2013-03-21

君もシャーマンになれるシリーズ21~こころの脳:神経の仕掛け線と身体の反応、心の形成~

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画像はこちらより転載しました ~喜怒哀楽の表情
 
こんにちは 😀 いつも「君もシャーマンになれるシリーズ」を読んでいただきありがとうございます
これまでシャーマン脳の解明において脳回路の視点からは、扁桃核、海馬について追求してきましたが、特に扁桃核の不思議はまだ多くあり、人間の心と直結してる感性の中枢でもあります。
 
私たちは周囲の環境、社会、人間関係など多様な外圧から、快・不快を感じ、危機を判断し、感情を現します。創造して考え知識を蓄えることも出来て、相手を思う気持ちもあります。これら意識や行動の底にある「こころ」と捉えられるものは、基本的には頭(脳)で造られているように思われています。
一方、緊張や恐怖で心臓の鼓動が早くなることや、感動して涙を流す等の身体の反応もあり、「こころ」とその反応は頭と身体が一体であることも実感できます。
この間、脳回路の危機察知と記憶の関係について扁桃核・海馬を調べてきましたが、今回は私たちの意識・意思・行動を起こす「こころ」というものが、扁桃核と周囲の器官、身体のネットワークはどのような繋がりがあるかみていきます。
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脳の仕組みと脳内物質の働き」より転載します。
■「心の情報」は三方向に出る

扁桃体は海馬と側坐核をコントロールするとともに、視床下部、脳幹を通じて体をコントロールしています。扁桃体から「心の情報」の行き先は、情報の種類によって三方向に分かれます。もの覚えに関する記憶認識系の情報は海馬に送られます。海馬からは、側頭、頭頂、後頭の各連合野に出力されます。扁桃体と海馬の障害による代表的な症状は、もの忘れと集中力を欠くことで、進行すると認知症、アルツハイマー症に発展します。
 
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やる気に関する意志行動系の情報は側坐核の細胞群に送られます。側坐核からは、前頭前野と各運動連合野に出力されます。扁桃体と側坐核の障害は、やる気を失い、楽しくない気分を招き、ひきこもり、不登校などにつながります。側坐核は大きな特徴ある細胞が広い範囲に分布しており、海馬や扁桃体のような明らかな形を持っていない器官ですが、細胞数が減ると問題が起きます。
 
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愛情や憎しみに関する情動身体系は視床下部方向へ向かいます。扁桃体が壊され、障害の影響が扁桃体支配下の視床下部に及ぶと、情動障害、激怒や飢え、性欲の異常、自律神経の失調などの症状が起きてきます。若い人の自殺や暴発事件はこの経路で起きます。
 
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(画像はこちらより転載)
 
■神経の仕掛け線

感覚器を通じてはいってきた信号を受けて、扁桃核は過去のトラブルの記憶をひとつひとつチェックしはじめます。心の番人のように「これは自分が嫌いなものか?自分を傷つけるものか?自分がこわがっているものか?」というきわめて単純な問いかけです。
答えが「イエス」ならば、扁桃核は神経の「仕掛け線」のように即座に反応して脳全体に緊急事態を発信します。「恐怖の警報」が鳴ったときは、扁桃核は直ちに脳の主要各部に緊急事態を知らせ、同時に戦ったり逃げたりするのに必要なホルモンの分泌を命じます。扁桃核から出ている別の神経回路からノルエピネリン(ノルアドレナリン)というホルモンの分泌を促し、脳は興奮状態になり、感覚は鋭敏になり、扁桃核からは、脳幹にも信号が送られ、その結果、表情は恐怖に凍りつき、筋肉はとりあえず必要のない動きを中断し、心臓の拍数は早くなり、血圧は上昇し、呼吸数は少なくなり、他の器官は恐怖の対象に注意を集中し、必要に応じて筋肉を動かせるよう準備します。
大脳新皮質は思考を一時中断し過去の記憶をめくり、目の前の非常事態に関連する知識を引き出そうとします

 
 
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緊急事態時は情動を司る扁桃核が基点となり、脳と体をコントロールします。
このとき、大脳新皮質(=人間の脳)の思考を一時的に止めて、別の器官から何らかの情報、記憶を引き出しているとになります。過去の記憶か、別の外界の情報をキャッチする器官が働いて、原始的な器官・機能が大きく関係していることが考えられます。
 

目や耳からはいってきた感覚信号はまず視床に届き、そこからたったひとつのシナプスで扁桃核に到達します。次に、視床は同じ信号を思考をつかさどる大脳新皮質に送ります。そのため、扁桃核は大脳新皮質が何層もの神経回路を通じて情報を吟味・認識し反応を開始するより早く反応できるのです。これが情動が理性を凌駕する現象です。
これは緊急時に扁桃核が感覚器官から直接情報のインプットを受け、大脳新皮質が事態を完全に把握する前に反応を開始できるように創った神経システムです。
プラスに働くと、瞬間的な危険回避ですが、それが間違いなら、情動が理性をヒッチハイクして、とんでもない行為に発展してしまいます。大脳新皮質が慎重に情報を分析し判断するより一瞬早く、扁桃核からの命令で人間は反射的に行動を起こしてしまうわけです。(ルドゥーの研究による)ただし完全に確認するまえに反応してしまうので、この回路はよく間違いをおかします。これを「脳の誤作動」と呼ぶこともあります。
 
