2008-04-13

脊椎動物以前の血球系細胞の進化(2)

前回(「脊椎動物以前の血球系細胞の進化(1)」)のつづきです。
◆節足動物(甲殼類:エビ、カニなど/昆虫類:カイコ、カ、チョウなど)
前□動物の中では最も種分化している動物で、循環系は消化管の背側に発達していて、開放血管系で大きな心臓をもつ。
開放血管系をもつ節足動物の血液は、血体腔の中を流れ、結合織へ直接流入していくという。この血液中にはいくつかの血球が浮遊しているが、例によって、その命名は研究者によって異なるので、理解を困難にしているようだ。
共通して観察されているものは、細胞質に多くの顆粒をもつ顆粒細胞である。
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【甲殼類:海産のエビ類や淡水産のザリガニ類など】
血球は、無顆粒細胞、小顆粒細胞、大顆粒細胞の3種に分けられている。このうち貪食能を有するものは無顆粒細胞と小顆粒細胞。
【昆虫類:カイコなど】
原白血球、プラズマ細胞、顆粒細胞、小球細胞、エノシトイドなど、血球の種類が多い。
原白血球は小型の無顆粒細胞で、核の占める割合が大きく分化程度が低いので体液中で活発に有糸分裂を行っている。別の血球に転換できる幹細胞のような役割を演じているらしい。
プラズマ細胞は、大型の血球で、膜状突起と糸状突起の両者を伸ばして付着する。細胞質突起には哺乳類のマクロファージと同じように微小管と微小線維が関与していて、この線維の作用を阻害すると、膜状突起機能が阻害される。この血球には酸フォスファターゼや非特異的エステラーゼなどの酵素系が存在し、マクロファージの性質をもつ。
顆粒細胞は球形の細胞で、細胞表面には多数の突起を持ち、細胞内には酸性粘液物質を含む顆粒がたくさん存在している。食作用、ノジュール形成*)、包囲化作用*)などに関与する重要な免疫担当細胞であるらしい。この顆粒細胞はレクチン産生や基底膜の形成、創傷治癒にも関与しているようだ。

 *)ノジュール形成:頼粒細胞が細菌を取り込み、さらに細菌の
  分散を阻止する反応
 *)包囲作用:大型の異物に対しては最初に顆粒細胞が異物を
  包囲し、さらにプラズマ細胞も加わって完全な包囲する

小球細胞もまた、生体防御に重要な役割をしている。2~5μmの小さな球を細胞内にもち、細胞表面が球状を呈している。この小球には中性の粘液多糖類が含まれており、β-グルカンなどの生理物質を認識できる蛋白質を合成している。
エノシトイドと呼ばれる血球は昆虫類の血球中最も大型の細胞で、30μmにも達するものがある。この細胞は細胞質内にチロシンを含む顆粒をもち、フェノール酸化酵素前駆体を合成して体液中に分泌し、メラニン色素の形成に関与している。
メラニン色素形成の過程では、細胞毒性や抗菌性を示すキノンが生成される。直接生体防御に関わる細胞としては、以上の5種が重要であることがわかっているとのこと。
・造血器官
甲殼類では、幹細胞、移行型血球、幼若血球などの分化段階を含むタイプとそういった分化段階を含まないタイプが知られているが、さらに、血球の前駆細胞や未熟な血球が存在している分岐状血管をもつものもあるらしい。
昆虫類の鱗翅目では、幼虫時の前胸部にある翅芽に隣接する部位に造血器官がある。個体発生過程で、比較的若い胚期では、血球の多くが食道腺の前端細胞に由来したり、また中胚葉組織からも血球が生じてくる。
つづく
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出典:「生命を支えるマクロファージ」光文堂発行
    『4.マクロファージの系統発生』

List    投稿者 ayabin | 2008-04-13 | Posted in 未分類 | No Comments » 

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