2018-12-20

味覚は動物が進化して陸上に上がって獲得した感覚~日本人の味覚は世界一

 

 

今回は味覚について調べました。

近頃、日本食がブームとなり、健康にも和食が一番ということで、世界文化遺産にもなりましたが、その主役の一つは日本人が持ち続けた旨味であろうと考えます。

これまで、味覚の4基本味は(甘未・塩味・酸味・苦味)と習ってきましたが、旨味が加わったのはなんと2000年で、アメリカで舌で旨味を感知する受容体が発見されたからのようです。

以降は『日本人の味覚は世界一』鈴木隆一より転載します

旨味調味料であるグルタミン酸ナトリウム(昆布の旨味)もイノシン酸ナトリウム(鰹節の旨味)も日本人が発見した。日本人だけ昆布や鰹節でだしをとってきた。元を辿ると魚介類の海洋資源が豊富で、動物性タンパクに不足がなかったことや、日本が農耕に適した風土であったこと。また大陸からの距離があったために牧畜がそのまま伝わらなく、またその必要性を感じなかった。それが日本人が他の大陸にある国々とは異なる食経験を持ち、異なる味覚を持つ要因となった。海洋資源というと鰹にカビを生えさせて鰹節を作ってしまったことに驚く。魚だけにとどまらず、seaweed(海の雑草)と呼ばれる海藻を食べるのも世界的には驚異だ。スコットランド、アイルランド、チリなどで一部食べられるだけだ。昆布を乾燥してだしをとるのも大した知恵だ。奇跡的に日本人だけが旨味を感じる力を持ったというのも、日本食特有の「だしをとる文化」があったからだ。それも水が軟水だから素材からだしを抽出しやすかったというおまけまでつく。

日本には四季があるため、季節によって異なる食材が採れ、食材が豊富であるため、材料そのものの味を引き出すという料理法が発達し、香辛料を多用することなく、日本人の味覚に大きな影響を与えてきたわけである。それに比較して他の国では辛味が珍重される。辛味は厳格にいうと味覚でなく触覚・痛覚だそうだ。また世界の大半の肉食の国や暑い国においては、歴史上の面でも香辛料やハーブを活用しているので日本とは大いに異なる。

上記表は、味博士の研究所酸からお借りしました

以降は、「味覚と脳の仕組み」https://www.js-brain.com/kankaku/mikaku.html から転載します。

 味覚は動物が進化して陸上に上がって獲得した感覚

昔、地球上の生物は海にいた。その時代では生物には化学物質に反応する感覚は1つで問題が無かった。

生物が進化して陸上に上がる様になると、空気中を漂う化学物質と食物に含まれる化学物質の両方を感じ取って体に有害であるかどうかを判断する必要が出てきた。

それで嗅覚と味覚が出来た。

陸に上がる事で嗅覚と味覚の2つに分かれた訳だ。

味覚が反応する味には、甘味・塩味・酸味・苦味の4つ。これに旨味を加えることもある。

これらは、物を食べて幸福感を得ると言うよりは生存の為にあると考えた方が良い。

酸味は食べ物の腐敗を感じる感覚で、苦味は有害物質を感じる感覚である

種の味は感じ始める濃度が違っている。高い濃度順に示すと、甘味⇒塩味⇒酸味⇒苦味の順である。

苦味に一番敏感に反応する様になっている。苦味を感じさせるものには有害物質が多いからで、苦味が非常に強い場合には、吐き気が起こる様にもなっている。

因みに、辛味は味覚では無く痛覚、つまり痛さの感覚である。

 

 味を認識するプロセス

 

◆ 味は舌⇒延髄⇒橋⇒視床⇒大脳皮質の味覚野のルートで認識される

人が物を食べる時、舐めたり細かく噛に砕いたりして唾液と混ぜる。それで味成分が水分と混ざり舌にある味蕾に触れる事が出来る。

この味蕾は舌だけで無く、上顎や咽頭、喉頭のもある。味蕾は1つの味を識別する。勿論、辛味に反応する味蕾は無い。

舌を出してみると丸いツブが見えるが、乳頭と呼んでいる。この乳頭の中に味蕾があり味蕾の中にラグビーボール状の味細胞が並んでいる。

味蕾の数は8000個程度。

味蕾中の味細胞が味を電気信号に変換して延髄⇒橋⇒視床⇒大脳皮質の味覚野のルートで伝達される。

味覚野では過去の記憶や経験と照らし合わせて、何の味であるかを認識している。

一昔前には甘味は舌の先端、奥が苦味、左右が酸味、全体で苦味を感じるとされていたが、それは間違いであり、今ではどの味も舌の全体で感じているとされている。

話しが横道にそれるが、「高齢者は薄味を心がける方が良い」とよくいわれるが、正しい意味を知っているだろうか?

若い人が食べて「薄味」と感じる位の味が良い、と言う意味では無いので注意して欲しい。

あくまで、高齢者自身が食べた時に「薄味」と感じる位が良いと言う意味である。

高齢になると感受性が鈍り、味覚も例外ではない。感受性が鈍った高齢者が食べて「丁度良い味加減」と言うのは、相当に濃い味だと言う意味である。

丁度良い程度の塩分や糖分濃度は、感受性の鈍った高齢者には薄味に感じてしまうのだ。

以上

 

List    投稿者 seibutusi | 2018-12-20 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

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