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感覚信号が入った視床からの連絡が、大脳新皮質より扁桃核に達する方が早いという反射的な判断のおかげで、危険から身を守った体験のある人も多いと思います。人間の身体は、危機対応には極めて本能的といえます。
また、仕事場面なので極度の緊張から自分の意思とは別に変な行動を起こしたり、パニックに陥るタイプは、脳の誤作動を起こしているのかも知れません
  
■心の形成過程、扁桃核は感性の座

情動反応の不正確さを増す要因がもうひとつある。強烈な情動の記憶は生後2、3年までの幼少時における養育者との関係から生じる場合が多いという事実だ。虐待や遺棄などによって心が深く傷ついた場合は、とくにこの傾向が強い。生後まもない時期には、脳の他の部分、特に言語的に文脈を記憶する海馬や、理性的思考の場である大脳新皮質は発達途上にある。
 
扁桃核と海馬はそれぞれ独自に状況を記憶し、必要に応じて貯蔵してある情報を取り出す。ただし、海馬が取り出した情報を情動反応に結びつけるかどうかを判断するのは扁桃核だ。扁桃核は海馬に比べて誕生の時点ですでにかなり発達しており、生後まもなく完成してしまう。

 

情動身体系の中核をなすのは扁桃であるが、その破壊がすべての精神病と精神障害の原因となっていることを考えれば、情動身体系をこころの重要な構成要素として導入するのは当然であろう。さらに、大脳にあるすべてのホルモンが体にもあることからも、情動身体系をこころの構成要素とするのは合理的である。
今まで体とこころが別のものとされてきた理由は、大脳皮質連合野がこころを創生する場所であると考えられてきたからである。しかし、今や大脳皮質連合野をさらに制御している部位があることが発見されている。それが「こころの脳」とも呼ぶべき大脳辺緑系と大脳基底核である。その主要神経核は海馬、扁桃、側坐核で、特に扁桃は感覚系の大脳辺緑系と運動系の大脳基底核の両系にまたがる神経核である。
こころは知(海馬)、情(扁桃)、意(側坐核)の3つの神経核からなり、扁桃はその中核であり、感性の座である。木に例えれば、この3つの神経核が幹の部分であり、ほかはそこから伸びた枝葉と考えられる。つまり、機能的に見ると大脳皮質連合野はすべてその機能枝であり、また、からだは大脳皮質連合野同等の比重を持ったもうひとつの機能枝であるということになる。枝葉は傷んでも幹は残ることができるが、幹が傷むと枝葉もすべてだめになってしまう、そんな関係である。
さて、こころに対して、いのちの座である脳幹もまたブランチ(大枝)である。脳幹から枝分かれしている大脳皮質の一次の諸中枢もまた枝(小枝)である。したがってこころを生む仕組みは全脳全身に行き渡っているといえる。しかもこころを生む仕組みの中核は扁桃であり、直径1.5センチほどの小さな脳であるが、何とその形はハート形である。
からだと扁桃との間は脳幹を介して往復の二重の神経線維によって結ばれている。からだを鍛えることはこころを鍛えることにつながる
 
また、情動身体系の情報は意志行動系の中心、側坐核を介して「こころの牽引車」の前頭前野につながっている。ここに、情動身体系を付け加えることで、こころを生む仕組みが完成されるわけである。
これら3つの系、またはブロックはそれぞれ独立に機能するが、こころは機能上は扁桃を中心としたひとつの有機体として機能している。こころの決定は扁桃において行われる。以上述べてきたように、こころを生む構築は脳だけでなく、全身にくまなく広がっているといえる。こころを生む仕組みは、上から人間の脳、こころの脳、命の脳の3層の脳と、からだの合計4層によって構成されている。

 
人間の心の形成と危機対応における扁桃核の重要性が見えたと思います。 
これまでシャーマンについては脳回路の視点で追求をしてきましたが、「こころ」と「身体」の関係からもアプローチすることで、シャーマンの道へのヒント?が少し得られた気がします。
 
心の形成については、幼少期の扁桃核の発達が大きく関係していることがわかります。
やはりシャーマン教育も、幼少期にもともと備わっている能力を開花させる訓練があるのでしょうか?子供の能力についても今後明らかにしていきたいと思います。
これから脳回路の追求成果を土台に、波長等の外界情報を取り入れるしくみや、実際の身体感覚を得られるような方法・実践についても追求しながら、原始的な脳からの記憶の拾い方、予知・予測のしくみについて明らかにしていきたいと思います。
お楽しみに 😀
 

List    投稿者 yamatetu | 2013-03-21 | Posted in ④脳と適応No Comments » 

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