2010-11-09

人類の拡散と進化シリーズ11~毛が部分的に生えるのはなんで?

前回の記事では、「毛が抜けたのなんで?」を追求しましたが、今回は尚も部分的に残り続ける 毛の存在理由 を追求してみたいと想います。
ちなみに、人類の体毛全体を見ると、他の類人猿よりも遥かに量が多いそうです。但し、毛穴は多いがその殆どがウブ毛状 になっており、見た目には殆ど毛が無いのと変わらない状態なのです。
人類の場合、体毛による外圧保護よりも、毛穴=汗腺の数を増やすことで体温調整を可能にして来た結果なのだろうと推測されます。体温調節機能の発達した動物は持久型、つまり長距離移動の得意な鳥類や馬等に見られる特徴でもあり、洞窟内での歩行訓練(踊り)や長距離移動(拡散)適応の結果であろうと想われます。
では、今回のテーマである部分的に残る毛に迫ってみましょう。
 

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◆何の為に『毛』があるの?
1.頭髪が生えているのはなんで?
頭髪は、「人間にとって最も大切な脳を保護する役割」をもっています。調べて行くと、髪の毛に関する様々なことがわかってきました。
①男性ホルモンによって生えている髪の毛は年をとると薄くなって行きます。男性は特に気になるところですが、薄くなるのは細胞の寿命(自然の摂理)なのです。
男性ホルモンは女性ホルモンに比べ変異性を孕み、細胞分裂を繰り返す際に欠損した遺伝子を修復する機能が低下するので、結果寿命が短くなる=薄くなります。むしろ、頑張って変異するからこそ、と前向きに捉える必要がありますね
②アフリカ系の人に見られる縮毛は、強い紫外線から頭皮を守る為。密度も重要な要素。
③他の体毛に比べ、毛周期が長く、個体差はあるが凡そ6年程(他の毛は2年程)、かつ女性で最長10年程度。
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なぜ他の体毛より毛周期が長く、かつ長く伸びるようになったのかは、はっきりしていません。
仮説としては、脳進化にシフトした人類にとって、最も重要な頭頂部を保護するセンサーとして頭髪にもエネルギーを注いたのではないかと想われます。
もし何かご存知の方が居たら、是非教えてください。
2.眉毛が生えているのはなんで?
①眉毛の機能
1)汗除け・・・発汗の多い額からの汗と、雨のしずくが目に入るのを防ぎます。
2)怪我防止・・・眼窩上部は出っ張っていてぶつかりやすい部分です。ぶつけた時は毛がクッションになります。
3)コミュニケーション・・・眉毛による豊かな表情を作り出し、感情を伝えあうという大切な役目があります。
写真参照
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猫でも眉毛を付ける事で、こんなに豊かな表情になるんです 😮
②眉毛が出来た理由は?
実は眉毛は人類にしかありません。これも、人類の脳進化にその理由が求められます。
まず、他の動物では、どうなっているか?
特に霊長類(チンパンジー・ゴリラ・マントヒヒ)に注目!
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どの猿も、目の上に骨の盛り上がりがある事が解りますね。
同様のことは、現生人類の前のネアンデルタール人(旧人)や、ハイデルベルク人(原人)にも当てはまります。
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ハイデルベルク人
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(左:ネアンデルタール人 右:ホモサピエンス)
上の ネアンデルタール人の化石とホモ・サピエンスの化石 を見ればわかるように、ホモ・サピエンスでは、目の上の骨の盛り上がりがない。現生人類(ホモ・サピエンス)は、脳(前脳)の拡大にともなって、額が前にふくらんだので、目の上の盛り上がった部分が目立たなくなった。
この脳進化の基礎となった部分は、共認進化、つまり表情によるコミュニケーションの発達があり、その過程において前頭葉の発達と合わせて顔周辺の体毛も徐々に淘汰し、表情優位の構成にしていったと考えられます。
その過程において、目の上には水切りの機能を合わせ持った眉毛だけがしっかりと残された。 実に興味深い連関性です。
参考サイト
http://openblog.meblog.biz/article/2478827.html
3.わき毛・陰毛があるのは何のため?
まず、人類には二種類の外分泌腺が存在し、水っぽい分泌物(汗)を出すエクリン腺と、油っぽい分泌物(フェロモンetc.)を出すアクポリン腺があり、わき毛・陰毛の生える部分はアクポリン腺が存在する部分と対応しています。
哺乳類の歴史の中ではアクポリン腺の方が古く、乳腺もアクポリン腺の一種。
アクポリン腺は多くの哺乳類で全身に存在し、フェロモンの分泌腺として機能しています。同類認識と雌雄認識にフェロモンを用いる事は、暗闇の中でもお互いの位置などを知るための、一種の夜行性適応であったと考えられます。
一方のエクリン腺を獲得しているのは一部の哺乳類のみで、かつ全身にエクリン腺が存在する(汗 をかくことが出来る)のは、ウマや人類などに限られます。
これは、体温調節機能により長時間運動や高温環境への適応を実現する為だと考えられますが、特に人類の場合、その前段階における省エネ化、つまり洞窟内での飢餓適応の為の低体温下が先にあり、まずは少ない食糧で長期間の生命維持を行う為の機能を身に付けると同時に、他方では共認充足を高める為のスキンシップや踊り等による体温上昇と、それを発散させる仕組み=汗腺の発達へと繋がっていったのではないかと考えられます。
また、人類はフェロモンの受容器官である鋤鼻器が退化しており、同類間の情報伝達は視覚・聴覚を主としたもへとシフトしています。(鋤鼻器の替わりに嗅覚系が機能している可能性は否定できませんが、働きとしては、さほど大きくないでしょう。)
わき毛・陰毛の殆どは縮毛で、立体的な空間(空気の層)を作っています。これは、匂いを溜めて周りに漂わせる為 である、との解釈もありますが、アクポリン腺はあっても毛が生えていない場所(耳の裏や鼻・眉間)があることや、そもそも人類にはフェロモンの受容器官が退化している事から考えると、フェロモン説では説明が付きません。
面白いのは、類人猿等はむしろ生殖器の周りだけが無毛であったりするのに、人類はその逆の形に進化している 、という点です。
直立2足歩行に進化した人類にとって、脇や陰部の摩擦抵抗を和らげる効果や、頭髪同様に敏感な部分へのセンサーの役割を担っているのでは無いかと考えられます。
もちろん、スキンシップとの関連性 も大いにあり得るでしょう。 😉
まとめ
極限時代(洞窟時代)、人類特有の不全から、共認充足へと可能性収束し、かつ洞窟環境への機能適応上、体毛の淘汰⇒汗腺の発達・感覚器の発達を促していった。
本能では全く対応できない外圧に対して徹頭徹尾共認充足へと可能性収束し、さらに充足を得る事で活力を維持し続けるということが、他の動物には無い豊かな共認機能や観念機能の獲得へと繋がっていきます。つまり、人類の体毛淘汰、あるいは表情進化等も、全てはこの共認進化・観念進化への可能性収束⇒統合の結果であると言えそうです。

List    投稿者 kawait | 2010-11-09 | Posted in 5)人類の拡散No Comments » 

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