2022-02-02

オランウータン・ゴリラ・チンパンジーの生態の違いはどうして生まれるのか?

これまで様々なテナガザルの生態や特徴を紹介してきました。今回は類人猿のオランウータン・ゴリラ・チンパンジーに注目していきます。まずは3種の違いを見ていきましょう。


(画像はこちらからお借りしました)    (画像はこちらからお借りしました)

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・ゴリラやチンパンジーは地上に降りて生活しているのに対して、オランウータンは専ら樹上生活。(地上には滅多に降りてこない。)

・ゴリラやチンパンジーは集団を組むが、オランウータンはオスもメスも単独で生活している。(集団を組むこともあるが、基本はオスメス単独)

・授乳期間がゴリラは3~4年、チンパンジーは4~5年に対して、オランウータンは7~8年と各段に長くなっている。

などの違いがあります。

なぜこのような違いが生まれるのでしょうか?

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それはそれぞれが置かれた「外圧状況が異なる」から。

今回は外圧状況の違いを見ていきます。
ゴリラとチンパンジーの生息地はアフリカ、オランウータンの生息地はアジア。
アフリカとアジアの熱帯雨林はどう違うのでしょうか?

【アフリカの熱帯雨林】(ゴリラ・チンパンジーの生息地)

(画像はこちらからお借りしました)            (画像はこちらからお借りしました) 
・海岸の平野が少なく、台形のような地形をしており、標高が高い。そして内陸のため気温が低い。
・熱帯雨林であっても比較的降雨量が少ない。(年間1000~1500㎜)
・乾季が3~4か月あり、果実ができない時期がある。毎年果実はできるので乾季を乗り越えれば餌は確保できる。
(乾季の時期には樹上の餌は減るので、ごりらやチンパンジーは地上に降りて生活する。)
・木がまばら。(疎林)
・外敵は体重30㎏程度のヒョウ。
◎地上生活で外敵や同類他種のサルに対応するために、ゴリラは大型化で対応、チンパンジーは集団化で対応した。

【アジアの熱帯雨林】(オランウータンの生息地)


(画像はこちらからお借りしました)

・年中スコールがあり、年中雨が降る。(年間2700㎜)
・木が生い茂っている(密林)。そのため、地面にまで太陽の光が当たらないので、地上には餌が少ない
・外敵はオランウータンよりも大きい、体重150㎏程度のトラ。加えて10mほど跳躍ができる。
◎地上には餌が無いことに加えて外敵がいることから、オランウータンは地上には降りず、樹上で生活をしている。

前々回のブログより
>東南アジアと言えば「南国の果実」を誰もがイメージするかと思いますが、、、。なんと「一斉開花で数年に一度一斉結実」するらしい。
それ以外は果実欠乏期が続く(少なくとも1年以上。おそらくエルニーニョが原因か?)。
従って、結実期に食いだめ、オスで8,422kcal→3,842kcal(45%)。メスで7,404kcal→1,7093kcal(24%)。
特にメスはガリガリにやせ細る=飢餓に度々直面している。7割の期間が栄養過少。

☆つまりオランウータンは飢餓を経験しているのです。
これはアフリカに住むゴリラやチンパンジーと決定的に違うところ!

まとめると、

ゴリラやチンパンジーは、乾季があり地上に降りざるを得ない状況。
なおかつ地上にいるヒョウなどの外敵に対応するために、大型化や集団化で対応していきました。

オランウータンは、地面には餌が無く、なおかつ自分たちよりも大きい外敵のトラがいることから、樹上生活
オランウータンは木のてっぺん付近に住んでおり、より体性感覚が必要とされる。そのため、授乳期間を延ばして適応してきたと考えられます。

様々な特徴の違いは外圧状況に規定されているのです。

いかがでしたか?今回は以上です。

List    投稿者 takayama | 2022-02-02 | Posted in 4)サルから人類へ…No Comments » 

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