2010-10-26

人類の拡散と進化シリーズ9~赤ちゃんの母国語の獲得と、母国語の成立過程~

前回までの記事まで、原人・新人段階の観念機能の進化について追求してきました 😀
今回も、観念機能の進化について迫っていきますが、その中でも
赤ちゃん喃語から母国語の獲得過程
日本語(母国語)の起源はどこにあるのか?
dorodango1.jpg
(画像はコチラよりお借りしました)
に迫ってみたいと想います 🙄
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赤ちゃんが母国語を獲得するまで
前回記事でも紹介したように、言語を獲得する過程では、サル時代に形成された「他者の意図を理解する機能」が不可欠ということがわかり。「他者との共認形成⇒充足体験」を通じて言語の意味内容と発声パターンが結び付けられていくという過程が存在します。
この言語獲得機能の過程は赤ちゃん喃語から緘黙期を経て母国語を獲得していく過程と重なります。
育ちの世界へ」より引用

生後八ヶ月までに赤ちゃんは実にたくさんの「音」を発するようになる。子音に母音が結びつき、ババ、ママ、ブブといったおしゃべりが盛んになる。これは喃語と呼ばれるもので、一人でいる時でもまるで遊びのように発声するのだが、観察結果では母親と一緒の時のほうが多く出されると言われている。
八ヶ月を過ぎるあたりから「緘黙期」が現れるという。緘黙といっても、赤ちゃんがおしゃべりをやめて黙りこんでしまうわけではない。相対的に喃語の発声量が減るのである。この「緘黙期」が本当に存在するかどうか疑問をはさむ学者もいるが、総じて次のことが言えると思う。
①赤ちゃんは生まれてから一年以内にたくさんの「音」を発声する。
②しかしそれらの「音」の大部分は大人が真似しようとしてもできない音で聞き分けも難しい、
③そして後に母国語を話すようになるころには、たとえば日本語として不必要な音が消えていく。
「マンマ」「ブーブ」「ワンワン」といった単語が話せるようになるころには、赤ちゃんが安定して発声できる音は母国語で使われる音韻の範囲に限定されてくるのである。
緘黙期は母国語に不必要な「音」を淘汰し、捨てるための時期かもしれない。どの国のどの子供でも、ほぼ同じ時期にこのことが起こるのは、背後に大脳神経系の発達・成熟があるためと考えられる。

上記のように、現在の人類が多様な言語を発声できるようになったのは、共認充足を基礎とした「感覚機能の発達(笑いなどの親和行為)」や「運動機能の発達(足蹴りや踊りなど直立歩行訓練による発声基盤の獲得)」により「言語機能の発達(おしゃべり)」をおこなってきたからこそなんです
その様な共認充足源もあったからこそ、人類は約500万年前の高い外圧状況から生き延びてきたんですね
ところで、赤ちゃんが多種多様に発声していた「音」を捨象し精錬させた結果、獲得する「母国語」自体はそもそもどのようにして成立してきたのでしょうか?
この、現代の人類の言語の多様化=母国語の成立について追求するにあたり、我々日本人の母国語の成り立ちを看ていきます。
縄文語は自然対象へ同化した結果生まれた
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(画像はコチラよりお借りしました)
私たち日本人の言語の源流は、縄文語にあると考えられています。縄文語は、日本列島をはさんで北と南に大きく広がるツングース諸語オーストロネシア諸語が融合して形成されたことが分かってきています。
ツングース諸語とは?

ツングース語というのは、東シベリアからロシア沿海州・中国東北部に掛けて分布している言語。
(世界の言語は、インド・ヨーロッパ語族、アフロ・アジア語族、シナ・チベット語族、オーストロネシア語族など10種類以上の語族に分類されています。ツングース語は、チュルク諸語、モンゴル諸語とともに「アルタイ諸言語」に分類されている。)
また、ツングース民族とは、主に中国東北部とロシア・シベリア東部の地域に分布していて、北方は遊牧、南方は狩猟を主な生業としている。(黒澤明監督の映画「デルスウ・ウザーラ」の主人公がツングース人)
アルタイ諸語の中でも日本語との類似性が非常に強く、直接のルーツと考えられるようになったもの。
ツングース語と日本語は、語順ばかりでなく助詞、助動詞など文法面で共通点が非常に多いが、一方でツングース語とは全く関係のない語彙や接辞法も日本語の中には豊富にある。たとえば、常に他の語の前に付いて用いられる語構成要素の、「お寺」「ま昼」「か細い」「い抱く」などのオ、マ、カ、イといった接頭辞がそれにあたる。

オーストロネシア諸語とは?

