2007-12-17

単為生殖を行うギンブナの不思議 卵子由来の中心体


ないとう@なんで屋です。

魚類の中には、単為生殖だけで子孫を残すものがいる。
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日本に生息する”ギンブナ”は、そのほとんどがメスであり、精子と卵子の核を結合させることなしに、次の世代を残す。つまり、単為生殖を行うものがほとんどだと言われている。

この事は何を意味するのか?
ほとんどの哺乳類の受精では、精子からのDNAと中心体、及び卵子の持つDNAとミトコンドリアなどの細胞内小器官を融合させて、受精卵を作る。この受精卵は、精子由来の中心体の働きにより有糸分裂を行う。
精子と卵子の融合なしに次の世代が形作られるということは、このときの中心体は、卵子由来であることを示している。


では、ギンブナはメスだけで、どうやって子孫を残すのか?

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ギンブナのメスは産卵し、フェロモンを出す。このフェロモンにより、他の魚が放精し、ギンブナの卵子に侵入しようとする。しかし、ギンブナの卵子は、精子を跳ね返す。よって、お互いの核は融合しない。なんと、ギンブナには、精子からの刺激、言わば擬似受精により、細胞分裂を始め、子どもが誕生する卵子がある。
この擬似受精が行えるギンブナは(DNAを3セット持った)「3倍体」。

本来のギンブナは、他の魚類と同じく(DNAを2セット持った)2倍体であり、オスからの(減数分裂によって作られた)1倍体の精子とメスからの1倍体の卵子を受精し次世代の2倍体の個体が作られる。

しかし、何らかの理由で、3倍体が現れる。
この3倍体のギンブナからは、(通常2回行われる減数分裂が1回だけしか行われず)3倍体の卵子が作られる。この3倍体の卵子は、DNAのセット数が多いため、精子のDNAを基本的に受け入れず、刺激を受けただけ(擬似受精)で受精卵として分裂を開始する。

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◆フナの単為生殖
より

このことから、ギンブナにおいては、中心体(を作る元)が卵子由来であることが分かる。有糸分裂を司る中心体は、ネズミを除く哺乳類では例外なく精子由来であり、精子の中心体が卵子に取り込まれなければ、細胞分裂を行う事すら不可能。

魚類は雌雄同体である種類が多く、環境によって性(オスメス)が転換する事が知られている。この性の固定がゆるやかな魚類では、中心体が卵子由来なのではないだろうか。

単為生殖でも子孫を作ることができる生物としては、両生類・は虫類・軟骨魚類(サメ)などのような、性の固定がゆるやかな生物種で確認されている。逆に、性が強く固定されている哺乳類は、単為生殖では子孫を作ることができない。

つまり

・受精卵の中心体が(精子由来ではなく)卵子由来であれば、単為発生が可能になる。
・メスだけからの単為発生が可能であるということは、多産が可能となる。
・ただし、単為生殖による子どもは、遺伝情報がほぼ同じクローンとなる。
・この場合、性はゆるやかに決定されている。

・逆に、受精卵の中心体が精子由来であれば、卵子からの単為発生は不可能。
・メスだけからの単為発生が不可能であれば、子どもの数は限られる。
・ただし、子どもは必ず遺伝子が組み換わったものしか生まれない。
・この場合の性は強固に固定されている。

しかも、精子が運んでくる中心体には、遺伝情報を伝える役割がある可能性が高い
とすれば、「中心体が精子由来」であることは、たとえ数が少なくなろうとも多様な変異可能性を持った子どもを産むことに特化したと言える。

List    投稿者 tnaito | 2007-12-17 | Posted in 未分類 | 1 Comment » 

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コメント1件

 とれまが人気ブログランキング運営管理局 | 2008.01.09 11:35

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