2013-05-02

君もシャーマンになれるシリーズ22~松果体がシャーマン能力を開花させる「鍵」か?~

みなさん、こんにちは。いつも「君もシャーマンになれるシリーズ」をお読み頂きありがとうございます
 
シャーマン誕生の秘密とその能力を解明する目的で扁桃体や海馬を追究してきた本ブログですが、今回は、「第三の眼」といわれ、「気功」「スピリチャル」「霊能」の世界ではその能力の核として位置付けられる『松果体』に焦点を当ててみます。生物史から自然の摂理を読み解く本ブログの骨子に沿って、松果体の進化過程や機能を解明しながらシャーマンとの関係に迫りたいと思います。
 
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脳の中でも特異な存在である『松果体』ですが、特殊な能力を持つシャーマンとの接点は、脳内麻薬物質といわれる『ジメチルトリプタミン』にありました。ジメチルトリプタミンは、南米シャーマンが儀式に使う「アヤワスカ」に含まれる幻覚物質であり、人の松果体にこのジメチルトリプタミンが存在し、生死に関わる危機に陥った際に放出されると考えられているのです。
 
人の松果体は、脳の中心付近の脳幹や小脳の上部に位置し、2つの視床体が結合する溝にはさみ込まれたグリーンピースほど(約8mm)の赤灰色をした内分泌器官で、視床後部の一部を構成しています。
 
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それでは、松果体の特徴をおさえるために、松果体の進化過程と機能について見てみましょう。

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 松果体の進化と機能 ~機能を変化させながら進化した松果体~

昆虫や爬虫類では「第三の眼」と表される松果体ですが、発生学的にも「目」の発生と類似性があります。脊椎動物の祖先である脊索動物が誕生した時には、まだ眼と呼べる構造はなく、脳の中に光受容細胞がある状態でした。この光を感じ取る細胞が、脳のあちこちにある程度まとまって発生するようになり、そのうち左右に飛び出した部分が眼となりました。生物によってはこの光受容細胞の集合場所が複数あり、その一部が松果体として独自の進化を遂げることになったのです
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           カナヘビの頭頂眼(矢印が松果体)
 
魚や両生類の松果体には、眼と同様に光受容能があり、この光情報を他の神経系に伝達する役割をもっています。鳥の松果体は、生物時計の機能を持ち、外界の光情報をもとにして体内時計との時刻のずれを調整していると言われています。そして、ほ乳類の松果体には光受容能や時計機能はなくなり、ホルモンなどの内分泌器官となっています。このように、動物の進化に伴い、松果体の構造・機能は非常に大きく変化してきましたが、これほど変化する器官も珍しいのです。
 
松果体の脳進化における特異的な点は、進化過程で機能を変化させていることは無論ですが、その機能変化は松果体細胞の構造変化によっていることが挙げられます。視細胞から神経細胞へ、そして内分泌細胞への変化であり、それらはある特定の条件、例えば、ノルアドレナリンの過多であったり、カリウムイオンの濃度といった環境の変化に応じて細胞組織と構造を変化してきたと考えられているのです。
 
 メラトニンを生成し、概日リズムを司る松果体 

脳の内分泌器官である人の松果体が主要に生成するホルモンは、「メラトニン」です。メラトニンは睡眠をコントロールするホルモンであり、松果体ではセロトニンからメラトニンが作られます。夜暗くなることで松果体がメラトニンを生成し始め、メラトニンの増加によって人は眠くなるのです。そして、朝の光によってメラトニンの生成は抑制され、活動性を高めるセロトニンが増えてきます。
 
光受容能を失って内分泌器官となった人の松果体ですが、他の器官が受信した光情報を元に機能を発揮していることは、松果体の進化過程と無関係ではないのでしょう。そして機能が異なりますが、役割としては鳥と同様に概日リズムを松果体が司っているのです。
 
なお、以前に調査した「海馬」はセロトニンが抑制された状態(眠りの状態)でシータ波を受けることで神経細胞を生成し、記憶機能を高めていましたので、海馬の記憶にも松果体が深く関係しているといえます。
 
 性をコントロールし、成長するにしたがって変化する松果体 

進化的に大きく変化してきた松果体ですが、人の一生においてもその変化は大きいのです。松果体は古い機能であることを示す様に受胎後3週間で識別されるほど早期に形成される器官であり、生まれた時にはすでに非常に発達し、活発にメラトニンを生成します。思春期以降で徐々に縮小し、メラトニンの生成が減少してきます。やがて、さらに年をとると一部が石灰化する現象がみられて内分泌機能が低下するとも言われています。子どもがよく寝るのは、メラトニンがより多く作られているからなのです。同様に、加齢に伴い早起きになるのはメラトニンの分泌が少なくなるからなのでしょう。
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また、メラトニンには性機能を抑制する働きがあり、思春期以降にメラトニンの生成が減り始めることで性機能が発達するといわれています。この働きは他の動物でも同様で、メラトニンの過多が発情期を決定しています。人は成人となりメラトニンが減少してくると性に目覚めるのですから、生物の行動にはとても重要な器官だといえます。
 
 脳内麻薬を分泌する松果体 ~幻覚を誘発するジメチルトリプタミン~

本題のシャーマンの能力に関係していると考えられる松果体の機能について見ていきましょう。
 
脳の内分泌器官である松果体が分泌する物質はメラトニン以外に、「ジメチルトリプタミン(DMT)」があります。「ジメチルトリプタミン(DMT)」は、脳の麻薬物質といわれており、幻覚を引き起こす物質です。DMTは自然界にも存在する幻覚剤で、熱帯地域や温帯地域の植物、ある種のヒキガエルやヒトの血球などにも存在します。
 
