2009-05-19

生命の起源と進化に学ぶ-3- 原核生物→真核生物誕生

chigaku29_37.jpg
画像はコチラから。
前回の記事では生物史を学ぶ意義、そして原始生命誕生までをまとめてもらいました。
今日はその続きで、『原核生物→真核生物誕生』までをまとめます 8) 。
今回の記事を読んでいただくうえで、押えておいてほしい概念は、「生物は逆境により進化した。すなわち外圧適応態である。」ということです。実現論の前史にも同様のことが書いてありますね。
>生きとし生けるものは、全て外圧(外部世界)に対する適応態として存在している。(リンク
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●原始生命ってどんなん?

原始生命をおさえる上で、まず母体である地球がどのような状態であったかを考えてみましょう。

地球が誕生直後の約46億年前の状態は、隕石の寄せ集めのようなもので海は無く、ぶつかり合ったエネルギーでドロドロのマグマに覆われた状態であり、とても生命が棲めるような状態ではありませんでした

しかしながら、時を経ることにより地球はどんどん安定化していきます。

だいたい10億年後の約38億年前では、引力の影響で地球の周囲に水蒸気などを含んだ大気が形成され、地球のマグマが冷却していく過程で、大気中の水蒸気が奇跡的に海を形成しました。
ちなみに、この頃の大気の成分は二酸化炭素が90%以上、海の成分は硫化水素と硫黄化合物が多かったそうです。硫化物の他にもアミノ酸やアンモニア、リン酸や脂肪酸などが雨などにより溶け込んでおり、原始スープともよばれています。

そのような豊かな海の底の熱水噴出口あたりで原始生命は約35億年前に誕生したと考えれれています。

生命というくらいですから、もちろん代謝機能と分裂機能をもっています。
代謝は、硫化水素などの硫化物やメタンなどで行っていたようです。分裂は結構アバウトで、一定容量増えたら、二つに割れるといったことをしていたようです。今も古細菌にはこのような特徴をもっているものがいます。

参考投稿
 ・6/17なんでや劇場レポート1「生物史から学ぶ自然の摂理① 生命誕生」
 ・生命の様子 熱水噴出口と化学進化
 ・3/1なんでや劇場レポート1『生命誕生のシナリオ~「濃縮型内部空間」とはなにか?』
 ・フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 桿菌

●光合成の獲得(約34.7億年前)

>生物史上の大進化はいくつもあるが、中でも生命の誕生に次ぐ様な最も劇的な進化(=極めて稀な可能性の実現)は、光合成(それによって生物界は、窒素生物から酸素生物に劇的に交替した)~以下略~(リンク

とあるように、生物史上光合成の獲得は大きな進化(=変異)であったといえます。
なんでや劇場では、変異を大きく3段階に分類しました。

 大変異・・・分裂システム・複製システムそれ自体の変異
 中変異・・・代謝機能の変異(分裂・複製システムは不変)
 小変異・・・交配(=受精)や遺伝子組み換えによる変異

光合成は、この中でかなり大きな中変異だといえます(ちなみに大変異は生命誕生と、真核細胞の分裂機構獲得(≒性分化))。では、なぜこのような変異が必要だったのでしょうか?

最初の光合成は現在のそれとは違い、水を使わず海の中にある硫化水素、有機酸を使っていました。また、光合成生物の起源は光の届く海の水面近くだと考えがちですが、深海が起源ではないかとも言われています。

ここから仮説を立てると、生命が徐々に増え始めたことにより高エネルギーで代謝に必要な物質も豊富な熱水噴出口(適応可能範囲)から溢れるものが出始めたor火山噴火などの自然外圧により強制的に追い出されるものがでてきた。【逆境】
  ↓
多くのものが不適応態となり絶滅したと考えれるが、光合成の元となる機能を持ったものは、外部にたよらず自前で代謝ができるため適応できた。
  ↓
光合成生物の誕生 【進化】

という流れではないかと考えられます。「生命は逆境から進化した」ということが光合成についてもいえますね。

参考投稿
 ・光合成 ─ 生きものが作ってきた地球環境
 ・光合成生物の誕生
 ・光合成の起源は深海!?

●光合成細菌(シアノバクテリア)の大発生(約27億年前)⇒酸素を使った代謝の獲得

先ほど述べたように、最初に光合成を行なったバクテリアは、水を利用したのではなく、硫化水素と有機物を使っていたようです。二酸化炭素と光を使って糖を作るのは同じですが、利用する物質が違うと廃棄物は変わってきます。水を使うシアノバクテリアになって酸素が発生するようになりました。酸素を使った代謝機能の獲得です。

約27億年前に、地球に強い磁場が発生したと言われています。これにより、太陽風からの有害な荷電粒子が磁気によるバリアで遮られるようになました。つまり、海面近くでも生物が存在できるようになりました。

これにより、光合成細菌(シアノバクテリア)の生存可能領域が拡大し、シアノバクテリアが大量に増え、地球上の酸素が劇的に増えました。

このことにより、以前からの生物(たいていは嫌気系細菌)は、好気性細菌に縄張りを追いやられてしまいます。光合成細菌の大発生は、これまで生まれてきた生命にとって、大きな外圧になってしまったと言えます。

参考投稿
 ・光合成生物の大繁殖
 ・太古代の地球磁場

●共生⇒真核生物へ(約18億年前)

好気性細菌は、酸素という燃焼素材を手に入れて運動能力=捕食能力を強めたましたが、その分、栄養が足りないという事態に陥いりました。
他方、酸素が増えることで嫌気性の古細菌は、生存域が狭められていきましたが運動活性は低いため後退戦を余儀なくされていたと考えられます。

よって、運動活性は高いが、栄養素に欠ける好気性の真正細菌が、古細菌を捕食しにいったと考えられます。

しかし、古細菌もただで捕食されたわけではありません。
熾烈な闘いのなか、真正細菌との共生に成功したものがいました。
それが現在の真核生物です。
真核生物の諸器官を見てみると、膜やDNAは古細菌由来ですが、ミトコンドリアは好気性真正細菌由)といわれています。

共生と聞くと穏やかな印象を受けますが、字から受ける印象とは違い、それぞれの生物が懸命に生きようとし、時には闘いながら、結局そこに落ち着いた姿ということです。
共生とは相手を思いやってのことではなく、そうでなければ生きていけない生き方と見たほうが正しいといえます。

まとめると、以下のようになります。
・酸素が増加したことにより、生存域を狭められたり(嫌気性)、餌が足りない状況になってきた(好気性)。 【逆境】
  ↓
・熾烈な種間闘争が起こる
  ↓
・共生し、真核生物となる【進化】

参考投稿
 ・6/22なんでや劇場レポート③~真核生物の誕生~異種認識の起源

<まとめ>
今回は原核生物から真核生物への進化を「逆境から進化」ということをポイントにまとめてみました。
当然ですが、「逆境から進化」ということは現代人にもあてはまる概念です。

進化(成長)するためには逆境に向かって闘っていくこと。生物史から学べる自然の摂理だと言えます。

List    投稿者 MASAMUNE | 2009-05-19 | Posted in ⑦なんでや劇場レポート1 Comment » 

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コメント1件

 くまな | 2009.07.25 21:45

>インスタントの肉製品やメロンに、細菌を抑える食品添加物としてウイルスが使用されていたり
へ~、知りませんでした。
肉製品やメロンっていうのは、なにか共通項があるのですか?
冒頭の写真にある生ハムメロンと関係がある?

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