2014-01-07

午年の午(うま)って何?馬を制するものが文明を制した

みなさん、明けましておめでとうございます
今年の正月はいかがお過ごしでしいたでしょうか?

 
  
本年度も今まで以上に気づきの多い記事を書いていきたいと思いますので、当ブログよろしくお願いします

   
   
さて、今年は午(うま)年。
毎年恒例?の干支にちなんだ記事を書きたいと思います。
まずは最初に、そもそも「午(うま)」ってなに?から押さえていきます
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■「午」は分岐点を表す言葉。12年後の牛年には注意
午は【十二支(じゅうにし)】の7番目。「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の真ん中に位置しています。
「午」という言葉は、草木の成長が極限を過ぎ、衰えの兆しを見せ始めた状態を表しているといわれています。時の潮目を表すような言葉ですね。午前・午後という言葉も「午」がその分岐点になっています。

   
 
実のところ、本来【干支】というのは、子・丑・寅・・・という【十二支】だけでなく、【十干(じっかん)】を組み合わせた60の周期をもつ数詞なのです。十干には、「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」の10区分があります。(詳しくは、コチラ )
だから、本来の干支は、【甲午(きのえうま)】。現在の日本では十干は省略されて、十二支だけが広く知れ渡っているんですね。もっといえば、十二支の動物だけに関心が集まり、本来の言葉の意味には無頓着という状況です。

   
 
蛇足ですが、「ひのえうま」という女性のみなさんが気にする年がありますね。この年に女の子が生まれた場合、気性が激しく夫の命を縮めるという迷信があり、1966年の「ひのえうま」は出生率が激減しました。(詳しくはコチラを)

     
この「ひのえうま」を漢字で書くと「丙午」。お気づきのように、これは干支そのものです。そして、今年の「甲午(きのえうま)」の12年後にやってきます。
女性のみなさん、12年後の午(うま)年は少々気にかけておいて下さい。

    

  
■馬はどのように調教されるのか?
前置きが長くなりました。ここからは生物史ブログらしく、馬について追求していきます。
都会に住んでいると、馬に触れ合う機会は非常に限られています。動物園か競馬場ぐらいでしょうか(私は北海道で生活していたことがあるので、牧場は身近な存在でしたが)。
また、人間の管理下にある馬を見ることはできても野生馬を見ることはできません。というのも、はるか昔に気候変動と人間活動によって、野生馬は絶滅したからです(管理馬が一部野生化したものはいます)。
つまり現在の馬は人間に飼われながら生きています。
馬は非常にデリケートで飼育するのが難しいといわれていますが、どうやって人間は手なづけたのでしょうか?

  

1)日本の例(岩手県「遠野市の馬の里」)
日本において馬の調教は、馬という動物の特徴を良く熟知した上で行われることが一般的です。そして個々の馬の特性は馬集団の中で現れると考えられ、その中で性格を分析し、適正な調教計画を立てていきます。
また、競走の訓練も丁寧に行います。
岩手県「遠野市の馬の里」では、直径30~50㍍の円形柵の中で、調教師が気が遠くなる程、根気良く馬を走らせて調教します。毎日毎日同じことを繰り返します。
クラを付けて乗馬の基礎完成までに2ヶ月以上かかるそうです。競走馬として更に年月を要することは容易に想像ができます。次に延べるモンゴルや南米パタゴニヤに比較すると桁違いに時間を掛け、物凄く丁寧に調教してゆくのです。
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2)モンゴルの例
モンゴルでは、日本のように悠長に調教することはしません。
伝統的なモンゴルの調教は、まず、いきなり馬の耳をぎゅっと絞る。馬は当然驚き、暴れますが、そこでひるまず、いきなり馬にまたがります。馬はますます驚き、激しく跳ねたり、走り回ったり、とにかく、自分の身上に降りかかった災難から逃れようと動き回ります。怒りと恐怖感を感じながら振り落とそうとする馬と、振り落とされまいとする騎乗者との壮絶な戦いが続き、やがて、馬は騎乗者に屈服するのです。これを、わずか4~5分でやります。
この繰り返しを経て次第に馬は人間に慣れ、乗られることの何たるかを知ってゆくのです。
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3)南米パタゴニア(チリー、アルゼンチン地方)の例
アルゼンチンやチリの一地方であるパタゴニアは競走馬の産地で有名ですが、ここでの調教も非常荒々しいです。まず、円形サークルの真ん中に丈夫な柱を立てます。この柱が訓練の道具にも、訓練士の護身具にもなります。
次に、サークルの中に野生の馬を追い込みます。当然暴れまわっていますが、調教者はカウボーイと同じように投げ縄で馬を捕らえます。少し走らせるながら、縄を中央の柱に巻き付けるように手繰る。時々馬は暴れ訓練士を襲いますが、柱の影に隠れながら馬を倒します。すかさず、倒れた馬の首筋に「柔道の寝技」と同じようにしがみ付き、一定の期間押さえ込んで離さないでいると、馬が「降参」の合図を出すらしい。大体1時間で乗れるようになり、1日で乗りこなせるようになるようです。
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4)オーストラリア、ニュージーランドの例
オーストラリアやニュージーランドの調教も一味違います。
馬の飼育は基本的に放置され、仔馬が生まれたことすら気付かれないことも珍しくないのんびりしています。仔馬は生後3ヶ月経っても人間と接したことがないというのが当たり前。やがて、6ヶ月も経てば離乳することになりますが、そのやり方がまたワイルドです。仔馬だけを馬房の中に閉じ込め、「人間に頼るしか生きていけない」状況を作り出します。このような環境下で育てられると、人間に触れられても大丈夫になります。かなり強引ですが、この方法でも人間への従順さという点で他国産馬とほとんど違いはないようです。


