2013-01-12

★★★ 赤 方 偏 移 ★★★

現在の宇宙論で宇宙は膨張していると考えていますが、その根拠(定説)になっているのは「トップラー効果、赤方偏移、ハッブルの法則」です。そのうち、今回は「ドップラー効果、赤方偏移」を紹介します。
まずは
 ■「音のドップラー効果」 
振動が媒質中を次々と伝わって行く現象が波です。例えば、空気に振動を与えると空気の濃淡が発生し、この空気の濃淡が空気中を伝わっていきます。これが音波で、この空気の振動=音波が耳に入り音となって聞こえます。
振動を量的に表すには振動数(=1秒間に何回振動するか)を使います。空気が早く振動する場合は振動数が高くなり音が高く聞こえ、遅く振動する場合は振動数が低くなり音が低く聞こえます。
よく例に取り上げられる救急車で考えて見ましょう。

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救急車がサイレンを鳴らしながら近づいてくるとサイレンの音が高くなり、遠ざかっていくと音が低く聞こえます。しかし、救急車から発せられるサイレンの振動数は同じです。
このように、音源(今回の例では救急車のサイレン)が動いているために静止している観測者にとって振動数が変わってしまう現象を、発見者の名にちなんで「ドップラー効果」と呼んでいます。(ドップラー効果は、上記とは逆に、救急車は停車し観測者が動いている場合にも起こります)
このことから
・音波の振動数を測定することによって、音源が近づいているのか、遠ざかっているのかが分かります。
・また、音源の速度が大きいほど音の振動数の変化が大きくなります。
ドップラー効果は、音波のみならず全ての波に起こります。光は電磁波というれっきとした波です。従って光=電磁波にもドップラー効果が起こる筈です。

それでは「赤方偏移」に話を移します。
  ■赤方偏移  
可視光は、色によって固有の振動数を持っています。
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また、原子の種類によって、発する光の色は異なります。原子の中で最も軽いのは水素原子であり、宇宙に最も大量に存在する原子も水素原子です。
水素ガスを熱すると光が出てきます。その光を分光器に通してみると、下記のスペクトル線が現れます。
図-1
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水素のスペクトル線は左から (赤)、(青)、(紫)、(紫) です。なお赤と青の間にある赤い縞模様の線は水素分子のスペクトルです。(元素によってスペクトルは異なります)
これらの光は電磁波ですから、それぞれの色の光は振動数が違うことを意味しています。
赤方偏移を理解して頂くためのイメージですが
図-1のガラス管を分光器から遠ざけていくと、光の振動数は下がります。光の色は振動数で決まりますから、振動数が変わると当然光の色も変わります。即ち、スクリーン上のスペクトル線の色が左側にずれるのです。
光源が後退すると全スペクトル線は左側、つまり赤側に一斉にずれることから、この現象を「赤方偏移」と呼んでいます。
音もしくは光のドップラー効果は共に振動数が変化することは共通ですが
・音のドップラー効果は、振動数が変化することによって、音の高低が変化
・光のドップラー効果は、振動数が変化することによって、光の色が変化
することに着目して下さい。
宇宙に漂う銀河には多くの星があり、星には多くの水素原子があります。星の温度によって、水素原子は光を放ちます。その銀河から来る光から抽出された水素原子スペクトルと地球上での水素原子スペクトルを比較してみると
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銀河からやってくる水素原子スペクトル線が、全体的に左側にずれて色が変化していることが分かりました。つまり銀河からやってくる光は「赤方偏移」していたのです。赤側にずれ色が変化しているということは、振動数が低くなっているということであり、前述したドップラー効果が起きているということを意味しています。結果、「光源である銀河が遠ざかっている」と考えられています。
これまで定説である赤方偏移を説明してきましたが、これとは異なる赤方偏移説を紹介しておきます。
・電磁波の発生源が強い重力を持つ時に赤方偏移が起こる
・発生源が電磁波を放射し、観測地点までの間でコンプトン効果を受けた時に席法変位が起こる
・電磁波の発生源(クエーサー等)の持つ固有の性質によって赤方偏移が起こる
・宇宙は3次元ではなく4次元以上の空間であり、この空間の湾曲によって赤方偏移が起こる
様々な赤方偏移説にも今後、取り組みたいと思いますが、次回は、【ハッブルの法則】に取り組む予定です。

List    投稿者 ka-syun | 2013-01-12 | Posted in ⑫宇宙を探求するNo Comments » 

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