2011-04-07

生命進化と地球活動の関係(生命と地球の共進化)

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図:地球生命・表層環境史
※出典:プルームテクトニクスと全地球史解読(熊澤峰夫・丸山茂徳)「初期生命の実像」p140 
(丸山珪徳・磯崎行雄生命と地球の歴史1998を改変)


前回の記事:「生物と放射線」の前段で地球史と生物史の関係について触れ、生命は有害な放射線の届かないところで生まれ、危険がなくなったところに進出していった、つまり放射線は生命の秩序とは相容れないことを明らかにしました。

今日はより大きな視点で、生命進化と地球活動の関係について考えてみます。
※考察に当たっては、「生命と地球の共進化(川上紳一・大野照文)」(※「プルームテクトニクスと全地球史解読」(熊澤峰夫・丸山茂徳)所収)を参考にしています。

「生きとし生けるものは、全て外圧(外部世界)に対する適応態として存在している」(実現論第一部:前史)わけですから、生物の進化の背景には様々な外圧があり、その環境変動が生物の新たな機能の獲得=進化の原動力となっています。
数億年に及ぶ生物史の中でも極めて大きな進化(あるいは大絶滅)が起こった背後には、おそらく極めて大きな環境変動=地球規模の環境の激変があったと考えられます。

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生物史における極めて大きな進化として注目すべきポイントは、(1)生命の誕生. (2)光合成の始まり.(3)真核生物の出現. (4)有性生殖の始まり. (5)多細胞動物の出現. (6)陸上への進出です。
それぞれの時期にどのような地球活動と環境変化が起こったのか、生物進化とどのように関係しているのか、その仮説を整理します。

(1)生命の誕生.
約46億年前、地球が誕生します。この原始地球に無数の微惑星が落下し、衝突時に揮発成分が蒸発して水と二酸化炭素からなる大気が生まれます。その後地表の温度が下がると、大気中の水蒸気が雨に変わって地表に降り注ぎ、約43億年前、海が誕生します。
その後、海底火山噴出口付近の高温・高圧環境下でメタンやアンモニアから硫化水素の還元が起こり、アミノ酸などの有機物が誕生します。このアミノ酸が化学進化することによって、約40億年前、原始生命体が誕生しました。
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原始地球のイメージ(東京写真紀行)
 
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海底火山噴出口のイメージ(東京写真紀行)

(2)光合成の始まり.
約27億年前シアノバクテリアが出現、シアノバクテリアは地球の大気を被っていた二酸化炭素を吸収し、光合成によって酸素を放出します。この酸素と海水中に溶けていた鉄イオンが酸化鉄となり、海底に堆積しました。海水中の鉄イオンがすべて酸化鉄となると、海水中の余剰な酸素が大気中に放出されていき、今日のような大気が形成されました。
シアノバクテリアは、岩石の表面に付着して光合成を行います。この岩石が層状になったものをストロマトライトといいます。約27億年前頃(シアノバクテリアの出現と同時期)に、大陸地殻の急激な成長が起こり、大規模な安定大陸と広範な浅海域が形成されました。この安定化により、シアノバクテリアによる大規模なストロマトライト形成が可能になり、酸素型大気の形成が促進されたと考えられています。
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シアノバクテリア(ウィキペディア)  
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ストロマトライト(ウィキペディア)  

(3)真核生物の出現.
シアノバクテリアの光合成により酸素が増え、当時の生命の大半は酸素の脅威にさらされます。その突破口として、古細菌の一種がシアノバクテリアと共生し、真核生物が生まれたのが約20億年前です。
約22~20億年前の堆積物から有機物の割合が増加したことがわかっており、酸素濃度が上昇したと推察されています。またこの頃、南米や西アフリカで大きな造山活動があったことがわかっています。造山運動により二酸化炭素が大量に発生し、光合成が促進された結果、酸素濃度が上がったとする仮説があります。
真核生物の誕生も地球環境の変化と関係する可能性が高そうです。
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真核生物(理化学研究所)

