2008-04-26

刺胞動物(クラゲ)の認識機能

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こんにちは。 😀
ふわふわと海中を浮遊しているクラゲ。
実が「プランクトン」に分類されるそうなんです。
「プランクトン=小さな生物」と思い込んでいた僕としてはちょっと驚き でした。
(みなさんご存知でした?)
今日は刺胞動物である「クラゲ」の認識機能に注目していきます。
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■クラゲの感覚器と応答
刺胞動物(クラゲやイソギンチャク)は、筋細胞とそれを動かす神経細胞からできています。
神経細胞は体全体を網目のように覆い、どこか一か所に加えられた刺激を瞬時に伝えて全ての筋繊維を収縮させます。
「受容細胞-伝達細胞(神経)-効果細胞」 の系統となっており、中間で外識情報を統合する部位(脳など)はまだ存在していません。
では、クラゲは外圧をどのように認識しているのでしょうか?
【重力方向を知るしくみ=平衡胞】
ミズクラゲの傘の縁には平衡石をもつ平衡胞があり、これで重力方向に対して体の傾きを知ります。平衡胞は袋状の器官で中央に平衡石があり、それを感覚毛を持つ細胞が取り巻いています。
感覚毛は多くの場合、繊毛であり、運動性繊毛と同一の構造をしています。重力方向に平衡石が沈降し、それらが感覚毛に押し付けられ、感覚毛がどの方向に押し付けられるかで動物は重力の方向を認識します。
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図版は「クラゲのふしぎ」技術評論社より引用しました
この平衡胞の出力に応じて筋収縮を調節し、体が裏返らないようにすることができます。
参考:井尻 憲一; “重力の感受機構ーそのやさしい解説”, 宇宙生物科学, Vol. 16, pp.47-55 (2002) .
【眼点】
クラゲの行動には光刺激も影響を与えています。
クラゲには眼点と呼ばれる器官があり、微妙な光の明暗もキャッチすることができるしくみになっています。
カミクラゲというクラゲは、光に反応してぽんぽんと飛び跳ねるような動きをするのですが、これは眼点でとらえた光刺激が神経細胞に伝わり、傘を急激に閉じるようにパルセーション(拍動)がコントロールされるためです。
【クラゲの温度感覚】
クラゲの生態をみると
「高緯度の冷たい海(赤道付近の暖かい海)に生息するもの」
「冬や春にだけ(夏だけ)出現するもの」
が存在しており、どこかで温度を感じているかのように思えます。
しかし、クラゲは神経で温度を感じることはできないそうです。
では、どのようにして温度を感じているのでしょうか?
クラゲは体温と生息水温がほぼ等しい変温動物です。
このため、水温によりクラゲの代謝活動に強く影響されます。
つまり細胞内で代謝活動に介在している酵素が、温度により反応に変化を起こします。
この細胞内の代謝活動が種によって微妙に異なる(適応してきた環境による)ことで、あたかも水温を感知しているように思えるのです。
■刺胞発射のしくみ
「刺胞動物」のクラゲの触手の細胞の中には、「刺胞」が詰まっています。
刺胞はカプセル状になっており、中に毒針がコイル状に仕込まれ、なおかつ探知機のような役割の短い針(大きさは1/100mm)が突き出ています。
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この短い針に他の生物が触れると、自動的毒針が外に発射するような仕組みになっているのです。
この一連の動作は「クラゲの意思に関係なく」行われます。
参考:「特別講義 クラゲの生態 ~浮遊する生命の不思議~」
ところで、仲間にも自動的に毒針が発射されるのでしょうか?
少し話はそれますがサーファー向けに「クラゲよけローション」なるものが存在します。
これはクマノミとイソギンチャクの共生に目をつけ、その粘膜の組成を成分としているものです。
つまりクラゲに「仲間」だと認識させることによって、刺胞の発射を防ぐしくみとなっています。
このことから、刺胞動物はなんらかの成分による同類(種)認識を基本に置き、それ以外は機械的に捕食対象としていることがわかります。
ちなみに化学物質による刺激を受容する細胞はクラゲの傘の上面や縁辺部などの体の外側にがあると推測されています。
クラゲは繁殖期に高密度で群集を形成することが観察されています。生殖の相手を探知する際にもこの水を介した化学物質による同類認識を使用していると考えられます。

List    投稿者 shimicho | 2008-04-26 | Posted in 未分類 | No Comments » 

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