2011-09-30

シリーズ 超極小『素粒子』の世界4 ~「弱い力」「強い力」って何?~

%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%BC%E5%A4%AB%E4%BA%BA.bmp

                放射線の研究でノーベル賞を受賞したキュリー夫人
                    画像はこちらからお借りしました。
みなさま、こんにちは~
ここまでの記事シリーズ1シリーズ2シリーズ3では「素粒子って何 」の基礎編をお送りしました
素粒子の世界に興味を持っていただけましたか~
今回は、前回紹介した「4つの力」のうちの「強い力」「弱い力」にせまりながら、引き続き素粒子の世界を感じてもらえればと思います
まずはここまでの復習も兼ねて、周辺部の用語の説明から入ってみます
◆原子・原子核とは
%E7%84%A1%E9%A1%8C.bmp
画像はこちらからお借りしました。
原子は中心である原子核とその周囲を取り囲む電子によって構成されています。原子核は、さらに陽子と中性子から成り立っています。電子はマイナス、陽子はプラスに帯電しており、極性が逆であるだけで電荷の大きさは同じです。原子核内の陽子の数と、その原子核を取り巻く電子の数は同一なので、原子は全体で中性です。
原子核に含まれる陽子の数がその原子の原子番号です。中性子と陽子の質量はほぼ同等ですが、電子はこれらの約1840分の1。また、中性子と陽子をまとめて核子といいます。そして、ある原子核を構成する核子の数量を質量数といいます。
(赤丸がアップクォーク、青丸がダウンクォークを表しているのはいいですね
な人はシリーズ2をもう一度読んで見てください
ちなみにアップクォークが2/3、ダウンクォークが-1/3の電荷を持つため、陽子はプラスの電荷を、中性子は電荷を持たないということになります
ブログランキング・人気ブログランキングへ にほんブログ村 科学ブログへ