(4)有性生殖の始まり.
原始的な真核生物は、環境が悪化すると二倍体の生成が活発化し、良好なときは半数体が活発になります。よって、激しい周期的な環境変化が半数体と二倍体のサイクルを生み出す圧力になった可能性があります。
有性生殖の誕生は9億年前の藻類だといわれていますが、ちょうどその頃、大陸が地表に露出しはじめます。大陸は海洋と異なり、熱慣性が小さく暖まりやすく冷えやすいので、大規模な大陸の地表への露出は、地表の気候区分の不均質性を生み出し、海洋にも季節変化をもたらします。この季節変化に適応するために、生命は有性生殖を獲得した可能性が高いと考えられます。
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有性生殖(有性生殖の進化の軌跡を藻類に探る)

(5)多細胞動物の出現.
多細胞動物の進化は、①多細胞動物の出現、②左右相称動物の出現、③カンブリア大爆発に代表される生態系の複雑化の3段階で進んでおり、それぞれの段階で地球環境の変化が起こっています。

①多細胞生物の誕生は、襟鞭毛虫類から単系統で進化したとする説が有力で、最も原始的な多細胞動物である海綿を構成する細胞は、襟鞭毛虫とよく似ています。多細胞化の過程はよく分かっていませんが、多細胞生物の細胞を結合している物質はコラーゲンであり、コラーゲンの生合成には酸素が不可欠であることから、地球環境中における酸素分圧の増加が多細胞化のきっかけになったとする酸素仮説が提示されています。

②左右相称動物は、6億年前のエディアカラ動物群の化石にも見られますが、この時期はバランガー氷河期の終焉の時期にも当たります。氷河期の到来により海水中のエサの量が減り、海水中に漂っているエサを受動的に取り込むイソギンチャク等の放射相称の動物は十分なエサを得られなくなり、自ら積極的にエサを探すことができる、左右相称動物が登場したと考えられています。

③カンブリア大爆発は環境中の栄養塩類の濃度が増加し、バイオマスが増加したことで引き起こされたとする説が提示されています。この時期はゴンドワナ大陸の形成による造山運動によって陸地の浸食が進み、これが海水の富栄養化を引き起こしたと考えられています。
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カンブリア大爆発(太古の世界) 

(6)陸上への進出.
最初に陸上に上がった植物は、緑藻類の仲間のシャジクモ類だと考えられています。陸上に上がった時期はオルドビス紀末の氷河期の時代です。この氷河期は、ゴンドワナ大陸が南極にあったことによるとする説が提示されていますが、最近の研究では大気中の二酸化炭素濃度の低下も氷床拡大の原因になった様です。
シャジクモ類は水中の二酸化炭素を利用して光合成を行う植物だったと考えられており、二酸化炭素濃度の低下と寒冷化で水中の二酸化炭素分子の取り込みに支障をきたし、大気中の二酸化炭素を直接取り込む仕組みを獲得し、この危機を乗り越えたと思われます。
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シャジクモ(ウィキペディア) 

★生物史における大事件(大進化、大絶滅)の背景には、やはり地球規模の環境の激変が大いに関係しているだろうと考えられます。
一方で、人智を越えた地球活動に関してはまだまだ未明の部分が多く、その解明は端緒についたばかりという印象もあります。過日の大震災でも明らかになりましたが、現在は地震メカニズムの解明や予測さえきわめて不十分な次元にあります。
地球そのものの構造解明や生物進化との関係についての追求は、今後ますます必要とされる領域であり、地球の層構造(大気の組成、海洋、地殻、マントル、核)-テクトニクス(マントルの動き、プレートの動き、大陸の急成長や超大陸)-地表面の環境(氷河期、寒冷-温暖期、乾燥-湿潤期)-生物進化・・・これらを統合的に捉える必要がありそうです。

List    投稿者 iwaiy | 2011-04-07 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

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