2010-06-24

原猿から真猿へ3 ~真猿への進化を、現存する原猿の特徴から探る~

これまでは、一口に「原猿」といっても普段なじみがないことから、「原猿って何?」を探求し、現存する猿の分布図より「なんで?」が生まれ、追求の結果猿達の「壮大な外圧適応=進化のドラマ」が見えてきました :roll:
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原猿の宝庫「マダガスカル島」(画像はこちらからお借りいたしました)
今回、改めて現存する原猿の特徴を追って、「原猿」→「真猿」への進化の糸口を探求し、「心」とはなにか?へ、歩みを進めます!
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現存する「原猿」といっても、様々な種が存在しています
具体的に、スローロリス・ポト・ショウガラゴ・オオガラゴ・グレイレムール・ワオレムール・インドリ・シーファカ・アイアイ…などなど。
今回その中でもいくつかの、ある程度生態が解明されている原猿を扱っていこうと想います

①現存する原猿の特徴

ロリス
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(画像はこちらからお借りしました)
[形態、生態上の特徴]
体長は19.9~27.5cm、体重:230~610g。夜行性。樹脂・果実・種子・バッタ等の双翅類・甲虫・クモなどの小動物・特徴的なものに毒素を含んだアリや毛虫なども食べる。代謝率が著しく低いので、動きが緩慢。ただし、外敵に対して威嚇する時などは敏捷。
[オスメス関係と集団形態の特徴]一部ポトの生態を参照
オスの遊動域は9~40ha、メスの6~9haより2倍から4倍ほどで、1頭のオスの遊動域は複数のメスの遊動域に重なる。
基本的には単独生活。縄張りの形成方法は、尿による「匂い」であり、陰部を木にこすりつけたり尿をかけることで自身の縄張りを形成。首雄集中婚。巣を形成し、子育ては巣で行う。

ショウガラゴ
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(画像はこちらからお借りしました)
[形態、生態上の特徴]
ショウガラゴ:体長平均17cm・体重平均165g。夜行性。樹脂や小動物が主食で果実は少々。動きの早い直翅類や甲虫などを巧みに捕食する。
[オスメス関係と集団形態の特徴]
オスの遊動域は9.5~22.9haで、メス=4.4~11.7haより2倍ほど大きい。縄張りの形成方法は主に匂いと音声で互いに防衛しあう。
夜行性で単独生活を主にする原猿類としての特徴を持ってはいるが、社会性も垣間見える。
同性間同士はロリス同様排他的であるが、性成熟したあとの娘が周りに縄張りを持てるようになるまで、しばらく同じ場所・同じ採食場所を共有したりと、親和的な関係を維持する。成熟するにつれ次第に排他的になっていく。縄張りオスは他の縄張りオスには排他的であるが、若オスに対しては寛容。オス同士間では性成熟度合いで優劣関係が決まる。自身の縄張りの中にいるメスとは一年を通じて親しい関係を持つ。首雄集中婚。娘同居型。巣を形成し、子育ては巣で行う。

グレイネズミレムール
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(画像はこちらからお借りしました)
[形態、生態上の特徴]
現生の霊長類の中で最も小さく、体長約12.5cm、体重50~90g。夜行性。食物は主に無脊椎動物(昆虫など)、果実などの植物、カエルやカメレオンなどの小型脊椎動物。基本的に単独生活。
[オスメス関係と集団形態の特徴]
オスの遊動域は約3.2haでメスの1.8haより広い。地域の中心部に大きなオス(セントラル・メール)が広い縄張りを持ち、その中に数頭のメスが縄張りを構える。小さいオスたちはメスがいない(少ない)周辺部に。首雄集中婚の原型をなすが、オスメス同居には至っていない。子育ては巣にて行う。
夜間の活動中は単独だが、昼間休息するときは、メスたちは4頭程度のグループを形成。メスは自立していない子ども、自立した娘とは親和関係を結ぶ。オス同士は基本的に排他的。
メスの発情期間は2~3日程度。オスの性闘争は日長変化とメスの尿成分によって誘起される。飼育下で複数のオスメスを一緒にすると、オス同士の性闘争の末、最も優位のオスだけがメスと交尾し、他のオスは発情しない。優位オスの尿に含まれる成分が劣位オスの性的活動を抑制する。
父親は交尾後単独生活に戻り、育児には参加しない。

ワオレムール
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(画像はこちらからお借りしました)
[形態、生態上の特徴]
体長約42.5cm、体重3~3.5㎏。昼行性。食物は果実、花、木の芽、葉、樹皮などの植物、小動物など。数~20数頭の群れで生活。樹上だけでなく地上を歩くことも多い。
[オスメス関係と集団形態の特徴]
オスメスの体格差はなく、集団内では「メス優位」。メスはオスが先に見つけた食物や休憩場所を取り上げたりオスを脅したりかみつくこともあるが、その逆はない。メス優位の理由は、外敵圧力の少ない生存環境ゆえに生殖課題が優位となった。
複雄複雌の「母系血縁集団」を形成。オスは3才頃になると2~3頭が連れ立って他群れを訪問。先住オスに追い払われたりしながら、長い時間をかけて移籍。メスは生殖年齢に達しても群れに留まる。
オス間に序列があり、最優位オスの近くにメスがいることが多い。劣位オスはメスからやや離れた位置にいるが、交尾期でなくてもオス間の序列闘争は行われる。互いに手首にある匂いの分泌線を尾に何度もこすりつけ、その尾を頭上に振りかざして左右に激しく揺する。匂いは性ホルモンを含んでおり、互いの成熟度、強さを示す信号として使われる。
メスの発情期間は短く、数時間~10数時間程度と言われる(24~48時間という説もあり)。この期間はオス同士はメスの獲得をめぐって一斉に激しく闘う。
同じ群れの個体同士は、通常は毛づくろいなどを通して親和的関係を保つ。
異なる群れ同士の同類闘争、縄張り境界で隣接群に出会うと、互いに一列に並んで相手をにらみ、オスもメスも盛んに匂いづけをする。