 にほんブログ村 科学ブログへ


応援ありがとうございます
◆核力とは
%E6%A0%B8%E5%8A%9B.bmp
画像はこちらからお借りしました。
正電荷を持つ陽子は、接近すると互いに電気的な力(クーロン力)で反発します。中性子は電荷を帯びていないので、陽子と電気的に結びつきません。また中性子同士も電気的に結合しません。では、なぜこれら核子は原子核としてまとまっていられるのでしょうか?それは中性子や陽子を相互に結びつけ、原子核としてまとめあげる力が存在するからです。この力を核力といいます。シリーズ3で説明した「強い力」の一種です。グルーオンという粒子が媒介になっているとされています)
陽子間の電気的な反発力を乗り越えて陽子同士を結合させるのであるから核力は非常に強力です。しかし、核力は非常に強力である一方で、作用する範囲は非常に狭くなっています。核力の作用する範囲を超えたサイズの原子核は存在できません。原子番号が100を超える原子は非常に不安定であること、原子番号が120を超えるような原子は人工的にもなかなかできないなどはこのためです。
◆同位体とは
carbon-isotopes.gif
画像はこちらからお借りしました。
ここに陽子が8個、中性子が8個の原子があったとします。陽子の数が原子番号なので、この原子は酸素原子で質量数は16です。酸素原子の99%以上は質量数が16ですが、質量数が17や18の酸素原子が自然界にわずかに存在します。つまり陽子は同数だけれども、中性子の数が異なる原子が存在するのです。このように原子番号が同一で中性子数が異なる原子を同位体といいます。ここでは酸素を例としましたが(上記の図は炭素を例にしています)、すべての原子に同位体が存在します。同じ元素であっても(原子番号・陽子数が同一であっても)質量数のことなる元素が存在するのです。原子の化学的な性質は、陽子の数で決まります。陽子と同じ数の電子が原子核を取り巻き、この電子の数と配置とが原子の化学的性質を決定付けるからです。だから化学では同位体を区別する機会はほとんどありません。一方、原子核物理では質量数を明確にする場面が多くあります。原子核は質量数によって性質が決まるからです。質量数は以下のように原子記号の左肩に書きます。
235U
238U
これらはウランの同位体で、それぞれウラン235とウラン238です。
◆原子核崩壊とは
原子核は核力(「強い力」)によってまとまっています。しかし、中性子数と陽子数のバランスによっては、核力によって原子核を維持することが難しくなります。このような原子核は、非常に不安定なのです。このため、中性子と陽子の数の組み合わせの適切でない原子核は、時間の経過とともに放射線を出して他の原子核へと変化します。放射線を出して、他の種類の原子核に変化することを原子核崩壊といい崩壊する原子核を放射性同位元素といいます。崩壊は外からの働きかけがなくても自然に発生するのです。「崩壊」といっても原子核がバラバラに分解し、原子核でなくなってしまうのではありません。他の種類の原子核に変わるだけなのです。放射線にはいくつかの種類がありますが、実体や発生機構は異なります。なお、すべての原子が放射能を持つのではありません。不安定な原子核が、放射線を出すのです。放射線にはいくつか種類があります。その中で不安定な原子核から自然に出る放射線には以下の3種類があります。
α線、β線、γ線
ここでのポイントは「原子は永久不変ではない」ということです。α線やβ線を放射することにより、他の原子へと変化するのです。なお、γ線を放射しても原子核は崩壊しません。
<α崩壊>
arufahoukai.JPG
画像はこちらからお借りしました。
陽子2個、中性子2個から構成される核子のカタマリをα粒子といいます。これはHe(ヘリウム)の原子核のことです。α粒子が高速で放射されたものをα線といいます。α崩壊とはHeの原子核を吐き出す崩壊と言えます。Li(リチウム)やO(酸素)、Ne(ネオン)など他の原子核を自然に吐き出す崩壊はありません。また陽子2個、中性子2個以外の組み合わせを吐き出すこともありません。常に陽子2個、中性子2個の4個一組で放出します。これはHe(ヘリウム)の原子核が非常に安定しており、維持されやすい組み合わせであることを意味しています。崩壊ではHe(ヘリウム)の原子核以外の形で核子が放出することはありえないのです。α崩壊では、陽子2個が失われます。つまりα崩壊とは、原子番号が2つ小さい原子に変化する崩壊なのです。α崩壊は重い元素に特有の崩壊です。理科年表を参照すると、α崩壊を起こす核種は質量数200以上の同位体であることが分かります。(数個の例外もありますが)
<β崩壊>
betafoukai.bmp
画像はこちらからお借りしました。
β線を放出する崩壊をβ崩壊といいます。(β崩壊を引き起こす媒介となる力を「弱い力」と呼んでいます。そして、それを促す粒子がウィークボソンと呼ばれています。「強い力」を引き剥がすのに、それよりも強い力が必要とされるわけではないというのがおもしろいですね 😀 「電磁力」よりもずっと小さい力であることから「弱い力」と呼ばれているそうです
β線とは原子核から放出される高速の電子です。原子核を取り巻く電子ではありません。原子核内部から電子が放射されるのです。原子核は陽子と中性子から構成されるはずなのに、この電子は原子核のどこにいたのでしょうか 🙄 この電子は中性子の中にいたのです。中性子はその名の示す通り電荷は中性です。その中性子から負電荷を持った電子が放出されるので残った中性子は正電荷を帯びることになります。正電荷を帯びればこれはもう中性子ではなく陽子です。中性子がβ線を出して陽子に変化したのです。中性子と陽子は核子の種類ではありません。核子が正電荷を帯びた状態が陽子であり、電荷のない状態が中性子なのです。さて、中性子が陽子に変化したということは、原子番号が一つ増えたことになります。原子番号が異なれば、それはもう別の原子ということになります。β崩壊とは原子番号が1つ大きい原子に変わる崩壊です。なお、β崩壊時に中性子から放出されるのは電子だけではありません。ニュートリノという中性の素粒子も同時に放出されます。(ちなみにβ崩壊には【①中性子→陽子+電子+反ニュートリノ】と【②陽子→中性子+陽電子+ニュートリノ】の二種類があります。)
<γ崩壊>
ganmafoukai.bmp
画像はこちらからお借りしました。
原子核に蓄えられたエネルギーをγ線として放射するのがγ崩壊です。アルファ崩壊やベータ崩壊直後の新しい核種は通常、励起状態(エネルギーが高く不安定な状態)にあることが多く、それが安定な状態(エネルギーの低い状態)になるときに発生します。原子番号、質量数ともに変化はしません。
つまりγ線を放射しても原子核は崩壊しないのです。波長が10-12mよりも短い電磁波をγ線といいます。エックス線よりもエネルギーが大きいということです。
                       
さてさて、ここまで「強い力」「弱い力」のイメージを膨らませながら、原子核崩壊の事例を見てみましたが、どんどん疑問が湧いてきませんか
β崩壊時に働いている力が「弱い力」なのだとしたら、α崩壊時に働いている力はなんと言うの γ崩壊は
中性子が陽子に変わるということは、つまりダウンクォークがアップクォークに変化するということ つまりダウンクォークがアップクォークに変わること(あるいはアップクォークがダウンクォークに変わること)を「弱い力」と言うの 🙄
そもそもグルーオンとか、ウィークボソンという粒子がほんとに媒介となっているの
中間子とグルーオンの関係は
う・・・ん
疑問は止まりません。この続きはまたどこかで
(核分裂・核融合についても扱えなかったので、またどこかで

List    投稿者 tateko | 2011-09-30 | Posted in ⑬相対性理論・量子力学・素粒子No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.seibutsushi.net/blog/2011/09/1209.html/trackback


Comment



Comment