オーストロネシア諸語というのは、インドネシア、ジャワ、ポリネシア、フィジー等に分布している言語。祖語は台湾原住民語に最も近いとされる。中国南部地域に起源があり、台湾を経由し南下したと考えれる。
オーストロネシア人は多島海域に適した種族で、沿海や低湿地に住み、魚介食・根菜・舟・高床式住居・稲作(インドネシア~華南)等の文化を発展させた。
特に稲作の文化は、日本文化に影響を与えていることが察せられる。
言語的な特徴として、音節構造は単純で、子音+母音から成り立つ言語が主。接辞が単語の派生あるいは文法的機能に関わり、特に単語の内部に挿入される接中辞が特徴的。日本語と関わりが深いのは、「お伝えする」の「お」と「する」のような接周辞。
(類ネット参照)

その後アイヌ語や沖縄の古語として受け継がれ、更にかたちを変えて現在の日本語に進化を遂げたようです。
以下日本語の成り立ち地図(画像はコチラよりお借りしました)
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次は、日本語の源流であるアイヌ語・沖縄の古語と現在の日本語の繋がりについて見てみましょう。
「縄文のことばのその後」(るいネット)より引用

沖縄に糸満市がある。アイヌ語の「エト」は「岬」を意味する。「オマン」は「奥へ」を意味する。つまりエトオマンがイトマンに変化し、「岬の奥にあるところ」の地名に糸満の漢字を当てはめたものである。エト(岬)はetu-ito-eto-ito、 エツ、イツ、エト、イト、の4つの発音に変化する。この(岬)は江戸、伊都、怡土、伊豆、などに変化し地名になっている。江戸城のあった場所はかって岬だった。
地名のほかに縄文語が残されている。6月に札幌で開催される「よさこいソーラン祭り」がある。このソーラン節の掛け声に「ヤーレン・ソーラン」というのがあるが、これは、ヤー(陸、陸岸、陸の方)レン(沈む)ソー(滝)ラン(降る、下がる)これは沖から見て陸地が沈み、滝のように上から下がるという意味である。つまり、荒海に漕ぎだした船から見て、山のような大波が崩れて滝のように降り注ぎ、うねりの合間に遠い陸地が見え隠れする情景を掛け声にしたものである。
神はアイヌ語のカムイから、カ(上面)ム(ふさがる、ふさがっている)イ(時、所、物、事、ここでは物)つまりふさがる物として天を表す。原始時代は天にある雷が恐ろしいものとされ、それが神の仕業と思うようになった。それが神の意味になった。したがってカムイから神に転化し、今の日本語の神になった。黒雲の中で起こる雷鳴をカミナリというのもうなずける。

縄文語を受け継いだアイヌ語や沖縄古語をみてみると、現在の日本語に繋がる言葉がいっぱいあります 言葉の一つ一つに意味があり、地形や物理現象をつぶさに観察し、組み合わせる中で自然を理解している様子が見て取れます。まさに自然対象に同化していく過程で言語が作られたのですね
まとめ
今回は赤ちゃんの喃語→母国語の獲得。そして、母国語そのものの成り立ちをみてきました 🙄
世界中に存在する、多種多様な言語(母国語)のうち、今回は身近な日本語について扱いましたが、世界中どの言語をとってもこの構造は普遍的だといえるのかもしれません
人類がサル時代に獲得した共認機能。それを土台として、自然(現実)を対象化し、同化していく中で獲得してきた言語(観念機能)。
各国の母国語の中には、その地域特有の自然に対する認識が隠れているのでしょう
特に日本語にいたっては、それらが色濃く今も残っているようです 😀
このような言語的特徴はそっくり我々日本人の特徴でもあるかもしれません。それは、言い換えれば言語的特徴は我々人類の「生き方」を示しているのかもしれませんね
るいネット参照)

List    投稿者 tyani | 2010-10-26 | Posted in 5)人類の拡散No Comments » 

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