2012-01-26

『アジア地域』と『アメリカ大陸』のシャーマンの違いはどこから生じる?

シリーズ6では、

・世界各地の部族などにみられるシャーマン達は、儀式又は踊り、あるいは幻覚植物を使用することによって、脳内リミッターを外しトランス状態に入ること。
・このトランス状態とは、極限まで同化回路(共認回路)を開いた状態で、対象に対する同化度が通常よりはるか高くなっている状態であること。
・シャーマン達は、日常では看守できない微細な外界情報を看守できるようになっている。

という結論に至りました。
ある程度すっきりしてきましたが、前回扱った内容も疑問がいくつか残ります。
それは、同じシャーマンでも、「アジア地域」と「アメリカ大陸」のシャーマンとでは、トランス状態に入っていく過程、そしてトランス状態に入っていることを表わす言葉が違っている点です。
具体的には、「アジア地域」のシャーマン達は、儀式や踊りでトランス状態に入ります。そしてこのトランス状態を、あたかも他者が乗り移っているように見られることから『憑依』と呼びます。
それに対し「アメリカ大陸」のシャーマン達は、幻覚植物を使用することによってトランス状態に入ります。彼らシャーマン達は、トランス状態を 「魂が抜る」 あるいは 「空を飛んでいる」かのような状態になることから『脱魂』あるいは『マジカルフライト』と呼んでいます。
これら地域の違いによって生じる、トランスの入り方、トランス状態の違いは、どこから生じるのでしょうか?
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   <アジアのシャーマン(沖縄のユタ)>
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<アメリカ大陸のシャーマン(アンデス地方)>
今回も、僕ら現代人からみれば、不思議な世界ですが、これら上記の疑問に迫ってみたいと思います。  
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それでは早速、先の疑問を扱っていきたいと思います。

●疑問1
なぜ、「アジア地域」のシャーマン達は、儀式や踊りのみでトランスに入ることが可能なのか? それに対し、なぜ「アメリカ大陸」のシャーマン達は幻覚植物を使用するのか?

これらの疑問を解くには、まず彼らの置かれた外圧状況を押さえる必要があります。
まず、「アジア地域」の部族は、主に採集生産となります(一部地域を除く)。
「アメリカ地域」の部族と比較すると気候は温暖で、かつ植生は豊かな為、自然外圧は比較的低い地域であるといえます。
また、同類闘争もそれほど激しくなく、日本に限っては縄文時代は1度も戦争の跡がありません。採集生産である為、日常の移動距離もそれほど長くないのも特徴です。
婚姻様式も多様で、かなり複雑にシステム化されています。ポリネシアの島々や日本に象徴されるように、集団内において性の充足を追求している様子がみられることからも、集団内の共認充足が第一とされていることがわかります。
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      <ポリネシア地方の人達> 
 
 
それに対し、「アメリカ地域」の部族は、主に狩猟生産です。
移動経路もモンゴル高原→ベーリング海峡→北アメリカ→南アメリカと長く、極寒地域を通過したり、生息する動物も大型である為、自然外圧はとても高いと言えます。
また、各部族間の同類圧力もアジアに比べ、非常に高く、殺し合いの戦争の記録も多数みられます。
婚姻様式は様々ですが、複雑化したものは少なく(それほど工夫された痕跡は無く)、おそらく集団内の充足よりも、圧倒的な同類闘争圧力をどうするかが集団にとっての最大課題だったことが伺えます。
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     <アメリカインディアンの闘い> 
 
 
このような外圧状況の差から、「アジア地域」の部族達は日常的に、集団内や自然対象に同化回路(共認回路)を開いた状況で過ごし、シャーマン達は、儀式や踊りを加えることによって、より一層 同化回路(共認回路)を活性化させていったのだと考えられます。
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 <踊りによりトランス状態に入っていくユタ達> 
 
 
一方、アメリカ大陸の部族は、敵対する部族が近接する為、日常的に同化回路を使うのは困難だったと考えられます。なぜならば、自部族の敵や、ましてや殺す相手に同化など到底できないからです。(同化回路=相手の気持ちと自分の気持ちを重ね合わせる回路)
従って、恒常的に同化回路にある一定の制限(リミッター)をかける必要があったのだと考えられます。
但し、過酷な自然外圧は存在しますので、それに対応する必要があります。
そこで見つけ出された手法が、一時的に同化回路を全開にする幻覚植物の使用だったのではないでしょうか?
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   <幻覚植物の煙を吸う南米シャーマン> 
 
 

●疑問2
なぜ、「アジア地域」のシャーマン達は『憑依させる』と言われる手法を使うのか?
それに対し、なぜ「アメリカ大陸」のシャーマンは『脱魂』又は『マジカルフライト』と呼ばれる手法を使うのか?

この疑問に対しても、外圧状況と、それによって生じるシャーマンに対する集団からの期待が大きく関係していると思われます。
採集生産をする 「アジア地域」の部族にとって、集団の関心ごとは集落近辺の自然状況の変化、そして集団内の充足度(≒統合度)が主であると考えられます。
従って、集団がシャーマンに対して期待する能力とは、集落近辺の自然や仲間に対する深い同化となります。
ある対象に対して、シャーマン達は、あたかもその対象に完全に一体化したかのように話すことから、『憑依』と呼ばれてきたのではないでしょうか?
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  <集団で憑依状態になるユタ達> 
 
 
それに対し、狩猟生産で、同類圧力が非常に強い「アメリカ大陸」の部族にとっては、集団の関心ごとは、広範囲に及ぶ狩りの命運、敵対する他部族の状況、そしてもし同類闘争で劣勢ならば次の移動先等となります。
従って、集団がシャーマンに対して期待する能力は、アジアのシャーマンのような対象への同化の深さよりも、どちらかといえば対象の広さ、すなわち広範囲で起こっていることを瞬時に把握する能力だったと考えられます。
(同化が浅いと言っても、共認回路が錆び付いた現代人からみれば、遥かに深かったのは間違いないでしょう)
意識を広範囲にはりめぐらせ、まるで意識を飛ばしながら情報収集していくことから『脱魂』又は『マジカルフライト』と呼ばれているのではないでしょうか?
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<元南米シャーマンによる、トランス状態の世界を描いた絵画>
 
 

まとめ 
・「アジア地域」の部族は、日常的に、同化回路を開いた状況で過ごす為、中でも優れた同化力を持つシャーマン達は、儀式や踊りによって、それを活性化(トランス状態化)させるこができる。
一方、「アメリカ大陸」の部族は、日常的に同化回路にリミッターをかける必要がある。従って、幻覚植物を用いて一時的にリミッターをはずし同化回路を開く必要がある。
・「アジア地域」の部族のシャーマンへの期待は、集団近辺への深い同化による情報収集。対象へ完全になりきる程の深い同化が『憑依』と呼ばれる由縁だと思われる。
一方、「アメリカ」大陸の部族は広範囲の情報収集。広範囲に意識を散策させることから『脱魂』又は『マジカルフライト』と呼ばれる。
それらの違いは集団かかる外圧と期待によって規定される。

●残る疑問
・今回はシャーマンの役割である、「情報収集能力」という点から、それぞれの違いをみてきましたが、もう一つシャーマンの大きな役割に、病の治療があります。
これは「アジア地域」と「アメリカ大陸」とも共通しています。アプローチに違いはあるのでしょうか?また、彼らはどのように病を治しているのでしょうか?
これは次回以降、扱っていきたいと思います。

List    投稿者 shinichiro | 2012-01-26 | Posted in ⑬宇宙人・スピリチャルNo Comments » 

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