核小体は、もとはプラスミドだった?
真核生物の核小体はrRNAを作り、このrRNAを基にタンパク質の合成に重要なリボゾームが出来上がります。
原核生物も同様に細胞内に多くのリボゾームが点在しています。今回ご紹介する記事では、初期真核生物であるアメーバ鞭毛虫:Naegleria gruberiが、rRNAを核の情報ではなくプラスミドから作っているとのこと。
と言うことは 、プラスミドからrRNA→リボゾームを作っている原核生物もいるのではないか?と考えています。プラスミドとはこのブログでも何度か紹介されました(こちら)が、原核生物のDNAとは別に遺伝情報を持ち環状の形をしています。
ちょっとまだ飛躍 🙄 ですが、核小体とは、もしかしたら、もとはプラスミド?かも知れません。
では、以下紹介記事「大量の RNA は大量の設計図から」の抜粋です。
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上の写真は、「こちら」からお借りしました。アメーバー鞭毛虫:ヘテロロボサ(Naegleria gruberiではありません。)
多くの真核生物は使用する大量の rRNA をまかなうために,多数の rRNA 遺伝子のコピーを染色体中に持っています。 しかし一部の原生動物では染色体とは別に rRNA をコードする DNA 分子を持っています。Maruyama & Nozaki (2007) はアメーバ鞭毛虫の一種, Naegleria gruberi のプラスミドの全長配列を決定し,併せて細胞内における局在を観察しています。
N. gruberi の rRNA は細胞あたり 3,000~5,000 コピーの環状プラスミドにコードされていることが知られていました。 染色体上には相当する配列は存在しないと見られ,プラスミドは自己複製していると考えられています。 著者らはこのプラスミドの全長配列を決定しました。
著者らはさらにこのプラスミドの細胞内局在について調べています。細胞の核にはしばしば核小体と呼ばれる構造があり,rRNA の合成とリボソーム構築の場であると考えられています。DNA が核小体に認められる場合にはプラスミドもこの領域に局在し, DNA が核小体に見られない場合には核小体の縁の部分にプラスミドの局在が認められたそうです。 染色体上に rRNA 遺伝子がコードされている真核生物では,この領域が核小体形成領域として働いていると考えられていますが, N. gruberi の rDNA プラスミドもおそらく同様の役割を果たしていると予想されます。
リボソームはタンパク質の合成装置として,細胞内に無数に存在しています。その構成要素である rRNA も大量に合成する必要があり, 多コピーの rDNA プラスミドは効率のよい合成のための戦略と見ることが出来るでしょう。通常の真核生物では染色体上に多コピーの rDNA が存在していることから,Naegleria の祖先で rRNA 遺伝子をコードする場所が変化したと思われます。 rDNA のプラスミドの起源を明らかにするためにも全長配列の解読は大きな意味を持つでしょう。
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