2007-10-28

RNAの秘密:RNAと細胞分裂

RNAと言えばDNAの子分で、DNAの一部をコピーしてタンパク質をつくる中間的な情報伝達物質だと思っていました。これを伝令RNAとかメッセンジャーRNA、略してmRNAと呼んだりしています。しかし、実は数あるRNAのなかでこのmRNAが占める比率は数パーセントなんだそうです。それ以外の90数パーセントのRNAは一体何をやっているのでしょうか。
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(この画像はNewton電子版よりお借りしました)

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mRNAのようなタンパク質に翻訳されるRNAに対して、それ以外のRNAのことを総称して非コードRNA (ncRNA)と呼んでいます。知ってました?知りたい方はこちらクリックもお願いします。
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非コードRNAの代表が、運搬RNA(トランスファーRNA・tRNA)とリボソームRNA(rRNA)です。全てのタンパク質はこの二つにメッセンジャーRNAを加えた、3つのRNAの働きでつくられています。この3つの働きについては、「RNAはどうやってたんぱく質を作るの??」に紹介されています。
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(この画像は教育用画像素材集DNAの構造とはたらきからお借りしました)
運搬RNAは文字通り、アミノ酸を運んでくる役割です。メッセンジャーRNAがリボソームRNAの中でタンパク質をつくるときに、その材料となるアミノ酸を運んでくるのです。ひとつの分子に過ぎない運搬RNAが、必要なアミノ酸をどのように認識して、捕まえ、リボソームの位置を把握し、運んでくるのか、本当に不思議です。
リボソームRNAは工場のような役割です。メッセンジャーRNAと運搬RNAを仲立ちして、リボソームの中でタンパク質が組み立てられていきます。これもどんな仕組みになっているのか本当に不思議。
それ以外の非コード型RNAで代表的なのが、リボサイム(触媒RNA)とマイクロRNA (miRNA)です。
リボザイムは酵素として働くRNAでリボ酵素とも呼ばれています。リボザイムは、それだけでRNA自身を切断したり、貼り付けたり、挿入したり、移動したりする活性・能力を持っています。RNAが自分で自分を編集することを可能にしています。リボザイムの発見は、RNAが遺伝情報と反応の両方を扱うことができることを証明し、生命の起源時はRNAが重要な役割を果たしていたとするRNAワールド仮説を生み出すきっかけとなりました。
マイクロRNA は遺伝子の発現を抑制する機能があります。一部のメッセンジャーRNAと相補的な関係にあり、結合することでメッセンジャーRNAの翻訳を阻害しているようです。
このようにRNAは、情報伝達だけではなくタンパク質の合成や、遺伝子の発現調整、RNAの編集など様々な役割を行っていますが、細胞分裂にも深い関係があるようです。
例えば、細胞が減数分裂を行う仕組みにも、減数分裂を開始する遺伝子のmRNAと、減数分裂の抑制因子を不活性にする「減数分裂マスター制御因子Mei2」とよばれるRNA結合タンパク質が関係しています。
RNA結合タンパク質は、RNAと結合することで機能を発現するタンパク質です。RNAは単独で様々な働きを行うだけではなく、タンパク質と結合して生命現象における重要な機能を発揮することが分かってきています。細胞の分化を担う経路のスイッチングの役割を果たしたり、ショウジョウバエの性を決めているRNA複合タンパク質なども見つかっています。
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タンパク質RNA複合体の構造(タンパク質と一本鎖RNAとの結合の仕組みを解明より)

List    投稿者 nodayuji | 2007-10-28 | Posted in 未分類 | No Comments » 

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