2008-06-02

5/25なんでや劇場レポート1~免疫がつくられる仕組み~

こんにちは、今日からは5/25なんでや劇場で扱われた『免疫がつくられる仕組み』についてレポートしていきます。
これまでなんでや劇場では数回にわたって免疫について扱ってきましたが、改めて免疫の全貌を掴んで見たいと思います。
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出典:なんでや劇場
免疫細胞はリンパ組織に流れるリンパ球系の細胞と、主に血管に流れる骨髄系の細胞に大きく分かれます。T細胞やB細胞、NK細胞はリンパ球系の細胞で、マクロファージや顆粒球、赤血球などは骨髄系の細胞です。このリンパ球系の細胞も骨髄系の細胞も、元を辿れば造血幹細胞(図中の紫色の細胞)に至ります。造血幹細胞が大元となって、様々な免疫細胞ができているのですね。
では、この造血幹細胞とはどんな細胞なのか?
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造血”幹細胞”
この幹細胞というのは造血幹細胞以外にも、神経幹細胞、肝幹細胞、皮膚幹細胞、生殖幹細胞など幾つかの幹細胞があり、それぞれ神経幹細胞なら神経細胞を、皮膚幹細胞なら皮膚細胞を供給していく大元の細胞になっています。造血幹細胞の分裂スピードは非常に遅く、またテロメアーゼによってテロメア(細胞の寿命)が維持される性質があり、個体の寿命が尽きるまでこの幹細胞は残り続けます。故に免疫細胞を常に供給できるようになっているんですね。また造血幹細胞から分化した後、前駆細胞→未熟細胞→成熟細胞と分化、役割固定が進んでいくほどに分裂スピードは拡大し大量の免疫細胞が作られる仕組みは、まさに状況認識から課題、役割固定がハッキリするまでは仕事をしない、という現実の仕事の鉄則 👿 にも通じるものだと思いませんか!本当に良くできています。
それからこの幹細胞には不均等分裂という仕組みがあります。
不均等分裂というのは元の細胞が分化した際に、一つは別の細胞になり、もう一つは元と同じ細胞のままになっているというもの。造血幹細胞の場合は、別の細胞とはリンパ球系幹細胞か骨髄系幹細胞で、造血幹細胞の不均等分裂の際にはこのどちらかの細胞と、大元の造血幹細胞が作られるのです。
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図は北海道大学 遺伝子病制御研究所 から頂きました
そしてさらにこの不均等分裂を調べてみると、造血幹細胞の分化様式が外的因子(周辺細胞からのシグナルやニッチ因子)によって分化の方向が決まるとの説もあり、造血幹細胞からどの細胞に分化するかは、その時々の外圧変化に対応する仕組みを有しているようですね。(偶然説やプログラムによって決定つけられているという説もありまだ解明途上のようですが)
そのように外圧変化に対して造血幹細胞がどちらの細胞に変異するかという変異応答性を担保しつつも、不均等分裂によって常に大元の造血幹細胞は残し不変性を維持しているという仕組みは、『変異と不変の両立』
という生物の摂理が貫徹されているように見えます。

さて、今日はそれくらいにして、次はリンパ球ってそもそも何?というテーマを続けたいと思います。お楽しみに! 😀

List    投稿者 nannoki | 2008-06-02 | Posted in ⑦なんでや劇場レポート4 Comments » 

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コメント4件

 さんぽ☆ | 2008.07.17 17:09

受容体で感知できるものって、一要素しかないんですね!
それらが総合処理されて、感知されるのですね。
この受容体って身体の部分によって密度って異なっているんですよね?
触覚に関しては、確か手が一番密度が高く、背中が一番密度が低いということを聞いたことがあります。

 再生医療ブログ サイローグ | 2008.07.18 13:43

はじめまして。
いつもブログ拝見させて頂いております。
どなたにでもわかりやすく生物の話をされており、
大変興味深いです。
RSSリーダーで購読しております。
ご紹介が遅れましたが、
http://cylogue.shooti.jp/
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宜しくお願い致します。

 yoriya | 2008.07.19 21:35

こんにちは。さんぽ☆さん
コメントありがとうございます。
>受容体で感知できるものって、一要素しかないんですね!
基本的には一要素ですが、受容体によっては複数要素を受信できるもののあるようです。
そして、それらの個々の情報を統合し、その物質を特定するのが中枢神経(脳)ということになりそうですね。
********************************************************
こんにちは。再生医療ブログ サイローグさん
コメントありがとうございます。
>どなたにでもわかりやすく生物の話をされており、
>大変興味深いです。
生物の話だとどうしても難しい話になってしまうので、
この点には注意しています。
(まだまだ不十分な点が多いのですが…)
「再生医療ブログ サイローグ」拝見させて頂きます。

 yoriya | 2008.07.19 21:37

こんにちは。さんぽ☆さん
コメントありがとうございます。
>受容体で感知できるものって、一要素しかないんですね!
基本的には一要素ですが、受容体によっては複数要素を受信できるもののあるようです。
そして、それらの個々の情報を統合し、その物質を特定するのが中枢神経(脳)ということになりそうですね。
********************************************************
こんにちは。再生医療ブログ サイローグさん
コメントありがとうございます。
>どなたにでもわかりやすく生物の話をされており、
>大変興味深いです。
生物の話だとどうしても難しい話になってしまうので、
この点には注意しています。
(まだまだ不十分な点が多いのですが…)
「再生医療ブログ サイローグ」拝見させて頂きます。

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