2008-12-24
細胞分裂とモータータンパク質
細胞分裂の時、2つにコピーされた染色体は、見事に両極に分かれます。
この時に2つの中心体から伸びた微小管が、染色体の動原体にくっつき、染色体を中心体のある両極へと引きよせます。同時に中心体は細胞の両側にどんどん移動し、細胞は細長く楕円形の形となります。その後、細胞の中央がくびれ2つの細胞に分裂します。
この動きは、このブログの「中心体は、生命の統合器官のひとつ」の中でくわしく紹介されています。今日は、その中でも、微小管上を動くモータータンパク質に注目したいと思います。
上記図は、こちらからお借りしました。
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細胞分裂は、細胞内のアクチン骨格系と微小管、微小管上を動くモータータンパク質が連係して行われます。このモータータンパク質は2足歩行のように微小管上を動きます。その速度は、仮に小さなモータータンパク質を人間と同じ大きさにしたら、200km/時速だそうです。そして、モータータンパク質が動く時のエネルギーが、前回のなんでや劇場でも出てきた、ATP・ADPの加水分解で得られます。
●細胞分裂と微小管の動き
まず、細胞分裂時の染色体と微小管の動きについて復習しましょう。
※図版引用元:『視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録』数研出版編集部, 鈴木孝仁監修、数研出版(2007/02)
①中心体が2つに分裂し両極を形成する。
②染色体が2つに分裂(姉妹染色体)
③両側の中心体から伸びた微小管が姉妹染色体の動原体と接続し紡錘体を形成する。
(図A左)
染色体と微小管を接続しているのが、モータータンパク質です。
微小管がどんどん短くなり、モータータンパク質が中心体に向かって姉妹染色体を引き
寄せる。
④他の微小管は、両極からどんどん伸びて、重なり合う。(図A右)
重なった部分にあるのがモータータンパク質です。
伸びた微小管とモータータンパク質が、中心体同士を両極へ押しやるように離していく。
⑤同時に細胞は、円形から楕円形に変化する。
⑥中央でアクチン繊維、ミオシンフィラメントからなる収縮環が形成され細胞が分裂。
●細胞分裂とモータータンパク質の動き
上記の③と④の時に働く、モータータンパク質(キネシン)の姿を見てみましょう。
もう少し分かりやすく動画も紹介します。
クリック→モータータンパク質動画
モータータンパク質は、微小管上をいろいろな荷物(ミトコンドリア、小胞体等)をもって運ぶ、「運び屋」です。細胞分裂時には、姉妹染色体がその荷物になります。微小管にくっついている部分が足のように見えますが、実はこっちが頭だそうです。ATPの加水分解毎に化学エネルギーを運動エネルギーに変換して一歩ずつ2足歩行のように動きます。微小管は中心体から伸びますが、伸張する側が+、中心体側が-です。モータータンパク質の中でも、キネシンは+(微小管の先端)へ動き、ダイニンは-(微小管の中心体方向)へ動きます。
今回、モータータンパク質からミクロの世界を見てみました。
「遺伝子は共同体」と、よくこのブログでも言いますが、遺伝子だけでなく、生命を構成しているタンパク質レベルも、同様にお互いが連係し共同体として動いていることに感動でした。
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