太陽系を探検しよう-16.地球を揺るがす地震のメカニズム(1)地震に弱い地盤って何?それはどこ!?
画像は、こちらからお借りしました。
日本は世界有数の地震国であり、近年、首都直下型地震や東海地震・東南海地震・南海地震などの大地震がおこる可能性が高いと言われています。
大地震が首都を襲うと、東日本大震災の何倍もの被害が発生し、大変な経済的損失が発生します。東京でマグニチュード7クラスの地震が発生した場合の経済的損失額は、約100兆円ともいわれています。
そこで本シリーズでは、実際に地中で地震が起こった時、地表面はどのような状況になっているのか、我々の住んでいる建物はどのような状況・被害が予測されるのか、それを防ぐにはどうすれば良いのかを、追求してみたいと思います。
これまでの地震から、必ずしも、震源からの距離と揺れや被害の大きさは相関関係にないことが分かっています。
例えば、東日本大震災では、観測された中で最も大きな揺れが観測されたのは、東日本大震災の震源地となった三陸沖から沿岸部に比べて遠い震源から約200キロ離れた場所(宮城県栗原市)でした。(2,933ガルという非常に大きな揺れ)
また、地震の被害はある地域に集中しているという事実があります。
埋め立て地などの被害が大きいことは、経験からも感じるところかと思います。
では、どのようなメカニズムで揺れが伝わってくるのでしょうか。
今回は、そのメカニズムをおさえた上で、各地域での揺れやすさの予測について紹介します。
◆震度の大きさ、揺れの感覚
図は、こちらよりお借りしました。
兵庫県南部地震における震度分布です。
震度(揺れ)は震源に近いほど大きくなるというイメージがあるのではないでしょうか。
もしそうならば、震源から同心円上に震度がばらつく筈です。
しかし、現実はそうではありません。
揺れの大きさは、震源からの距離だけではなく、地形(地盤)による影響も大きいのです。
皆さんが家を買う時、建物の構造は気にしますが、地盤まで気にする方は少ないのではないかと思います。が、それが重要なのです。
◆兵庫県南部地震における神戸の地震被害帯
図は、こちらよりお借りしました。
兵庫県南部地震において、神戸市の一部で大きな被害が起こりました。
被害激甚地域であり「震災の帯」と呼ばれています。
神戸市は六甲山麓に面しており、平野部の「軟弱地盤」に位置しています。
被害が集中したのは、この地形(地盤)に理由があると考えられています。
◆地盤から地表面までの地震経路
地震の揺れは、大きくは
①震源の規模・距離
②伝播経路の地盤特性
の影響を受けると考えられています。
地震は、震源から波(地震波)として建物下の地盤を通過して、地表面に到達します。
震源の深さは、ごく浅い場合から深い場合は700kmものまで及びます。
また、地盤は、山岳部や平野部、固い地盤、柔らかい地盤など、様々です。
◆軟弱地盤で地震波が大きくなるメカニズム
図に示す通り、軟弱地盤を通過する地震波は、軟弱地盤の下にある硬い層との境界部で反射し、地震波が蓄えられることになります。
これが、軟弱地盤を伝わると揺れが大きくなる地震のメカニズムです。
つまり、地震の揺れが大きくなる原因は、地盤が柔らかいことではなく、硬い地盤の上に柔らかい地盤があり、地震が増幅するためなのです。
更に、図に示すような地形では、反射による影響が大きくなり、揺れが大きくなる傾向にあります。
海のなぎさ付近でうねりや白波が際立つように、軟弱地盤の影響を受けて、いわゆる波打ち際からの距離と建物の破壊度に関連性が見られる現象で「なぎさ現象」と呼ばれています。
2004年の中越沖地震では、その影響が顕著に見られました。
阪神大震災において神戸市の被害が大きかったことの原因は、これらのメカニズムから説明が出来ますので、次に紹介します。
◆軟弱地盤で揺れが増幅した兵庫県南部地震
図は、こちらよりお借りしました。
改めて、兵庫県南部地震の被害激甚地域である「震災の帯」を見てみます。
軟弱地盤、そして六甲山地という、神戸市の地盤の特性から、一部の地域に被害が集中したと考えられます。
では、どこが揺れやすいのか、自分の住む地域はどうなんだろう。気になりますね。
次に、各地の揺れやすさを紹介します。
◆各地の地震時における揺れやすさ
内閣府が、これまで紹介してきたメカニズムを踏まえてシュミレーションし、各地の「表層地盤のゆれやすさ」を発表しています。
下図に、関東平野の事例を示します。
左図は東日本大震災における震度分布、右図は地盤の固さを示します。
震源は遠く離れているので、図の地域内では震源からの距離は無視出来る程度です。
概ね、地盤の固さと実際の地震における震度の関係は、相関性があることが分かります。
同時に、このシュミレーションは、各地域の状況を俯瞰する上では、概ね正しい結果を導いていると考えられます。
図は、こちらとこちらよりお借りしました。
次に、全国の揺れやすさを示します。
図はこちらよりお借りしました。
我々の多くの人が住んでいる、関東平野、大阪平野、濃尾平野などの平野部は、やわらかい地盤で覆われ、揺れやすい地域であることが分かります。
都市を襲う地震は、単に人が多いという問題だけでなく、被害が集中しやすいという弱点があるのです。
各地の揺れやすさは、↓のサイトで見ることが出来ます。
http://www.bousai.go.jp/oshirase/h17/yureyasusa/index.html
詳細な地域までの情報が載せられているので、気になる地域を確認してみてください。
家具の固定、住宅の耐震補強対策などの目安にしてもらいたいと思います。
今回は、軟弱地盤について説明しましたが、建設物の耐震設計はここまで細かくその影響を考慮している訳ではありません。
また、他にも地震時の被害に影響を及ぼすことが考えられます。
今後は、今後、建設物に求められる耐震性、最近、世間で耳にするようになった「液状化」や「長周期化」などについて、追求していきたいと思います。
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katsuhiro Fujimori | 2016.08.17 14:20
全国の揺れやすさ のリンク元がまったくありません。
地図の絵元も、
http://www.bousai.go.jp/oshirase/h17/yureyasusa/index.html
も、ノット ファウンド です。
酷い!