2009-01-28

なんでや劇場レポート2~中心体が司令塔になれたのは何で~

前回 のつづきです。
■生命は、どのようにして誕生したのか?
約40億年前の地球は、水素(H)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)イオウ(S)などの元素や、シアン化水素(HCN )、硫化水素(H2S)、アンモニア(NH3 )、ホルムアルデヒド(HCHO)、リン酸(H3PO4)、塩化ナトリウム(NaCl)、水(H2O)などの物質で充ちたスープと云われています。
熱エネルギーがふんだんにあり、メタン・水素・硫化水素・アンモニアなどの還元性ガスの濃度が極めて高く還元的な環境になっていた、と思われます。
云わば、【 海底火山の熱水噴出口のような状態 】
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▲映像は「 地学教室 」さんからお借りしました。
そこでは、まず原始スープで低分子化合物がつくられます。
シアン化水素ができると、核酸塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルなどのヌクレオシド)ができ、ATPやGTP(リボヌクレオチド)ができます。( 無から有への進化―生体高分子 )
やがて、GTPが自身の吸引力でアミノ酸をひきつけ、自身のリン酸を用いてアミノ酸を重合します。
そうしてのタンパク質が作られます。
リン酸、脂肪酸、糖も形成されたでしょう。
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▼面白い記事があります。

汽水湖に於ける細胞様高分子の生成
1986年、京都大学の藤永太一郎と海洋化学研究所の紀本岳志によって偶然に発見された。
中ノ海は、宍道湖から流れ込む淡水と日本海からの海水が、常時密度成層をなし、表層は溶存酸素濃度の高い酸化性の淡水に、底層は貧酸素の還元性の海水になっている。ここではアンモニアからペプチドが無機的に合成されていたのである。
実験室で炭酸(ホルムアルデヒドやギ酸を使っても同じ)とアンモニアの混合溶液に、常温・常圧下で硫化水素ガスを通気する実験が試みられた。すると驚くべき事に、それまで考えられた事もない反応によって、各種のアミノ酸構成を持つタンパク質(ポリペプチド)や糖(炭水化物)が生成されたのである。・・・・・・

—————————————-
生物は、二酸化炭素に水素を付加し酸素を引き抜いて還元する事により、有機分子を合成しているのである。また生体高分子は、それを構成する分子が脱水縮合で多数結合する事により合成される。
例えば、

多糖類:単糖類と呼ばれる均一な繰返し単位が脱水縮合して、鎖状にあるいは枝分かれしながら長くつながったものである。2分子の単糖が結合する時に1分子の水(H2O)が放出されて、単糖間に共有結合ができるのである(グリコシド結合)。
タンパク質:20種類のアミノ酸が脱水縮合する事によって、1本の鎖状に長く連なったものである(ペプチド結合)。
細胞膜を構成するリン脂質:グリセロールと脂肪酸が脱水縮合して結合している(エステル結合)。
遺伝子の本体である核酸:ヌクレオチドと呼ばれる繰返し単位が同様に脱水縮合してリン酸エステルを形成し(ホスホジエステル結合)、長く連なった多量体である。
このように生体高分子を作るには、還元反応と脱水反応が不可欠なのである。ところが硫化水素(H2S)は、還元反応で酸素を引き抜いた時に生じる無水硫酸が脱水反応にも働く様で、還元反応と脱水反応を同時に起こす事ができる、生体高分子の合成には打って付けの還元剤なのである。このような2重の働きをする還元剤は、他には知られていない。つまり生命誕生のカギは、硫化水素にあったと言っても良いだろう。

出典 :生命と進化
第4章 1/4地球の進化と生命
■ 汽水湖に於ける細胞様高分子の生成

▲この記事は、その頃の地球を彷彿とさせるではありませんか!
■細胞膜が先か? 中心体原基が先か?
ATPは細胞のエネルギー通貨であるのと同時に、核酸と深い関係にあることも見逃せません。
GTPがつながると、RNAになる
 ↓ 
そして
アミノ酸をつなぎあわせてタンパク質をつくる
原始地球環境下で容易に生成したと考えられる核酸塩基が結合してヌクレオシドができ、さらにそれにリン酸が結合してヌクレオチドが形成されました。そして、このヌクレオチドが長く繋がってRNAが出来上がるのです。
ただし、この間の結合は脱水反応のため、水溶液中では自然に起こる事はありません。原始細胞膜などで区画されている必要があります。
つまり、初期生命の発生には、まだ間があるということです。
それでは、「細胞膜が先か? 中心体原基が先か?」
・中心体原基は細胞骨格をつくる事ができる。
・原始スープの中で、タンパク質は単独で存在できる。
・代謝性能が高くないと、アミノ酸を合成できない。
・膜タンパク質がないと、細胞膜を物質が透過できない。
・細胞膜貫通型のタンパク質は、合成しながらでないと細胞膜に組み込むことができない。
⇒これらの事実を整合させるなら、中心体原基が先!
 GTPがアミノ酸を合成→タンパク質を合成して細胞膜に組み込んだ
と言えるのではないでしょうか?
   つづく

List    投稿者 staff | 2009-01-28 | Posted in ⑦なんでや劇場レポート1 Comment » 

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コメント1件

 iwaiy | 2009.04.07 21:42

最近では、こういう仮説もあるみたいですね。

「DNAメチル化とラマルク遺伝」
http://wwwsoc.nii.ac.jp/sesj2/nenkai/2003/program/3B1.html
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DNAメチル化がエピジェネティック遺伝の分子機構のひとつであることはほぼ確立されている。
ただし、それは個体内での遺伝であり、子孫へ遺伝するかどうかについては明らかではない。
私たちはイネやトウモロコシを用いて、環境ストレスによってメチル化レベルが変動すること、人工的な低メチル化は矮性形質を誘導し、両者は遺伝することを示した。
「獲得形質は遺伝する」というラマルクの法則は、1930年代までに完全に否定された。
しかし、本研究によって、それは部分的には正しいかもしれないことが示唆された。
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