2008-08-22

「神経が無い動物」の行動って?

260px-Paramecium.jpg
 神経細胞は、進化史上、クラゲやイソギンチャクなどの腔腸動物から登場したと言われています。
では、それ以前の動物はどうやって外部の刺激を感知し、必要な行動をとっているのでしょうか?
「実は」と言うべきか、「もちろん」と言うべきか、神経細胞を持っていない単細胞動物も、神経細胞や筋細胞と同様の機能を、ちゃんと持っています。
今回は、神経細胞を持たない単細胞動物のひとつである、ゾウリムシの反応行動について、ご紹介します。
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ゾウリムシが前進していて、なにか障害物にぶつかった場合のことを考えましょう。
Avoiding.jpg
1.繊毛の回転運動により前進する。(図中丸数字の1)
2.障害物にぶつかると、細胞膜の膜電位が脱分極化(プラス方向にシフト)する。
3.この脱分極により、細胞膜にあるイオンチャネルの一種であるカルシウムチャンネルが開く。
細胞内はもともとマイナスなので、このカルシウムチャンネルを通じて、溶液中のカルシウムイオンが細胞内に取り込まれる。
4.カルシウムイオンの濃度が高まると、繊毛が逆転を始める。(この仕組み自体は不明)
5.ゾウリムシが後退する。(図中丸数字の3)
6.流入したカルシウムイオンは、イオンポンプと呼ばれるタンパクにより、細胞外に排出され、細胞内のカルシウム濃度は次第に低下してゆく。
この仕組みは、実は神経細胞のシナプス間や、神経から筋肉への情報伝達様式に極めて近いのです。
【化学シナプス経由の情報伝達】(文章中の番号は図中の番号と対応しています)
300px-Synapse_diag1.png
1.前シナプス細胞の軸索を活動電位が伝わり、末端にある膨らみであるシナプス小頭に到達する
2.活動電位によりシナプス小頭の膜上に位置する電位依存性カルシウムイオンチャネルが開く。
3.するとカルシウムイオンがシナプス内に流入し、シナプス小胞が細胞膜に接して神経伝達物質が細胞外に開口放出される。
4.神経伝達物質はシナプス間隙を拡散し、後シナプス細胞の細胞膜上に分布する神経伝達物質受容体に結合する。
5.後シナプス細胞のイオンチャネルが開き、細胞膜内外の電位差が変化する。
【神経筋接合部の情報伝達】(文章中の番号は図中の番号と対応しています)
300px-Synapse_diag3.png
300px-Synapse_diag4.png
1.神経終末の末端(神経終末球)に神経インパルスが到達すると、神経伝達物質であるアセチルコリンが、筋形質膜と神経終末球の間に広がるシナプス間隙に放出される。
2.筋形質膜の凹凸部を運動終板と呼ぶ。運動終板上にはアセチルコリン受容体が位置し、アセチルコリンを受け取ると、ナトリウムイオンチャネルが開き、ナトリウムイオンが流れ込む。
3.すると筋活動電位が発生し、筋肉が収縮する。
4.アセチルコリンはアセチルコリンエステラーゼによって急速に分解される。
 このように、神経細胞を持たない単細胞動物も、神経細胞(筋細胞)の萌芽と呼ぶべき機能をもっています。もちろん情報伝達できなければ適応できないのだから、持っていて当然ですが、電位変化とカルシウムイオン濃度の変化を利用した感覚細胞→神経細胞→筋細胞の伝達システムは、クラゲやイソギンチャクなどからいきなり登場したわけではなく、単細胞動物から、ほとんど同様の仕組みを持っていることに驚かされます。
※この記事は、「ゾウリムシの行動反応の制御機構(http://www.biol.tsukuba.ac.jp/~oami/Pages/kennkyuu/zouri/zourimushi2.html)」及び「神経系の多様性その起源と進化(培風館)」を参考にさせていただきました。
 

List    投稿者 blogger0 | 2008-08-22 | Posted in ④脳と適応1 Comment » 

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コメント1件

 面白 | 2016.08.29 17:29

わかりやすい❗>_<

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