言葉の不思議1:赤ん坊が言葉を発するまで
日々、当たりまえのようにしゃべっている言葉・ことば・コトバ・・・
しかし、言葉を持つ生物はヒトだけで、非常に高い知能を有していると言われるチンパンジーやイルカでさえ、言葉を習得するのは不可能だと実験結果が示されているそうです。
言葉を使って思考したり、コミュニケーションを図ったりするのは、人類を人類たらしめている最大の特徴のひとつですが、言葉の習得や獲得にはまだまだ謎が多いのも事実です。
本ブログが日頃お世話になっている『るいネット』には、言葉の起源に関する有力な仮説として、『万物の背後に見た霊』『感覚機能を越えて共認機能を使って自然と行った対話』などの認識が提起されています。この仮説の意味・内容をさらに深める意味で、人間の赤ん坊はどのようにして言葉を話せるようになるのかを今日は考えていきたいと思います 😀
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言葉を習得する上で最も大きい障壁としてよく引き合いに出されるのが先天性聴覚障害ですが、子供に聴覚障害があるとわかったときにその家族が最初にすべきことは、家中のモノに名前を書いたラベルを貼りまくることなんだそうです。これを怠ると「モノゴトには名前がある」ということを知らずに幼少期~学童期を送ることになるので、後の言語理解プログラムの遂行(≒言葉をある程度使えるようになるためのリハビリ)がかなり困難になってしまうそうです
では、健聴者の赤ん坊は生後どのくらいで「モノゴトには名前がある」ということを理解するのでしょうか?
また、実際にしゃべれるようになるまでには、どんなステップを踏んでいくのでしょうか?
今日はプロローグとして、赤ん坊が言葉をしゃべるようになるまでの過程を、まず現象的に整理しておこうと思います
【1】新生児段階
抱っこしてくれている人が目の前で舌を突き出して見せると、同じように舌を突き出すことが実験で確かめられています。このような真似をするためには、①注目すること、②目で見たものを理解すること、③自分の身体のどの部分に当たるのか理解できていること、筋肉の動かし方が分かっていることなどが必要です。普通赤ちゃんはこれらの能力を持って誕生してきます。
また、新生児の段階でも赤ちゃんはお母さんの目をしっかり見つめてオッパイを飲んでいますが、黒く丸い二つの目のようなものがあれば、それに注目することが実験で確かめられています。この「目と目で見つめあう」ことが、言葉の育つ“はじめの一歩”なのです。
さらに、母乳を飲んでいるときの赤ちゃんは、顔を真っ赤にして力いっぱいオッパイに吸い付いていますが、実はこれが言葉を話すときに必要な唇などの口の周りの筋肉や、舌の筋肉をしっかり使えるようになるための大切な訓練になっているのです。
【2】生後2ヶ月
人間の顔に向かって笑いかけるようになります。 😀 (それまでもお母さんが顔を覗き込むと嬉しそうな笑顔を見せますが、これは、「微笑反射」といって、生まれつき身に着けている原始反射の一つだと考えられています。)生後2ヶ月を経過すると、この「微笑反射」とは明らかに異なる反応として、満面の笑みを相手に返すようになります。この時期の赤ちゃんの笑顔は、まさに“天使の笑顔”で、この笑顔を見るとどんなに心配なことや悲しいことがあっても、思わず笑い返してしまうほどの幸福感を与えてくれます。
またこの頃には、赤ちゃんは機嫌のよいときに、「クークー」とか「プー」「パッ」というような、言葉にはなっていませんが色々な声を出すようになります。お母さんはこの声に合わせて「ソウ~気持ちよかったねえ」「美味しかった?」というように話しかけると、赤ちゃんも「ア~」「プ~」というようにまるで返事をしているように声を出してくれます。このやり取りは、赤ちゃんの持っている言葉のタネが芽を出しかけたことを示していると思われます。そして、この時期は生後6ヶ月頃まで続きます。
【3】生後6ヶ月
この頃から「人見知り」が始まります これは、自分の母親とそれ以外の人を目で見て区別できるようになるためで、「視覚的識別能力」が発達してきたことを意味します。
また、「イナイイナイ・バー」などの遊びに大きな反応が返ってくるようになるのもこの時期です。
【4】生後7~8ヶ月
支えがなくても一人で座ることができ始めます。すると、手も自由に使うことができますから、玩具を持つこともできますし、お母さんの手振りを真似ることもできるようになります。「ジョウズジョウズ」と拍手をさせたり、「バンザ~イ」と手を差し上げさせたりすると喜びます。
上述の「イナイイナイバ~」も、お母さんが自分の手で顔を隠して「バッ!!」と手を広げて顔を見せると、赤ちゃんも自分の手で顔を隠してパッと顔を見せてくれるようになります。
また、赤ちゃん自身もこの頃から色々な音声を出せるようになります。主には「ア・パ・バ」とか「タ・ダ・チャ」という音ですが、自分でそういう声を出して一人で遊んでいることもよくあります。
【5】生後10ヶ月
まるでお話をしているかのように意味のない音声を一人で喋るようになるのがこの時期です。これを「なん語」or「ジャルゴン」といいます。
ジャルゴンが現れる頃になると、赤ちゃんはお母さんの話す言葉をだいぶ理解できるようになっていて、「動作模倣」だけでなく、お母さんの出す声を真似する「音声模倣」が始まります。
【6】生後12ヵ月
かなりの言葉を理解できるようになり、いくつかの単語を話すことができるようになります。話す単語の多くは「名詞」で、これはどんな母国語であるかに関わらず共通だという研究報告もあります。
以上が生まれてから1年間の赤ん坊の言葉習得のプロセスです。新生児の段階で既に「目と目を見つめ合う」行為が可能だとすれば、胎児期での脳と感覚機能の発達にも注目する必要がありますし、それに上記のプロセスを重ね合わせると、『るいネット』で提起されている『共認回路』や『観念回路』の分析が可能になりそうです
次回はその辺りを踏まえて、今日の続編をアップしていきたいと考えています
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