2009-07-01

猿から学ぶ「こころ」の形成過程

6f4d8dae486f3b10aaf1dd189b0305dd.jpg

戦後の日本では、明るく前向きに生きて行く事が善しとされ、反面、悲しむこと、泣くことはマイナス思考としてしりぞけられてきた。
本当にそうなのだろうか?人は本当に悲しいときは、悲しい歌を歌う方が癒されるものだ。
親鸞の“和讃”には、人びとよ悲しんで泣けという一文がある。
悲しむこと、泣くことといった、私たちがしりぞけてきたものの中に、乾いた心をうるおす力があったのではないか。
それは仏教でいう「慈悲」の「悲」にあたる感情である、という。
「慈」とは文明の進歩と共に生まれて来たヒューマニズムの一つで、「励まし」の気持ちと言えるもの。
一方の「悲」は古くから人間の心にあった根源的な感情で、「慰め」のこころ。
私たちは、戦後、「慈」を大切にする一方で「悲」の精神を打ち捨ててきた。その結果、日本人のこころは乾ききってしまった。
今、「慈」から「悲」へ、「励まし」から「慰め」へ、こころのあり方を変える時にきているのではないか。

  『「いまを生きる力」五木寛之』より引用
*2008年から続く未曾有の経済危機は、わたしたちの仕事環境・生活環境・教育環境などあらゆる側面でおおきな影響を与えている。
このような時代の大転換期において答えを提起することはより困難になってきている。従来の方法論、思考回路のままではまったく太刀打ちできず、認識転換がすべての世代に期待されている。
この認識転換とはなにか?
情報社会と呼ばれる現代、ネットをはじめとして膨大な情報を収集し、認識を塗り替えていくことは可能ではある。
しかし答えを提示できる人の特徴は、そのような情報収集力(勉強力)に加えて、「見えている風景が違う」という。
この対象性の広さの要因に、思考を働かせる源泉=「こころのあり方」の違いがあるのではないか?
 
「こころ」の形成過程についてるいネットの過去投稿より紹介します。
 
ブログランキング・人気ブログランキングへ
にほんブログ村 科学ブログへ

 にほんブログ村 科学ブログへ


■「こころ」とはなにか?
 
それまで「こころ」と呼ばれていた曖昧な領域を、「共認機能」として明確に構造化した一文を実現論 より紹介します。

不全課題を抱えて依存収束した弱オスたちは、依存し合う中から、「どうする?」⇒「どうにかならないか?」と可能性を相手に求め、互いに相手に期待収束してゆく。こうして、依存収束⇒期待収束し、互いに相手を注視し続ける内に、遂に相手も同じく依存し期待している事を発見し(探り当て)、互いに相手の課題=期待を自己の課題=期待と同一視して理解し合うに至った。自分以外は全て敵で、かつ怯え切っていた原猿弱者にとって、「相手も同じく自分に依存し、期待しているんだ」という事を共認し合えた意味は大きく、相方に深い安心感を与え、互いの不全感をかなり和らげることが出来た。この様に、不全感を揚棄する為に、相手の課題=期待を自己のそれと重ね合わせ同一視することによって充足を得る回路こそ、(未解明だが、おそらくは快感物質βエンドルフィンを情報伝達物質とする)共感回路の原点である。

リンク 

つまり、心=共認回路の基底部には不全感(苦しみや非充足感)がある。逆に言うと不全感こそ心の駆動力である。しかもそれは相手=みんなの共通した不全であり、みんなの不全を対象化することが無ければ心は十全に機能しない事を意味する。

リンク 
■原猿がかかえる不全感

サルの一番の特徴は他の動物と違って専ら同類との闘争(サル集団同士の縄張闘争)が第一課題であることです。そうなった理由は樹上に棲息できることにあります(正確に言えば肢の指で枝をつかめ、枝を自由に渡り歩ける)。樹上という木の実など栄養価が豊富でかつ逃避場所として最適です。つまりそのような最高の空間をサルと言う種はほぼ独占出来たわけです。ですから人間が森を侵食するまでは、ほぼ森林という森林は、サルがほぼ許容量一杯までに繁殖していたことが容易に推定されます。
そのような空間なので、外敵(他動物)の闘いはニ義的となり、サル集団同士の縄張闘争(同類闘争)がサルにとって第一義課題となります。過密化した中では、激しい同類集団同士(あるいは異種のサル同士)の縄張闘争が激しく戦われていたと思われます。この同類の集団同士が日常的に緊張関係にあることも本能で対応できない状態です。かつこの集団は戦闘集団です。おそらく強い結束と(おそらく指令投割も)が必要です。だからこそサルは新たに獲得した共認機能に収束し、まず意思の伝達やそれに対する仲間の評価をつかむ機能を強め(ボディランゲージや表情の読み取りによって)仲間の評価を羅針盤にして、行動に対するプラス、マイナスの評価を行い役割や規範を形作っていった訳です。

リンク 
※同士の縄張闘争が第1義課題となる(→僅差の違いで勝敗が決まる)→日常的な緊張状態(みんな不全の対象化)⇒共認回路に収束⇒仲間の評価を羅針盤
この構造が「こころ」を形成してきた過程。
概ね5,000万年の生物進化を塗り重ねて後、現代のわれわれに引き継がれ、現代においてもなおこの構造は普遍構造として認識できます。
心の原点=共認機能をサルの進化史から学ぶことができます。

List    投稿者 chai-nom | 2009-07-01 | Posted in 4)サルから人類へ…No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.seibutsushi.net/blog/2009/07/818.html/trackback


Comment



Comment