DMTを含む熱帯地域の植物で有名なのが「アヤワスカ」で、以前にこのシリーズでも取り上げたアマゾンのシャーマンには古くからアヤワスカを摂取する習慣があり、シャーマンが儀式を行う際には欠かせないものとなっています
 
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                    アヤワスカ(ツルの断面)
 
DMTの幻覚作用に関する実験として、ニューメキシコ大学の精神医学教授リック・ストラスマンによれば、合計60人以上の被験者に対し400回以上に渡ってDMTを静脈注射で投与したところ、被験者の半数近くが地球外生物に遭遇したと報告しています。ストラスマンは、人間の脳内にある松果体においてDMTが神経伝達物質の一種として生産され、宗教的な神秘体験や臨死体験と関連しているという推論を唱えています。また、幻覚剤の研究家であるテレンス・マッケナは、DMTはエイリアンのいる異次元に誘う作用があると主張しています。なお、人の松果体からDMTが放出されるのは、生死に関わる危機に陥った時だといわれています
 
今までのシャーマン脳の追求で、特殊なシャーマン能力や予知予言が危機察知能力に由来する可能性が高いこと、そして、ほ乳類における危機察知や危機逃避は『扁桃体』が司っていること、視床下部からの情報が扁桃体に逆入力することで幻覚・幻聴が生じることなどを明らかにしてきましたが、危機に面しても逃れられずに生死に関わる事態に直面した際には、『松果体』から幻覚を誘発するDMTが放出されると考えられるのです。
 
 松果体と古い脳との関係  ~DMTによって世界が広がる理由~

危機を察知して脳や体全体に指令を送るのは「扁桃体」であり、心拍や呼吸や運動神経系を制御して危機に備える指令を発する扁桃体は、脳幹などの本能的な古い脳との繋がりが強いといえます。対して松果体は、その進化過程から明らかな様に扁桃体が形成される以前から存在する器官であり、脳幹などの古い脳ともより密接に関係していると考えられます。実際に松果体は脳の深部に到る3つの神経節細胞を有し、その一つは脊髄の巨大なニューロンとも結合しています。
 
松果体と古い脳との連絡が強いことは、人類における本能的な行動様式や進化過程で様々な外圧や環境変化に対応してきた古い記憶(無意識の記憶、集団的記憶)との関係も強いことを示唆します。個体における生死に関わる危機に際して見る幻覚は、人類が共通に持っている古い記憶に由来する可能性が高いと考えられるのです。
 
未開部族らの祭りや踊りによって彼らがトランス状態に陥り、非日常的世界を経験するのは、ある種のリズムや運動によってDMTなどの脳内物質が放出されることを契機として、古い記憶を呼び起こしたり、動物レベルに研ぎ澄まされた感覚によって平常では認知できない外部情報を認識することが可能になる、ということが考えられます。
 
また、齧歯類の研究等から松果体で生成される幻覚物質やホルモンは、神経細胞であるニューロンの感受性や反応の規則性に影響を与えると言われており、DMT等によって普段は認知できない外界刺激を感知できるようになる可能性を示唆します。例えば、電磁波の様な日常では感知できないような微細な刺激もその一つかもしれません。
 
電磁波が脳や神経細胞に与える影響は徐々にわかってきており、電磁波によって細胞内のカルシウムイオンが流出し、脳の松果体から分泌されるメラトニンが減少するのです。カルシウムイオンは神経の伝達や心臓の鼓動に影響しているのですから、DMT等で鋭敏になった脳や神経が電磁波を感知して反応するようになることも十分に考えられます。
 
 松果体とシャーマンとの関係  ~古い記憶を呼び起こすシャーマン~

それでは、生死に関わる危機において何故幻覚物質が放出され、それがシャーマンの能力とどのように関係しているのでしょう?
DMTによる実験結果にみられる臨死体験や神秘体験、エイリアンとの遭遇や異次元体験から想定されるDMT放出の理由には、
  ・危機への恐怖や死に対する恐怖を和らげるため
  ・危機に対する突破口を切り開くため
  ・危機に対処するための過去の記憶を呼び起こすため
  ・日常的にはフィルターがかかった情報を認識するため
などが考えられるでしょう。
 
なお、DMTによって見る幻覚が誰しも似たような内容であることは、人類が過去に経験し、蓄積してきた『集団的記憶』による可能性が高いことを示唆します。その集団的記憶の内容が、危機に直面した際に生存の可能性を高めてきたと考えられでしょう。それ故に、誰にも備わっており、引き継がれてきていると考えることが自然です。
 
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人類は集団として進化適応してきた存在であり、優れたシャーマンは、集団を守り、導くために自然を対象化し、危機を対象化し続けてきました。それ故に、本物のシャーマンは人類本来の集団の中で生まれ、その環境下でこそ本来の能力が発揮される構造にあると考えられます。
 
集団が解体され、個人中心の社会になってしまった現在、超能力者、予知・予言者、霊能者と呼ばれる人々は存在します。彼らは確かにシャーマン的能力を身につけているのでしょうが、人類本来の集団的価値観を見失い、自我に束縛された者たちは、人を貶める霊能行為やいかがわしい宗教への道を歩むことになっているようです。
 
良き導き人(シャーマン)が常に道徳的で、人類のみに及ばず自然や宇宙をも対象化していることは、人類進化の歴史における必然だといえるでしょう。
 

List    投稿者 cosmos | 2013-05-02 | Posted in ④脳と適応, ⑬宇宙人・スピリチャルNo Comments » 

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