2010-10-07

脳と脂質のラブラブな関係

main.jpg
ちょっと前からすごくすごく :blush: 気になっていることがあって・・・
それは、『 』『 人類 』『 クジラ 』・・・そしてそれらを結びつけるであろう『 脂質
脳を作るには脂質 が関係しているし、サルと人類じゃDNAはほとんど変わらないのに人って太りすぎ で見た目違うし、クジラは頭に油(脂肪) があってすごく賢いんじゃないの?(脳進化してきたから・・・
もしかして、 脂肪(脂質) ってすごいんじゃない
こんな感じで 私の仮説程度でしかなかったのですが、今回は生物史チームに協力してもらって、ブログ記事になっちゃいました
それでは、楽しんでいってくださいね 😀
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『脳と脂質のラブラブな関係

Ⅰ. 脂質
脳の構成成分は、脂質約60%、タンパク質約40%です。そして、脂質の内訳はコレステロール約50%、リン脂質約25%、ドコサヘキサエン酸(オメガ3系)が約25%と言う具合です
コレステロールは神経細胞を守っています。ちょうど電気のコードは、電線の回りを絶縁体でくるんである様にです 😀
nu-ron.jpeg
写真は「ウィキペディア神経細胞」よりお借りいたしました。

リン脂質は、ニューロンと呼ばれる脳細胞を取り巻く膜をつくる物質です。ニューロンは表面からシナプスと呼ばれる樹状突起を伸ばし、他のニューロンといわば手を結び合うことで情報ネットワークを形成します
この突起を伸ばしたり維持したりするのに必要なのがリン脂質で、ドコサヘキサエン酸(DHA)は軸索と樹状突起を作っている細胞の材料として使われ、それぞれを増やして情報伝達の働きを高めます。また、シナプスを柔らかく保ち、情報伝達物質の放出量を増やす役目もします 😀

そのほかにもフォスファチジルセリン(PS)やフォスファチジルコリン(PC)は、体内でアセチル・コリンと言う物質に変わります。このアセチル・コリンが、上で述べたシナプスから隣の細胞のシナプスへ運ばれる情報伝達物質の役割を果たし認識能力に有効なことが分かっています :blush: (素敵でしょ
脳の細胞と働きにとって、脂質がいかに重要か分かっていただけましたでしょうか

Ⅱ.人とサルの違い ~脳進化に可能性をかけた 人類
①脳は大食いな器官
脳と他の器官との違いは、エネルギー消費量です。典型的な成人の脳重は約1400gですが、これは全体重の約2%にあたります。しかし、脳は平均的な成人のエネルギー摂取量の20%を消費します。つまり、脳は大食いな器官で、エネルギー確保は重要な問題なのです
②人類と猿の脳内の脂肪量の違い
霊長類は他の動物と異なり脳を発達させた動物ですが、人類と猿の脳の違いは、脳内の脂肪量の違いです。
人類の脳内の脂肪率は大体60%で、リン脂質や脂肪酸が脳を機能させのに不可欠なのです。
それだけでなく、人類は体脂肪率も高いのです。京大・霊長研の濱田穣氏の研究によると、ニホンザルの体脂肪率は8%ほど。チンパンジーは10%程度だそうです。これに対して、人類の大人は15~25%と2倍くらい高いです。幼児期はさらに大きく5倍くらいの差があります
saru.jpeg
写真は「戦豆のおさるづくし」さんよりお借りいたしました。
③脳進化に脂肪の蓄積は不可欠
なぜ、人類は脂肪を蓄積する体になったのでしょうか??
人類史500万年のほとんどの期間が、極度な外圧(気候変動・外敵)に晒され、飢えと怯えの毎日でした 😥
本能進化では生き延びることができない人類は、エネルギーの蓄積さらには脳進化に可能性をかけ、脳機能維持のために「脂肪酸を効率よく取り込む」体に変化したのです 😀

Ⅲ.脳進化を選んだ他の生物  ~クジラ・イルカ~
陸上哺乳類で脳進化を選んだのが人だとすると、海で脳進化に可能性収束したのはみなさんの大好きなクジラやイルカたちです
iruka.jpeg
写真は「ウィキペディアイルカ」よりお借りいたしました。
①イルカの脳と脂肪組織(メロン)
人類の脳は約1400g、イルカの脳は約1500g。イルカは、体と脳の比率は人類の次に高いと言われる知能の高い動物です。高度なコミュケーションや遊びが観察されることからも知能の高さが伺えます。新皮質にあたる社会生活を営むために必要な脳が発達したイルカもいるそうです。
イルカの前頭部には「メロン」と呼ばれる脂肪組織(器官)があります。おでこ(鼻と目の間)のボコッとしている所がそうです 🙄
イルカはどこに何があるのか超音波で認識しているのですが、その信号を脂肪組織=メロンから発しています。脂肪のかたまりを音響レンズとして超音波を屈折させ一定方向に集束させることができるのです。またこの超音波信号で物の大きさまで把握したり、獲物を失神させたりすることもできるそうです
iruka-nou.png
写真は「イルカの超音波発信装置」さんよりお借りいたしました。
②イルカの進化過程
ちなみにイルカの進化過程を辿ると、その祖先は約6000万年前のメソニックス類、4本足の陸上動物でした(狼や熊のような動物で、貝や魚を採っていた)。そして水中生活へと移行し約2500万~2000万年前にはスクアロドン科が現れ、現在のクジラ/イルカの基本形が誕生しています。
水中で生活するようになった理由は、外敵に追われたからなのですが、水中で体温を一定に保つためには体に厚い脂肪層を蓄える必要があります
イルカの脳は約1500万~2000万年前にかたちづくられたと言われていますが、ここでもひょっとすると脂肪がひとつのキーになっているかもしれません

Ⅳ.逆境⇒進化への道(まとめ) 😀
でいうならば、

樹から落ちる→(逆境)⇒脂質を蓄える⇒肉体に蓄えられた脂質を元に脳進化→観念進化=外圧適応

クジラ の場合は、

陸から追われる→(逆境)⇒海への進出⇒それまでにいた生物とのニッチ争い⇒恒温性により他の生物より生息域を確保しやすい⇒脂肪を蓄えることによって恒温性を維持⇒肉体に蓄えられた脂質を元に脳進化=外圧適応

海と陸で進化の道は違えど、脳進化への可能収束したことは、脂質の獲得がとっても重要だったのです
まさに切っても切り離せない ラブラブ な関係です
女性にとって脂質(脂肪)っていうと・・・ねえ・・・ちょっといや~な感じがするんですけど、脂質って重要なんですよ
脂質があることによって、外圧に適応したというのは非常に面白いことだとは想いませんか
やはり生物は逆境に応じて可能性を模索し、適応(進化)していく
生物=外圧適応態であるといえますね

List    投稿者 hey | 2010-10-07 | Posted in ④脳と適応1 Comment » 

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コメント1件

 IVA | 2015.10.04 16:20

わかりやすくておもしろいです。
質問があるのですが
60%もの脂肪(脂肪酸)を蓄えているのは脳細胞なのでしょうか? それともグリア?

どのようにしらべてらいいかわからず教えていただきたいです。高校生です。
yutarisoumed@yaho.co.jp

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