植物の進化はn倍体の多細胞化にあり!?
今日は地上に進出した植物の生殖について考えてみたいと思います。
前回紹介された、ハチのオスは単為生殖でしか生まれないという特徴と共に、「n倍体の多細胞生物」である点も注目されます。
(動物は基本的に2n倍体の多細胞で存在し、精子・卵子のみn倍体の単細胞で存在します。)
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植物には「n倍体の多細胞」の時期があります。
減数分裂後~受精までの間をn倍体の単相世代もしくは有性世代と呼ばれる時期です。(参考:生活環~・植物編)
アオミドロ(緑藻類)は接合後2nになりますが、n倍体の段階で多細胞化を進めます。単純な縦一列の増殖です。
その後、(同じ緑藻類のアオサあたりから)植物は2n倍体を多細胞化し、胞子体と呼ばれる動物と同様の仕事細胞を分化し進化させていきました。
一方で、n倍体の細胞つまり胞子も体細胞分裂を繰り返して多細胞化し、造卵器や造精器といった生殖細胞を進化させています。
このn倍体細胞はコケ類やシダ類まで葉緑体を持ち、それぞれの細胞が独立栄養存在となる全能細胞です(ボルボックスのような単細胞の群体に似ています)。
コケ類ではn倍体の配偶体の上に2n倍体の胞子体が成長します。
シダ類や裸子・被子植物の胞子体のように水や養分を各細胞へと運ぶ維管束を持たず、各細胞の自立度が高いといえます。
裸子植物と被子植物はn倍体の細胞は雄は花粉、雌は胚のう細胞と多細胞化を果たします。
花粉は受粉後に花粉管を延ばし直接、精子を卵細胞に接触させます。イチョウやソテツを除き、受精に水を必要とせず地上への一段の適応を成し遂げました。
n倍体の多細胞化は情報伝達など統合機能を発達させず、もっぱら生殖機能を特化させていきました。
植物の多様な生殖様式はn倍体の多細胞化によって作られたと言えるでしょう。
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匿名 | 2009.10.14 5:45
検索してたら目に留まったので、古い話にコメントさせていただきます。
>しかし、ギンブナの卵子は、精子を跳ね返す。
…のではなく「精子は卵内に侵入する」のです。
でも雄性前核になれないので「受精」ができず、結果として
>お互いの核は融合しない。
という状態になるんです。
なので、中心体は精子由来のものが使われています。