2020-02-13

昆虫達の情報戦略

昆虫達の情報戦略 https://mugen3.com/seimei7.htmlより

>高度な頭脳を持ち物事を複雑に捉える思考方法をする小人は、事態を分析することに精を出し行動力に欠けます。一方、単純にしか物事を考えられないネズミは、その分優れた本能を持ち感覚を研ぎ澄まし、僅かな環境の変化にも敏感に反応し素早く行動するのです。状況の急激な変化にいかに対応すべきか?を説いています。つまり、問題を複雑にし過ぎずに、物事を簡潔に捉え柔軟な態度で素早く行動することの重要性について述べているのですが、まさにこの昆虫達の生き方そのものです。21世紀型の生き方は、まさに昆虫から学ぶ点が多そうです。

人間と昆虫の進化の違い

昆虫達のコミニケーション

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3億年前の昆虫達・昆虫の特徴

今からおよそ3億年前の地球。陸には緑が広がり、高さ10Mを超える巨木が深い森を作っていました。この森には、既に昆虫達の王国が生まれていました。最初に空を飛んだのも昆虫でした。ステノディクティア、その飛び方はまるでトンボのようです。プロトファスマ、今のゴキブリに似ています。昆虫はカニやムカデなどと同じ節足動物の仲間ですが、何から進化したのかはハッキリしていません。

陸に森が広がり始めたのと同時に、突然繁栄をはじめたのです。そして今では考えられない巨大トンボも空を飛んでいました。羽を広げた時の大きさは70センチ、敵のいない空を自由に飛び回り、他の昆虫達をエサにしていたと考えられています。

3億年前の森に生きた様々な昆虫達、驚いた事に彼らは今の昆虫につながるデザインを既に完成させていました。昆虫の特徴は6本の足を持ち、薄い殻で体を包み込んでいることです。ほとんどの昆虫は、羽も持っています。そして、もう一つの特徴は、複眼という特殊な目を持っていることです。この頃、私達の祖先、両生類も陸での生活を始めていました。私達と同じ背骨を持つ脊椎動物です。その体の構造は、昆虫とは全く違っていました。この違いがその後の進化の道筋を大きく分けることになるのです。

脊椎動物と昆虫、それぞれの進化の選択の違いとは?

今からおよそ1億5千万年前、陸に上がった脊椎動物は目覚しい進化を遂げていました。全長27M、高さ15M、5階建てのビルに相当する巨大恐竜、バロザウルス。バロザウルスは巨大な森林が恵む大量の食料のおかげで、その大きな体を維持していました。脊椎動物は巨大化の道を突き進んでいきました。1億年以上も繁栄した恐竜は、その象徴でした。

一方、昆虫達は全く逆の道を選びました。巨大恐竜達がいた頃のトンボの化石を調べると、羽を広げた時の大きさは13センチ、あの巨大トンボに比べて五分の一の大きさしかありません。昆虫の中でも、最も大きいのがトンボの仲間です。そのトンボの時代が進むにつれて小さくなっているのです。脊椎動物が大きくなれたのは、まさに脊椎、つまり背骨があったからなのです。このように背骨を長く頑丈にすることで、大きな体も十分に支える事が出来るのです。

昆虫には私達のような背骨が有りません。外側に硬い殻を持つことで体を支えています。カブトムシの体を大きくしていくと、どうなるでしょうか?薄い殻では体を支えきれなくなり、潰れてしまいます。今度は潰れない為に体を厚くしてみると、どうなるでしょうか?殻の厚みで体内のスペースがほとんど無くなり、筋肉などの器官を納められなくなります。体の周りに殻を持つ構造では、大きくなるのは難しいのです。

昆虫達は、逆に小さくなるのに適していました。その小さな体に適した目が複眼なのです。複眼は、たくさんの小さなレンズが寄り集まったものです。この6角形の一つ一つがレンズです。複眼を断面から見ると、薄く出来ています。しかも一つ一つが独立した小さな目です。この小さな目が2千個近く集まっても、僅か1ミリ四方の大きさにしかなりません。それではこの複眼で例えば花は、どのように見えるのでしょうか?私達の目ほど鮮明ではありませんが、ハッキリと花の輪郭がわかります。トンボの場合視野を広げる為にレンズの数は2万5千個にもなります。頭の大部分を目で覆うようなことも、薄くて軽い複眼だからこそ可能なのです。

植物と共に繁栄した昆虫達

恐竜達の時代が終わる頃、大地には様々な花が咲き乱れていました。この花が、小さな虫達を迎え入れました。花たちは、蜜のありかを昆虫に伝える独特のサインを送り始めました。昆虫は、私達には見えない紫外線を見る事が出来ます。昆虫達の目に似せた特殊なカメラで見ると、花の真中が緑色に変わって見えます。飛んでいる昆虫達が、遠くから見ても蜜や花粉のありかが直ぐわかるサインなのです。

