2009-06-17

生命のオスメス分化に学ぶ-3- 哺乳類⇒猿⇒原始人類の性分化

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雌雄分化史第3弾の今回は、哺乳類⇒猿⇒原始人類が直面した外圧状況と、その中で生き抜く為に獲得した性機能さらには雌雄の役割について追求していきます。
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哺乳類の登場(3億年前)
■哺乳類の外圧状況
約3億年前、両生類から現在の哺乳類の祖先(哺乳類型爬虫類)が登場しました。
両生類によって生活域を追われた哺乳類の祖先は、寒冷適応する過程で恒温機能、さらには卵を胎内で育てる卵胎生を獲得していきました。
ベルム期(約2.5億万年前)に入ると、南極への巨大隕石の衝突、若しくは激しい火山活動によって、地球全体が温暖化し、著しい低酸素状態に陥りました(P/T境界と呼ばれ、地球上の生物の95%が死滅)。酸素を多く必要とする恒温動物である哺乳類の祖先は絶滅し、その中で唯一生き残ったのが現哺乳類だったのです。
■胎内保育機能と雌雄の役割
哺乳類が生き残った理由はいくつか挙げられますが、最大の理由は、小型化胎内保育機能と言われています。小型化によって酸素消費量(代謝量)を低下させ、それでも酸素不足という逆境に対しては、胎内保育によって胎児に安定的に酸素を供給することで適応しました。
つまり、胎内保育機能の獲得は、安定存在である雌が生殖役割をより強化させた、ということです。
さて、この胎内保育機能の獲得は、雄雌の役割や集団形成に変化を与えます。
胎内保育機能によって、哺乳類は自然外圧に対してはより安定的に子孫を残すことが可能となりましたが、同時に生物の生存戦略である淘汰適応の原理が働きにくくなります
加えて、胎児を長期間お腹にかかえ、産後保護を担う雌は、生殖負担の増加に伴い、外敵闘争には立ち向かい難くなります。
そこで、哺乳類は雄の性闘争を強化し、成体後に雄同士が激しく縄張り闘争を行うことで、適応度の高い強者を作り出し、種の生存確率を高める戦略を採りました。
変異存在の上に闘争役割をより進化させたのが哺乳類の雄、ということなんですね。
そして、生殖役割を担う雌と闘争役割を担う雄という雌雄の差異化が、哺乳類全般に見られる『内雌外雄』の集団形態を作り出し、さらに、より安全な縄張りを求める雌は、より強い雄を選ぶという強者選択本能を強化させいくのです(=哺乳類の『首雄集中婚』)。
【哺乳類の雌雄差異化】
『寒冷化+低酸素⇒恒温性(体温調節)』
⇒雌の胎内保育⇒淘汰適応の為、雄は性闘争の強化⇒内雌外雄の集団構成、首雄集中婚