    
    
以上、世界各国の馬の調教方法を見てきましたが、日本の調教方法とはかなり違います。
遊牧民族の調教はかなり豪快です。動物愛護の観点から見ると、なにかと問題がありそうですが、実はここに馬(などの動物)の調教の秘密があると思います。
馬を調教する上で大事なのは、あくまでも人間がイニシアティブをとることなのです。もう少し直接的にいえば、相手を制圧することで手なずけるというのが調教=家畜化の基本である、といえます。

  
馬に似た動物で、シマウマやモウコノウマがいますが、これらの動物は小さな時から育てても家畜化できません。この違いは、馬の外圧に対する適応力にあると言われます。馬は、最適な環境下にいなくても、(つまり多少無理しても)生きていける力があるのです。雑草魂といったところでしょうか。これは「草食動物」「走って逃げることが基本」「「集団動物」という馬の生存上の適応戦略と密接に関わっていると思います。

 

     
     
■馬と文明
先ほど、馬は家畜化に適していると書きましたが、歴史上、他の家畜(山羊・羊・ラバ・牛ら)と比べて、馬の飼い慣らしは遅れました。馬はやはりデリケートで、扱いが難しい動物だったからです。
しかし一度馬を家畜化した民族はその後、戦闘方法や情報共有の点で他の民族より著しく優位に立ちました。移動性に優れるため、戦争や情報伝達の点で他の民族を圧倒し、歴史の表舞台に立つことができたのです。
また、技術の発展により馬を乗りこなすための馬具が発明・改良され、さらに優位性が上がりました。
まさに文明の進歩と馬は密接な関係にあるのです。馬を制するものが世界を制することができたのです。
加えていえば、馬のような家畜化が難しい動物を管理する術を身につけた民族は、その後管理対象を人間にまで広げ、人間を操る奴隷制度を作っています。なんとも恐ろしい限りです。
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以上、本日は馬と人間の関わりについて見てきました。
馬の調教が国によってこんなにも違うというのが驚きです。また、世界をすばやく移動できる馬を制したものが世界を制した、というのはなんともシンプルで興味深い事実ですね。

   
新年早々ややヘビーな内容となってしまいました。
しかし、「午」のような時代の潮目において、現代の馬(のような力の基盤)とは何か?を考えていくことが今の私たちに求められているように思います。

   
  
それでは、今年もよろしくお願いします

    
      
参考サイト:
先祖を尋ねて
「馬の民」はなぜ強いのか?・・・インディアンは何故滅びたのか?
馬の文明ユーラシアとアンデス文明の衝突

List    投稿者 andy | 2014-01-07 | Posted in ⑨おもしろい生き物No Comments » 

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