2009-01-10

極性、電荷、水に溶けるとは?

生命もミクロに見ればたくさんの分子で構成されています。分子間に働く力や、それがもたらす変異によって情報が伝達されたり、細胞分裂や代謝などの機能が発現されたりします。
そこで、今回は分子の電気的な特性の基礎を紹介します。
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極性を持つアンモニアの模型
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1.極性(きょくせい polarity)
極性とは分子内に存在する電気的な偏りのこと。(wikipedia)

分子には固有の形があります。この形によっても極性があるかないかが決まってきます。極性をもつ分子を極性分子、極性を持たない分子を無極性分子といいます。
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同じ原子同士結合した水素や窒素は電気陰性度が同じなので無極性分子です。二酸化炭素は二重結合なのでまっすぐに結合します。単結合よりも二重結合のほうが強いからです。二酸化炭素の場合、電気陰性度の違いから酸素原子が-、炭素原子が+になりますが、-の2個の酸素原子の中心が+の炭素と一致するので無極性分子になります。メタンは正四面体の4つの頂点に水素原子、中心の炭素原子が配置されたものです。二酸化炭素と同じ理由でメタンも+の中心が-と一致するので無極性分子です。
塩化水素は違う原子が結合したものなので電気陰性度の差から極性を生じます。水は単結合なのでくの字型に折れた折れ線形をしています。この場合、分子の上のほうと下のほうで電気のかたよりが生じます。アンモニアも分子の上のほうと下のほうで電気のかたよりが生じるので極性分子になります。
要は、分子をどこからみても同じ形になっているものは無極性分子、上下に違いがある分子が極性分子です。

「化学と独り言」から引用しました
2.電荷
電荷とは電子や陽子などが持っている電気の量。正や負の電荷があります。
イオンを表わすMg2+やOH-などはそれぞれ+2eや-eだけ帯電していることを示します。GTP、GDPなどのヌクレオチドも電荷を帯びています。1.の極性を持つ分子が、必ずしも電荷を帯びているとは限りません。分子として電気的に中性であれば電荷を帯びず、+と-が偏在していれば極性をもちます。
3.水に溶けるとは
水分子にも極性があり、電荷や極性をもつ分子とくっつきやすい性質を持っている。
参照:生命体の中で起きる水素結合

 電荷、極性があるものは何故水に溶けるのか?理解を簡単にするために、まずは水に溶けない物の場合を説明する。先述のように水自体は分子の形状のゆがみから極性をもつ。水のような極性溶媒中では、極性を持たない溶質、非極性物質は極性溶媒の電荷からの反発を受けるので、散らばって存在するよりは、自らが固まりあって水との接触面を最小にしようとする。従ってこのような物質は水に拡散できず、溶けない。
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逆に極性、電荷を持つ物質はストレス無く極性を持った水の中に分散できる。だから水に溶けるのである。
 イオン性の物の場合は本来有るべき水分子と入れ替わる置換型の溶解、しょ糖のような分子性物質は水のクラスターの間隙に入り込んでいく侵入型の溶解をする。前者ではクラスターを形成する水分子群の中の一部と置き換わる訳であり、後者の場合はクラスターの中のすきま若しくはクラスター間の間隙に収まってしまう。
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左:置換型、右:侵入型

最新ディスカス飼育論より
アミノ酸も親水性と疎水性に分かれていますが、極性や電荷を持つか否かで分類されます。
極性や電荷は親水性だけでなく、GTPがタンパク質にはまり込むなどの引力や斥力として作用したり、電荷を帯びることで電気的エネルギーや磁力を生じさせ代謝や情報伝達などに深い関係を持っています。

List    投稿者 tsuji1 | 2009-01-10 | Posted in 未分類 | No Comments » 

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