花の種類が増えるに連れて昆虫も種類を増やしていきました。恐竜の時代の終わりには昆虫の種類が出揃い、進化はほぼ完成したと言われています。1センチにも満たないゾウムシ。花粉を探る長い管がまるで象の鼻のようです。私達にとって小さな花びらもゾウムシにとっては、広大な世界なのです。ゾウムシは今わかっているだけで6万種類もいます。

同じゾウムシでも住む環境や何を食べるかによって、少しづつ形や大きさを変えています。木の上で新芽や葉を食べるもの、花や実を食べるもの、そして木の下で落ち葉を食べるものなど、細かく棲みい分けているのです。熱帯雨林の一本の木には、300種類ものゾウムシが棲んでいると言われています。昆虫達は、サイズを小さくする事で、僅かな環境の違いに見事に適応し、種類を増やしていったのです。

昆虫は小さくてもスゴイのだ

私たち脊椎動物は、背骨を持つことで体のサイズを大きくする事が出来ました。逆に体の外側に殻を持つ昆虫は、小さくなることに適していました。実はこのサイズの違いが、生き方にも重要な違いをもたらすことになりました。大きくなる道を選んだ私たち脊椎動物は、大きな脳を持つ事が出来ました。ここに大量の情報を集め、複雑な情報処理をするようになりました。

これに対して昆虫達は、例えば神経細胞の数で見ると哺乳類に比べても100万分の1しかなく、私たちのような複雑な構造はできません。その代わりに、体の節目に小さな脳を持ち外からの情報に素早く反応できるようになっています。このように昆虫達は、小さく単純で、私達に比べてずいぶん見劣りするように思われます。しかし、この単純さが意外な能力を発揮するのです!

(中略)

昆虫の中で最もシンプルな生き方を選んだアリたち

琥珀に閉じ込められた2千万年前のアリ。幼虫をくわえて運んでいる途中だったのでしょうか?まるで時間が止まったように化石になっています。この5センチ四方の琥珀の中には、2千匹のアリの集団が閉じ込められていました。アリは昆虫の中で、最もシンプルな道を選びました。ハチに似ていますが、羽も無く目も退化しています。しかし、このアリはハチ以上に高度な社会を作り上げているのです。

ベルギー・ブリュッセルにある自由大学のドネブール博士は、研究室にアリを持ち込みその行動の原理を追い続けています。アリは散らばった物を決まった所に集める習性があります。ドネブール博士は、数ヶ月にわたってアリの行動を見つめ続けました。

その結果、博士が見つけ出したルールは極めて単純なものでした。博士はアリ・ロボットを作ってみました。それは、たった2つのルールだけで動く単純なロボットです。アリ・ロボットは、目の前に荷物があるとそれを掴みます。運びながら他の荷物にぶつかると、持っていた荷物をそこに置きます。それ以外の命令やプログラムは一切ありません。

5台のアリ・ロボットを動かして様子を見ます。すると驚いた事にバラバラに動いていたはずのロボットが、いつのまにか荷物を数箇所に綺麗に集めていきました。私達人間は、複雑な情報を1箇所に集めて管理する、いわば集中制御型のシステムで物事を動かそうとしているのです。しかし昆虫達は、これと全く違うシステムを採用しています。アリを始め集団で動く昆虫達を見ると、一見とても複雑そうに思えます。しかし、実は非常にシンプルな原理やルールで見事な秩序を作りあげているのではないでしょうか?

シンプル・イズ・ザベスト

昆虫は私達の常識からすれば、実に不思議な生き物です。昆虫は体を小さくし、シンプルにする道を選ぶことで鋭い感覚を磨き、大集団を支える独特のコミニケーションの方法を作り上げてきました。それらに共通するのは、まさにシンプル・イズ・ザベスト!という戦略だったのです。一方、私達は全てを把握し、設計図を作り不測の事態を予測していくという複雑な情報戦略によって、高度な文明を築いてきました。しかし、ロボットやコンピュータなど先端技術の分野で昆虫達のシンプルな情報戦略に学ぼうとする動きが出てきています。

昆虫は全ての動物の70%を占めるほど繁栄しています。私達とはまったく別の道を進み、全く違った生き方を選んだ昆虫達、そこには私達の未来を切り開く重要なヒントが隠されているのかも知れません。3億年の昔から昆虫達は、地球の様々な場所で繁栄を続けてきました。昆虫達が築き上げた独特の情報戦略。そこに全く新しい発想がある事に、今私達は気付き始めたのです。

 

List    投稿者 seibutusi | 2020-02-13 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

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