2008-02-28

体外受精から体内受精への進化

生物が水中から陸上に進出するにあたって様々な機能進化が見られますが、生殖様式は体外受精から 体内受精へと進化してゆきます。
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<ウニの体外受精:リンクより引用>

今日は、その進化の流れを見てゆきます。
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●魚類
・軟骨魚類(サメやエイ等)は全て体内受精
・硬骨魚類(肺魚~条鰭類)の多くは体外受精。メスが水中に放卵し、同時にオスが放精する。しかし、カダヤシやメバルなど、体内受精を行うものもいる。

●両生類
・有尾目(サンショウウオやイモリ等)は、体内受精をする種が圧倒的に多い。(全種の約90%)先ず、オスが求愛行動をしてメスを興奮させる。その後オスは精包(精子の入った包)を水底に置く。そして、メスが前を歩くオスに従う結果、総排出腔開口部に精包が接する。

・無足目(アシナシイモリ等)は、全ての種のオスが総排出腔の後部が反転してできた管状の交接器をもち、体内受精する。

・無尾目(カエル)は、体外受精をする種が多いが、体内受精をする種もある。体内受精と言っても、無足目のようないわゆる交尾をするのは、特別の「尾」をもったオガエルだけ。他の種には交接器はないから、総排出腔開口部を接しあうだけ。

●有羊膜類(爬虫類、鳥類、哺乳類)
・全て体内受精
・ムカシトカゲは陰茎をもたず、雌雄が総排出腔を接し合って体内受精する。この方法が最も単純で、原始的な状態であると考えられている。
・現生の爬虫類はムカシトカゲを除いてオスが陰茎をもち、交尾を行う。
・カメ類、ワニ類は、単一の陰茎をもつが、トカゲ類、ヘビ類は対になった半陰茎となっており、交尾に際して左右いずれかを用いる。
・鳥類は交接器を持たず、総排泄口を合わせて交尾する形態に戻っているのが主流。
・哺乳類は、陰茎をもつ体内受精。

※参考文献:「脊椎動物の多様性と系統」岩槻邦男・馬渡峻輔監修、松井正文編集(裳華房)

○体外受精→体内受精への進化の仮説
陸上では体外受精が不可能なので、生物が陸上に進出するためには体内受精が不可欠であったと考えられているが、実は体内受精を行うようになったのは、陸上生物からではない。魚類の段階で既に体内受精をする種がいるし、両生類でも体内受精の方が主流である。体外受精をするのはカエルぐらいのものであり、それ以外の有尾目(サンショウウオやイモリ等)や無足目(アシナシイモリ等)では体内受精の方が主流である。

おそらく、体外受精から体内受精に進化していったのは、水中⇒陸上の自然外圧への適応が主原因ではない。むしろ、種間闘争圧力の方が主原因であり、種間闘争圧力に適応して体内受精を獲得した結果、陸上進出が可能になったと考えられないだろうか?
水中で体外受精する魚は、オス・メスの性差は小さい。大量の卵子を放出すると同時に、それと同じぐらい大量の精子が放出される。しかし、受精卵が成体になるまで生き延びる確率は極めて小さく、殆どの受精卵や幼体は、外敵に食われて淘汰されてしまう。

このような激しい種間闘争圧力に対応するには、大型化して運動能力(闘争能力)を高度化させる方が有利である。そのためには、オス・メス躯体分化(性差)を拡大する必要がある。オス・メスの生殖負担に大きな差がなければ、闘争機能も生殖機能もどちらもたいして高度化することができない。だから、オスの生殖負担を軽くし、闘争負担を重くしていった。そして、メスの生殖負担を重くし、闘争負担を軽くしていった。
オス・メス躯体分化については、なぜ拘禁因子でオスメス分化を決定するようになったのか?~第87回なんでや劇場より~を参照。

オスが放出する精子の数を減らす一方で、メスの卵子は大型化していく。オスは生殖負担が軽くなった分、闘争役割に専門特化することができるようになった。哺乳類では顕著であるが、一般に生物は高等になればなるほど、メスに対するオスの体格差が大きくなる傾向がある。メスが放出する卵子の数も減ってゆくが、大型の卵子を産むためのメスの生殖負担は重くなる。大型化した卵子は大量の卵黄を抱え、受精卵が成体に育ってゆくのに必要な栄養分を蓄えるようになった。

しかし、精子・卵子の数が減ってゆくと、体外受精のままでは著しく受精確率が低下してしまう。そこで、体内受精という生殖様式をとるようになったのではないだろうか?体内受精の方が精子の移動距離が短く、外敵に邪魔されることもないので、圧倒的に受精確率が高まる。

実際、魚類でもサメやエイといった大型化した軟骨魚類は体内受精である。あるいは、メダカによく似たカダヤシも体内受精であるが、体内受精→卵胎生を獲得しているおかげで、メダカよりはるかに繁殖力が強く、メダカとの種間闘争にも打ち勝つ適応力を持っている。体内受精の方が体外受精に比べて、種間闘争を闘ううえで有利であったことを物語っている。
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<カダヤシのメス:ウィキペディアより引用>

元々、肺魚→両生類へと進化していった魚類は、魚類の中でも弱者であったと考えられる。弱者であったがゆえに、種間闘争を勝ち抜くための体内受精という生殖戦略をとり、陸上という新たな生存域に可能性を求めるしかなかったのであろう。

※こちらの過去エントリーも見てね。

List    投稿者 fkmild | 2008-02-28 | Posted in 未分類 | 3 Comments » 

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コメント3件

 鍋師 | 2008.03.19 12:22

[ミクログリアのように免疫的な働きをするグリア細胞の一種が、DNAの組み替え情報を海馬や嗅覚ニューロンの新生時に渡していた]と仮説を立てていらっしゃいますが、[DNAの組み換え情報]ってどういうことなのでしょうか。
DNAの組み換えがそう頻繁に起こっているのでしょうか?
そして、この仮定を立てた根拠がどこにあるのか教えていただければ幸いです。

 匿名 | 2008.03.19 20:33

『「変異」を追及した抗体』
http://www.biological-j.net/blog/2008/03/000408.html
に詳しく書かれていますよ。
リンパ細胞の成熟前の段階ではDNAの部品がつながっており、そこから選択されたDNAを組み合わせて、新たな体細胞が作られるようです。
組み合わせの数が1000万以上と言われてます。
たしか免疫細胞も脊椎動物から登場したはず。

 鍋師 | 2008.03.21 12:49

回答ありがとうございます。
無知で恥ずかしいのですが、恥ずかしついでにもう少し教えてください。
上記のサイトにあるDNAの組み換えはB cell での抗体のバリアントが増えるための機構ではないのですか?
グリアの免疫作用にこの抗体作成のためのDNA組み換えとどのような共通点があるのか現在分かっている範囲で教えてくだされば幸いです。

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