参考投稿:
両生類から哺乳類への進化の整理
逆境の連続が哺乳類を生んだ①
逆境の連続が哺乳類を生んだ②
【図解】哺乳類の集団構造

猿(原猿~真猿)の登場(6500万年前)
■猿の外圧状況
猿もまた逆境の中から登場します。
6500万年前巨大隕石の落下とそれに誘発して起きた急激な寒冷化によって、当時地上を席巻していた恐竜が絶滅。
比較的温かい地中に隠れ潜み、この特殊寒冷期を生き延びた哺乳類(原モグラ)は、その後適応放散を遂げると同時に、新たに登場した小型肉食獣に生存域を追われ樹上への逃避を余儀なくさせられます(原猿へ進化)。
樹上に住み着いた原猿は、外敵圧力が低く、食糧の豊富な樹上世界で大繁殖を遂げる事に成功しました
■雄の同類闘争と雌の性収束
この時期に原猿は心の原点である共感機能(⇒共認機能)を雄猿が獲得しています(詳しくはコチラ)。
共感機能とは相手と自分を同一視する機能であり、これによって従来であれば敵同士であった猿同士が集団形成し、雄は集団間闘争に闘争対象をシフトしてきます(真猿の登場)。
この雄猿同士の集団間闘争=同類闘争圧力によって、真猿の雌に決定的な変化が訪れました。
雄同士の同類闘争が主戦場となった真猿段階になると、闘争場面における雌猿の戦力度は著しく低下します(外敵闘争であれば雌も闘争可能)。
存在理由を失った雌猿は、自らの存在理由をかけて、ボス猿の期待に応えるべく、肉体改造し、性機能の強化に収束していきます(発情期の長期化、お尻の腫れ等)。
雌猿は生殖役割の上に、性充足を与える役割を塗り重ねることで、同類闘争へ特化する雄との差異化をより一段推し進め、猿集団は集団内の結束力を高め、同類圧力に適応していったと考えられます。
【猿の雌雄差異化】
『樹上世界の獲得→外敵圧力の低下⇒種間圧力から同類圧力へ転換』
→雄は同類闘争が主戦場→雌の戦力度が低下⇒雌は生殖+性機能強化へ

参考投稿
実現論 前史 「ホ.サル時代の雌雄分化」
原猿における共感機能の進化の流れ
真猿の同類闘争と共認機能
哺乳類のオスメスの庇護依存関係と原猿の雌雄共認との違い

人類の登場(500万年前)
■原始人類の外圧状況
突然変異によって、肢で木を掴めなくなった猿=人類は、極限的な自然外圧・外敵圧力に晒されることになります。
本能上の武器を失った最弱動物たる人類は、劣悪な住環境である洞窟内に逃げ隠れ、動物の死骸やコケ等を食べながら500万年もの長い期間を細々と生き延びてきました。
■性の充足が集団の生きる活力源
極限的な圧力下に晒され、本能上の武器を失った原始人類の唯一の武器は共同性(=共認機能)でした。そのため、共認充足を破壊する雄の性闘争は硬く封鎖されていくことになります。
また、凄まじい飢えや外敵への怯えは、集団を守る男達だけでなく女達にも降りかかり、女達はよりいっそう首雄への依存を高め、徹底的に首雄の期待(=性充足)に応えていくことに可能性を見いだしました
首雄と女達が互いに期待し応望し合う性の充足は、絶望的な状況下において集団内の活力源となり、極限時代の人類を最基底から支えてきました。
この人類の本源の性は、ネイティブアメリカンなどの先住民族、そして共同体気質を残す日本人にも垣間見ることができます。
その後人類は観念機能(脳進化)へと進化形態を変えていくことになりますが、観念機能の使い方も男女間では異なり、生物進化を貫く雌雄差別化のベクトルに合致した進化を実現させています。
(脳進化については、最近の投稿を参照して下さい♪)
【人類の雌雄差異化】
『突然変異により、木から落ちたサル→本能では適応できない』
⇒共認機能が唯一の命綱⇒男は性闘争の封鎖+女は徹頭徹尾、充足存在へ
⇒観念進化⇒男は外圧適応のため(状況把握や道具の発明など)。
        ⇒女は集団に充足を与えるため(性や踊りなど)

参考投稿
実現論 ト.人類の雌雄分化と人類の弱点
赤松啓介~大衆の大らかな「性」を伝えたかった学者~
ネイティブアメリカンに見る「女性への賛歌」

以上、哺乳類⇒猿⇒原始人類までの雌雄進化史を辿ってきました。
哺乳類以降の雌雄の役割を見てみると、それ以前の生物と比較して、より性の差異化を推し進めてきたことが見えてきます。
そして性の差異化は、結果的に互いの吸引力をより高め、集団内に高い結束力(活力)を生み出したように思えます。
外圧適応の為に、内圧を高める方向に進化を遂げるのが生物であるならば、性は内圧を高めるエネルギーシステムともいえるかもしれません。
次回は、その後の人類の雌雄進化史について、です。
お楽しみに

List    投稿者 andy | 2009-06-17 | Posted in ③雌雄の役割分化No Comments » 

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