいのか否か。この整合性を追求することで、いつから直立していたのか?、その追求を導くヒントになるかもしれません。

 

■「立って歩くことで、重くて大きな脳を支えられるようになり」説は成立するか?

一般的に直立していると言われている理由は、首の骨の位置が頭蓋骨の真ん中あたりにあるからです。しかしこれは、テナガザルもオランウータンも同様です。そして、テナガザルから脳容量が約5倍近く増えたゴリラやチンパンジーの骨を見てみると、“首の骨を太く”進化させています。

 

一見、直立するだけなら重たい脳を安定して支えることはできそうですが、“歩く・動く”となると重心がぶれるので不安定です。重い脳を支えるのであれば、四足に分散する方が物理的なバランスが良さそうに思えませんか?加えて、四足歩行の方が早く動けるため、敵からも逃げやすい。つまり、直立二足歩行のメリットがなさすぎます。

また「重くて大きな脳を、、、」ですが、そもそも猿人の段階ではそこまで脳は大きくなっていませ(脳容量は類人猿程度かそれ以下)。

直立したから脳容量が大きくなった」説が正しいとするならば、700万年以上前に直立し、そこから猿人に進化するまでの350万年間、脳を大きくする準備だけして脳を大きくしてこなかったことになります。これは明らかにおかしいですよね。

以上を踏まえても「立って歩くことで、重くて大きな脳を支えられるようになった」という説は疑問を持たざるを得ません。

 

■ではなぜ人類は直立したのか?

上記の通り、二足歩行のメリットが無さすぎることから、進んで二足歩行に進化したとは考えにくいです。

前回のブログでも書いた通り、テナガザルは「2足歩行」が主です。テナガザルは手(前足)が足(後ろ足)の約2倍で長すぎるため、四足歩行には不向きな骨格をしています(四足歩行の哺乳類の骨格を見ると、前足・後ろ足の長さがだいたい同じ)。

画像はこちらからお借りしました。

 

樹上でも、手で枝を掴みながら二足歩行を行っており、樹上では四足歩行を行っていません。それらが人類の祖先だとしたら、地上に追いやられても四足歩行をすることはできないと考えられます。

加えて、四足歩行の哺乳類の骨格を見ると、足のかかとを浮かし、つま先立ちの状態。さらに“甲側”への可動域が大きいです。これによって、地面をけり出しやすくなっている。

それに対して、類人猿の手足は“手の平側”に曲がる構造をしています(木にぶら下がるため)。さらに、樹上では足の裏全体を木や枝につけて足でもバランスを保つため、かかとを浮かして歩くことはほとんどしません。

以上のことから類人猿は四足歩行に不向きな骨格に進化しており、必然的に二足歩行しかできない骨格と考えられ、4足歩行から2足歩行へ進化したという定説は、必ずしも正しいとは言えないと考えます。

樹上生活だけでなく地上生活もするゴリラやチンパンジーは、苦肉の策として“ナックルウォーク”で地上に特殊適応したと考えられないでしょうか。

画像はこちらからお借りしました。

 

本日は以上です。

List    投稿者 t-kenta | 2022-04-21 | Posted in 4)サルから人類へ…, ①進化・適応の原理No Comments » 

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