インドリ
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(画像はこちらからお借りしました)
[形態、生態上の特徴]
体長60~70cm。体重5~8kg。現生の原猿亜目では最も体が大きい。昼行性。樹上生活。食性は植物食で、葉、花、果実等を主食としている。
[オスメス関係と集団形態の特徴]
両頭婚型で、おとなオス、おとなメス、その子どもからなる、2~5頭の群れを形成する。
ほぼ毎日、朝になると群れのメンバー全体が大きな音声で合唱をする。誰かが斜め上を向いて最初のコールを出すと小さな子ども以外の群れの全員が顔を上げ一斉に合唱を始める。一つの群れが合唱を始めると、遠くにいる別の群れが反応して歌うこともある。
合唱は2km先までとどく。この合唱は縄張りの主張の役割を果たしていると考えられる。
異なる群れ同士が出会うと、両群が歌う。おとなオスは相手群にかなり近づいて歌うが、実際に攻撃することはないと言われる。同類闘争は儀式化されている。

②原猿→真猿へ

特徴を並べてみると、ロリス・ガラゴ・グレイネズミレムールは「原始的な原猿」の特徴を有していることがわかり、ワオレムール・インドリは同じ原猿ではありますが、「真猿」に近い特徴も有していることがわかります。
これらを「生態・形態」「同類同士のコミュニケーション」「集団形態(縄張り形成)」と大きく3つのカテゴリーで分析していきます。

生態・形態
・昆虫食と植物食
原猿の食性は、樹皮や果実に加え、バッタ等の小動物が挙げられていますが、主食とするものが原始的な原猿と真猿に近い原猿とで違っています。
原始的な原猿は主に虫などの小動物を捕食しているようですが、真猿に近い原猿は樹皮や果実などの植物性の高いものを主として食しています :roll:
・体長
ロリスを初めとする原始的な原猿は、12㎝~30㎝くらいであるのに対して、ワオレムールやインドリ等の真猿に近い原猿はは40㎝~70㎝とずいぶんと大きな差が見られます。
・夜行性と昼行性
原始的な原猿は夜行性 で、ワオレムールを初めとした真猿に近い原猿類は昼行性です。
ワオレムールは、かつて夜行性であった名残を体に有しており、目には「タペータム」と呼ばれる夜行性動物特有の反射性の膜を残しています。(リンク

同類同士のコミュニケーション
原始的な原猿は、尿に含まれるホルモン物質などで縄張りを形成します。これらは非常に嗅覚が発達しており、モグラ(ヒトの30倍ほど)に近い鋭さを持っています。
真猿に近い原猿に特徴的なのは「音」であったり、毛づくろいや尾を振り回すといった「親和行動」や「動作」という手段を用いている点です。

集団形成(単独生活と集団生活=群れの形成)
原始的な原猿は概ね単独生活。また、「巣」を持つことも特徴として挙げられます。その逆にワオレムールなどのレムール類は集団である群れを形成します。特に決まった「巣」を持つことはなく、群れの縄張りの中で生活しています。

③まとめ

ここまでの分析を以下のような表にまとめてみました!

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(大きい画像はこちらをどうぞ)

この表より、ワオレムールやインドリは学問的には「原猿」に分類されるが(マダガスカルのサルは全て原猿に分類されているだけのことなんだと想いますが・・・)、実態的には「真猿」と考えた方がよいと思われます。

今回は、現存する原猿の中から数種を取り上げ、「原猿」→「真猿」への進化の糸口を探求してきました!
その結果、真猿に近づいていくにつれてどういった機能に変化が現れているかがわかりました。
次回からは、このような機能獲得や変化がどのような外圧環境下で形成されてきたのかを探求していきたいと想います!

「進化は逆境の連続だった!」(哺乳類の起源と歩みより)
現哺乳類が原猿へと進化し、これらの機能を獲得してきた環境もきっと並大抵ではないはずです!
そして、その過酷なる外圧に適応してきた先に獲得した私たちヒトの「心」とは何なのか?
非常に興味が尽きないところです!

是非、今後も『原猿から真猿へ』シリーズをお楽しみに!

参考
杉山幸丸編「サルの百科」データハウス

List    投稿者 tyani | 2010-06-24 | Posted in 3)地上へ進出した哺乳類(原猿から真猿へ)2 Comments » 

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コメント2件

 儲かる仕事 | 2011.02.05 22:52

詳しくありがとうございます。
全然知りませんでしたよ~!

 サルピテクス~saru910~ | 2011.02.16 16:17

>>今よりも同類闘争が激しかった時代には、序列共認がより強固であり、ボス以外のオスは性を完全に封鎖し、メスも自我を封鎖した、ボス集中婚であったと考えられます。
>>現代の猿で乱婚が多く報告されるのは、生息数の減少により同類闘争圧力が弱まり、序列共認で集団を維持していくのが困難になった結果であり、ボスも他のオスがメスに手を出すのを、見逃さざるを得なくなったからだと考えられます。
へぇー(゜o゜)
外圧(同類闘争圧力)の強弱によって、集団の共認内容や強さが都度変化していくのですね。。。
ただ、同類闘争圧力▽→序列共認での集団統合力▽→乱婚△→集団崩壊△ と道を歩んでいかないのでしょうか?
 ※人類の古代ヨーロッパのように・・・

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