2008-11-29

中心小体が細胞内小器官の配置を決定している

こんにちは、11月23日に開催されたなんでや劇場「生命の起源にせまる1~細胞分裂の司令塔は誰?~」に参加したドキドキが治まらないNISHIです。
なんでや劇場でも紹介されましたが、”細胞内”の様々な器官(細胞内小器官=オルガネラとも言います)の”配置”は、中心体によって決定されていることが明らかになりました。
今日はその詳細に迫ってみたいと思います。

47.jpg

画像は、「細胞内小器官の配置実験」に仕様されたコナミドリムシの細胞模式図

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以下、気まぐれ生物学~雑記~からの引用です。

細胞における細胞小器官の配置は一見乱雑でも,相対的な配置が厳密あるいは一定の範囲で決められています。 特に鞭毛の配置などは細胞運動や動物の正常な発生にも関わるために,厳密に決められる必要があります。
Feldman et al. (2007) はコナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii; 緑藻植物門オオヒゲマワリ目)の変異体を用いて, 鞭毛を含め複数の細胞小器官の配置が中心小体(centriole)に依存して決まっていることを明らかにしました。

コナミドリムシは一般的に「クラミドモナス」とも呼ばれる生物で、モデル生物(生命現象が観察しやすい為、生命現象の研究に用いられる生物)として盛んに用いられます。
真核単細胞生物で、緑藻類の一種。葉緑体を持っていますが、鞭毛があって動物的に動くこともできる。
この種は動物(界)でも植物(界)ではなく、原生生物(界)=平たく言うと、植物・動物が分化する以前の原始的生命に属します。

核も野生株ではリゾプラストと呼ばれるセントリン・タンパク質を含んだ繊維によって中心小体に繋がれています。 セントリンの変異である vfl2 (注:前述のセントリン・タンパクが変異した個体)では中心小体と核の連結がなくなり,母中心小体は正常な位置に残るのに対して, 娘中心小体と核が定まらなくなることも明らかにされました。このことから,核の位置も母中心小体が決めていることを示しています。
同様に,鞭毛根系(鞭毛の基部から細胞内に伸びる細胞骨格構造)の位置も中心小体が決めており, asq 変異体(注:中心小体が異常に変異した個体)では収縮胞の位置も中心小体と共に移動していたそうです 。
なお,ピレノイド,眼点(いずれも葉緑体内部の構造) の位置については中心小体とは独立していたそうです。

なんでや劇場レポートにも書かれていますが、中心体は、2本1組の中心小体からなり、細胞分裂に当たって中心小体が2つに別れます。
2つに分かれて1本になったそれぞれの中心小体からは、もう1本の中心小体が複製→2本1組の中心小体が2組作られて、分裂後の細胞にひとつずつ分配されます。この時、複製元になる1本の中心小体を「母中心小体」複製された中心小体を「娘中心小体」と呼びます。

今回の研究からは中心小体がどのようにして細胞膜の特定の位置に結合しているのかまではわかりませんでしたが, 細胞内での細胞小器官の相対的な配置を決めるために中心小体が大きな役割を果たしていることが分かりました。
収縮胞と中心小体の主従関係は今回示されませんでしたが,オオヒゲマワリ目の藻類には多数の収縮胞が細胞表面に散らばっているにもかかわらず, 中心小体は鞭毛の付け根にのみ存在すると見られる藻類(ヤリミドリ属)も知られているため, やはり中心小体が収縮胞の位置を決めていると推測されます。

以上の内容から明確になる重要ポイントは、以下の3点です。

①「核」も含めて、細胞内の小器官レイアウトは、中心小体が決定している。

 →細胞内のレイアウト含めて、中心(小)体が細胞分裂過程の全てを統合している。

②「核」も中心小体同士も、繊維状タンパクで繋がれている。

 →細胞の形態を維持し、細胞内外の運動を起こすのに重要な繊維状構造=「細胞骨格」と
  中心小体の間には密接な関係性がある。

③葉緑体の配置は中心小体と別に決まっている

 →葉緑体は、非常に特殊な細胞内小器官
  植物のエネルギー源として極めて重要なので、正確に分裂させる必要がある。
  原生生物→植物へと進化する過程において、分裂時に葉緑体分裂をどのようにして制御
  するかが重要課題となる。
 →植物に中心体が存在せず、原始的植物で葉緑体が中心体の変わりに分裂中枢(MTOC
  (微小管形成中心))となっていることと繋がっている可能性が高い。

今回、分析されているのは原生生物と言う非常に原始的な真核単細胞生物なので、真核多細胞生物では構造が違う可能性もありますが、逆に「原始的」な生命だからこそ、この「中心体による細胞内小器官の配置決定」と言う構造は、非常に根源的で重要な生命構造であるとも言え、必ず多細胞生物でも、この根源的機能の上に塗り重ねされた、生命構造が存在すると考えられます。

中心(小)体を追求するほどに、いかに「中心(小)体」が生命にとって重要な存在であるかが解ると同時に、DNAのみを重視する「セントラルドグマ」が完全に誤った認識であるのかが解ってきます。

List    投稿者 crz2316 | 2008-11-29 | Posted in 未分類 | No Comments » 

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